短歌や歌人評伝を読む意義は?
古典和歌を読むと、その時代の問題が良くわかる。
歴史学の本より、真実をつかめることが多い。
政治史や経済史、民俗学を学んで、
ある時代を分析することはできる。
しかし、そうすると抽象的な理解に頼ることが多くなる。
それに対し、
歌集を読むと、その時代の雰囲気や
時代を生きた人の感覚がうつされており
学問を修めるだけではわからない事実が
多く、わかってくるのである。
歌人には、
貴族、支配階級の人、庶民などある。
明治以降、作家に庶民が加わるようになった。
古今集の時代は、
貴族の間で、
技巧を凝らした歌が多く作られた。
ただ、4人の選者は社会的に恵まれていたとは言えない。
紀貫之など、あまり出世しなかった人たちである。
新古今集の時代の選者6人も、
そういう意味では、傑出していたとはいえない。
明治以降、
正岡子規らにより、
短歌は革新された。
庶民も詠むようになった。
そうした歌や歌人の評伝から、
時代と歌人のかかわりが見えてくるし、
具体的な生活・時代の思想が
いきいきと伝わってくる。
現代の歌を読むと、
おもしろい視点に気づかされたり、
普段意識しないことを発見したりする。
そうしたことが、
短歌や歌人の評伝を
読んでいくことの楽しみに繋がるのである。
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