いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

失語症、ADHD

2013-12-04 09:30:01 | 日記
「夫はバイリンガル失語症 日本語教師が綴る闘病と回復の5年間」読了。「失語症」とは、脳梗塞等の
後遺症として、脳に障害が残り、言葉が不自由になる病気。
この本は、ドイツ人で、日本の大学で教えている教師が、脳梗塞の後遺症で「失語症」になり、
医師、言語聴覚士、日本語教師の妻の二人三脚で対応したが、道は厳しかったことを述べている。
本人は大学教師で、病識がなく、それゆえ、妻とその子供が奮闘した。
100の失語症があれば100の症状がある、といった実情で、特に妻は、対応に
苦慮した。
本人は自分が健常者であると思いこんでいたが、大学の講義を再開
して、失語症のために講義が普通にできず、結局退職に至った。
妻が、家庭内で日本語教師としての教育を施したが、
「失語症」に振り回されて、順調にはいかなかった。
そして、息子まで巻き込んだ家庭内騒動。
ロコバンド氏はドイツ人であるが、日本語を使う、ドイツ語、憲法の研究者。
家庭内では、ドイツ語、日本語が意識することなく使われている。
妻もドイツ語が話せるので、授業ができるよう努力したのであるが、
ついに夫の大学での授業は不可能になり退職に至る。
この例では、それでなくとも難しい「失語症」の回復が、ドイツ人である患者
(彼は日本語を21歳から学び始めた広義のバイリンガルである。)
の属性により、問題を難しくしたのである。
筆者の専門である教育学の中に「ADHD児」という概念がある。
これは、学校教育のなかで、脳に障害があるため、様々な奇妙な
行動をとる子供のことである。
これについては、原因究明、臨床的対応が研究されているため、
様々な手立てが確立している。
そのため、問題には賢明に対処する方策がある。
これに比して、失語症の対策は極めて難しい。
患者がバイリンガルである、病識がない、となると、方策も
見つけにくい。
そのような中で、著者は「心の文法」を喪失した夫と消耗しながら格闘した。
現在は、「心の文法」(優しい心根)を取り戻した夫と、安らかな生活を送っておられる。
失語症の回復は5年でドラスティックに回復することが多いといわれる。
エルンスト氏と、靖子さんが、幸せな老後を送られることを祈る。


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