いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

新・短歌鑑賞①~3000の髪そよぐ~

2019-06-19 17:35:15 | 短歌


福島泰樹。
昭和18年東京生まれ。「月光の会」主宰。
歌集「バリケード・1966年4月」「茫漠山日誌」など。

福島泰樹は、学生として、60年代の学生運動にかかわった。
その経験から、多くの短歌を紡ぎ出した。

……

一隊をみおろす 夜の構内に3000の髪そよぎてやまず

60年代学生運動のさなか、指導者として、バリケードを築き、体制に抗した。
校舎の上に立てば、眼下には「構内」を埋め尽くした同志たちの「3000の髪」がそよいでいる。「髪」といえば、普通は、「美」や「やわらかさ」を表すが、ここでは「たたかい」や「意志」を象徴している。夜の中の髪、黒の中の黒、そこに青春の高揚と不穏な詩情があふれている。

………

その日からきみみあたらぬ仏文の 二月の花といえいヒヤシンス

学生運動の旗頭で会った作者に、同志がいた。ところが、いつもは講義に出るのに、今日もその姿が見えない。恋心とも詩情ともつかぬ思いが、頭をよぎる。

……

二日酔いの無念極まるぼくのためもっと電車よ まじめに走れ

激しい戦いの中で、傷つき、疲れている。そのような中でも、ユーモラスな感慨がわいてくる。何も感じてくれない電車にやつあたりしているのだが、いくら騒いでも、暖簾に腕押し、の当局へのいら立ちを言いたいのかもしれない。


























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