ある詩人の詩です。
……
詩 四章
友を喪ふ 四章
首途
真夜中に 格納庫を出た飛行船は
ひとしきり咳をして 薔薇の花ほど血を吐いて
〇〇君 君はそのまま昇天した
友よ ああ暫くのお別れだ……おっつけ僕から尋ねよう!
展墓
〇〇君 今僕のかうして窓から眺めてゐる 新緑の梢を雲が飛びすぎる
その樹立の向こうに 籠の雲雀が歌ってゐる
僕は考える ここを退院したなら 君の墓に詣ろうと
路上
巻いた楽譜を手にもって 君は丘から降りてきた 歌ひながら
村から僕は帰ってきた ステッキを振りながら
…ある雲は夕焼けのして春の畑
それはそのまま 思ひ出のやうなひと時を 遠くに富士が見えてゐた
服喪
啼きながら鴉がすぎる 春の日の真昼どき
僕の心は喪服を着て 窓に凭れる 友よ
友よ 空に消えた鴉の声 木の間の歩む少女らの
日向に光る黒髪の 悲しや 美しや あはれ命あるこのひと時を 僕は見る
……
……
詩 四章
友を喪ふ 四章
首途
真夜中に 格納庫を出た飛行船は
ひとしきり咳をして 薔薇の花ほど血を吐いて
〇〇君 君はそのまま昇天した
友よ ああ暫くのお別れだ……おっつけ僕から尋ねよう!
展墓
〇〇君 今僕のかうして窓から眺めてゐる 新緑の梢を雲が飛びすぎる
その樹立の向こうに 籠の雲雀が歌ってゐる
僕は考える ここを退院したなら 君の墓に詣ろうと
路上
巻いた楽譜を手にもって 君は丘から降りてきた 歌ひながら
村から僕は帰ってきた ステッキを振りながら
…ある雲は夕焼けのして春の畑
それはそのまま 思ひ出のやうなひと時を 遠くに富士が見えてゐた
服喪
啼きながら鴉がすぎる 春の日の真昼どき
僕の心は喪服を着て 窓に凭れる 友よ
友よ 空に消えた鴉の声 木の間の歩む少女らの
日向に光る黒髪の 悲しや 美しや あはれ命あるこのひと時を 僕は見る
……