「あっ、電話。誰やろう?」
「もしもし、私は〇〇銀行××支店の者です。明日から新紙幣が発行されますが、あいにく支店のATMはまだ対応できません。そこで、直接お宅に持参させてもらいます。」
「いつ来てくれる?」
「そうですね。明日の10時にはお伺いできます。交換する紙幣の種類と枚数を指定してください。」
「えらい早く来れるんやね。旧札しか使えない機械もあるから千円は替えへんわ。一万円を5枚替えて。ところで、アンタ吉田さんと違うな。」
「吉田は明日付けで転勤になります。」
電話を切るとすぐ110番通報
「明日詐欺師が10時に来るからお巡りさん寄越して。」
3日午後
青鳥刑事「オカン、よく詐欺ってわかったな。」
「当たり前や。今日日銀から銀行に新札が出るんや。日銀から遠い銀行にそんなに早く届くか?それに担当者は吉田なんて名前やない。だいたい、あの支店に吉田なんて名前はおらんやろ。あと、銀行の転勤は、使い込みをごまかせないように、当日言われるんや。」