離婚後にも父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案が8日、国会に提出された。法施行前に離婚した夫婦も、共同親権を選べるようにする。成立すれば公布から2年以内に施行され、単独親権に限ってきた現行制度から転換される。未成年の子がいる夫婦の離婚件数は年間約10万件、親の離婚を経験した子は約20万人に上る。積極的に育児をする父親が増えるなど親子の関わり方が多様化する中、離婚後の親権について、見直しが検討されてきた。 共同親権を巡っては、離婚前の家庭内暴力(DV)や虐待の被害が続くことや、父母の力関係によって共同親権を強いられることへの懸念が根強い。国会審議では、被害防止策や意見対立を調整する裁判所の態勢整備などが論点となりそうだ。 改正案は、協議離婚の場合、父母間の協議で共同親権とするか、どちらか一方の単独親権とするかを決めるとした。協議がまとまらない場合は、裁判所が親子の関係などを踏まえて判断する。一方の親による虐待やDVのおそれがあるなど、「子の利益」を害する場合には単独親権とする。 共同親権のもとでは、子どものことは父母が話し合って決める。父母間の意見が折り合わない場合に限り、裁判所が判断する。「何を食べさせるか」といった日常的なことがらや、裁判所の判断を待っていては間に合わない「急迫」の事態の場合には、一方の親だけで判断できるようにする。 法施行前に離婚が成立していても、裁判所に親権変更の申し立てをして認められれば、単独親権から共同親権に変更できるようにする。 改正案には、取り決めがなくても、最低限の養育費を請求できる「法定養育費」制度の創設も盛り込んだ。別居親側と子どもが定期的に会う面会交流では、父母のみに認めていた申し立てを、一定の条件で祖父母や兄弟姉妹らにも広げることや、可否などを争う手続き中、家裁が試行的に交流を促せるようにすることも可能とした。(久保田一道)
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