「だいぶ日が暮れてきたね」 | |
「よ~し。そろそろ怪談を始めるよ……!」 | |
「えっ、怪談!?」 | |
「おいおい。ちょっと季節外れじゃないか?」 | |
「ふふふ。季節外れだからこそ、面白いんですよ」 | |
「ね、こうやって下から照らすと、雰囲気が出るでしょ?」 | |
「うひひひひ……」 | |
「わっ」 | |
「うわあっ」 | |
「う~ら~め~し~」 | |
「やーーーっ!」 | |
「わーーーっ!」 | |
「わわーーーっ!」 | |
「ふふふ。ゆうちゃん、大丈夫?」 | |
「ぼ、僕は大丈夫だけど、先生が……」 | |
「え?」 | |
← 気絶している | |
「ご、ごめんなさい。やり過ぎたかな……」 |
「ねえ、リュックに乗っていい?」 | |
「これに乗りたいのか? だめだ。いつも言ってるだろ」 | |
「ど、どうしてだめなの……?」 | |
「子供は風の子! リュックなんかに乗らず、元気に遊びなさい」 | |
「……ちぇっ。いじわる!」 | |
「おかか先生なんか嫌いだーっ!」 | |
「先生のばかっ!」 「何とでも言え」 |
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「さよならっ」 |
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「……ついて来ないでよ」 | |
「……」 | |
ダダダッ | |
「……」 | |
しょんぼり | |
「……」 | |
すっ | |
すたすた | |
「来ないでよ!」 | |
「僕、決心したんだ。ここを出ていく……!」 | |
「どこか遠くに行って、自由に暮すよ!」 | |
「……」 | |
「さよならっ」 | |
その間に、おむさんが来ていた。 | |
「おい、ちょっと聞いてくれ」 |
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「ゆうちゃんが家出した」 | |
「えっ!?」 | |
「実はな、さっき、かくかく、しかじか」 「う~ん、そんなことがあったんですか……」 |
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「ゆうちゃんは、戻ってくるでしょうか?」 「そうさな。あの剣幕だと、一週間か二週間は帰らないかもな」 |
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「……ゆうちゃんも、旅をしたほうがいいのかも」 | |
「うむ。オス猫ってのは、旅に出るもんだよ」 「でも、大丈夫でしょうか?」 |
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「心配だなあ……」 | |
ふたりは、ゆうちゃんが旅に出たと決めつけてしまった。 | |
「もう帰ってきちゃったけど、何て言えばいいかな……?」 |