おかか先生は、なぜ「先生」と呼ばれるのか。 |
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先生はかつて、飼い猫大学に通っていたらしい。 だが、飼い猫になりたくなかったのか、敢えて中退し、 わざわざ野良猫大学に入り直したらしい。 |
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院で最後まで進んで、所定の研究指導は履修したので、 論文博士の学位審査請求資格があるらしい。 |
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今でもコツコツ論文を書いている、という噂もある。 ―― そう。これらは、あくまでも噂である。 本当のところは、やっぱり、よくわからないのだ。 |
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「ねえ、おかか先生」 | |
「何だい?」 | |
「先生は、どうして学者になれなかったんですか?」 | |
「学者だと? あんなもの! は~っはっはっは~!」 | |
「笑わせるな。なれなかったのではない。ならなかったのだ!」 | |
「どうして、ならなかったんですか?」 | |
「そ、それは……」 | |
「どうしてですか?」 | |
「……」 | |
「ねえ、どうしてですか?」 | |
「やかましいわ~っ!!」 何か、色々あったらしい……。 |
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「おむさん、どこ行くの……?」 | ||
「そっとしといてやれ。あれは詩だよ」 | ||
「奴は、おのれ自身の人生を歌っているのさ……」 | ||
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「い、行かないで! おむさ~ん!」 | ||
―― だが、彼の後ろ姿は、やがて見えなくなった。 | ||
「ゆうちゃん、悲しむんじゃない。奴は、旅立ったのさ……」 | ||
「ただいま」 | ||
「うわっ!? い、いきなり逆方向から?」 | ||
「地球を一周して、戻ってきたんです」 | ||
「ほんとか~っ!?」 |