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オトナとコドモ(前編)

2009年01月13日 15時47分00秒 | G地点 ミーコ

 

「わーい、わーい!」

チッチは相変わらず、毛玉のオモチャに夢中である。
「……」
「わーい、わーい!」
「……ふっ。チッチはまだまだ子供ね」
「えっ?」
「ねえチッチ。あなたも、オトナにならなくちゃ」
「いいこと、オトナというものはね、たとえオモチャで遊ぶ時でも、余裕を忘れないものよ」

「例えば、カメラに向かって、にっこり微笑するとか」


つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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お年玉にも早すぎて

2008年12月03日 14時54分00秒 | G地点 ミーコ

 

キザでナルシスト、しかも図々しいこの男。その名も「キャット」。どうやらミーコさんに気があるらしい。

「なあ、ミーコ」
「……何なのよ、その気取ったポーズは? て言うか、なれなれしく呼び捨てにしないで頂戴」
「クリスマスには、プレゼントをくれるんだろうね」
ブチッ

「え~え~、くれてやるわよ! クリスマスと言わず、今すぐにね!」
「これでも喰らえ!」

ぶわっ

ブチ切れたミーコさんは、元気玉を投げつけた。
しかし、この男の鉄面皮を突き破ることはできなかった。

アグアグ ごっくん
ぺろり

「ありがとう。まあまあの味だったよ」
「……」

げんなり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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愛、変わらず

2008年12月03日 14時48分00秒 | G地点 ミーコ

 

ミーコさんである。
相変わらずだ。
「相変わらず」が、一番いいのだろう。
一週間ほど「失踪」した時は、正直なところ、私も諦めかけたが、
こうして戻ってきて、また以前と同じように暮らしている。
新参の猫とも、うまくやっているようだ。
相変わらず綺麗で、相変わらず強くて、
相変わらず元気だ。

そう、「相変わらず」が、一番いい。
何か「変わったこと」が起こる度に、そう痛感するのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


なんとかは風邪を引かない

2008年12月03日 14時35分00秒 | G地点 ミーコ

 

「ミーコさん、君に頼みがあるんだ」

「えーと、あなたキャットさんでしたっけ? ご用は何かしら?」
「僕、風邪を引いてしまってね。苦しくて堪らない」

「あら、それは大変ね」
「だから泣かせてくれ、君の胸で」

ズコッ
「ちょ、ちょっとあんた、なに言ってるの?」
「いいんだよ、そんなに恥ずかしがらなくても」

ピクピク
「ふっ。ミーコさんはシャイなんだね」

「あ、あのねぇ」
「大体、あんたが風邪を引く筈ないわよ」
「ふふ。僕ってそんなに強そうに見える?」

「だめだこりゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ写真

 

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夢の球宴

2008年11月14日 12時52分00秒 | G地点 ミーコ

 

その日は秋晴れだった。空気が妙に澄んでいた。

私は朝から軽い頭痛を感じていたが、猫たちに会うため、いつもの場所へと赴いた。
すると……チッチが、手にボールを持っていた。
「ミーコさん、僕の球が打てるかい!」

なんということだろう? 私は目を疑った。猫が野球をするなんて!? 私は幻覚を見ているのだろうか? しかし現に、チッチがピッチャーらしい。
ミーコさんは、バットを握っている。

「さあ、いらっしゃい! どんな球でも打ってみせるわよ!」
そして、チッチがボールを投げた。速い球だ!

ビシュッ
カキーン

ミーコさんが打った! いい当たりだ!
「しまった!」
ミーコさんはバットを投げ捨てると、ボールの行方を見定めながら、
猛スピードで一塁へと走った。
他方チッチは、懸命にボールを追い、
なんとかキャッチした。
バッ

ミーコさんは大きくジャンプし、
一塁ベースを目指し、凄まじいヘッド・スライディング。

ズザー
ボールを握ったチッチは、素早く体勢を立て直し、タッチしようと、一塁ベースへ突進。

ダダダッ
両者の激しい動きのため、一塁ベース上はもうもうたる土煙に覆われ、何も見えない。アウトか、セーフか!?
だが……やがて微風が土煙を払った時、そこにはもう、猫たちの姿はなかった。
そして、おだやかな秋景色が、ただ広がっているばかり。

私はやはり、幻を見たのだろうか。秋風の悪戯の、白昼夢だったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


人生色々あるけれど

2008年10月17日 11時30分00秒 | G地点 ミーコ

 

そりゃ、生きてれば、辛いことはあるわよ
奈落の底へ、真っ逆さま
壁にぶつかって、身動きがとれない
いくらもがいても、立ち上がれない……
そういう時は、ま、耐えて待つしかないわね

そのうちに、何か明るいアイデアが閃くものよ

そしたらまた、上を向いて歩ける
……ふふ、処世訓にしては、余りにも安っぽくて古臭いかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


不安

2008年09月23日 16時21分00秒 | G地点 ミーコ

 

久し振りに、いいお天気ね
濃い影が落ちるのも、気持いい
すっかり秋の空
美し過ぎると……不安になる
空の奥へと、落ち込んでしまいそう
体はなくなり、魂だけが、
空気に溶けてしまいそう
そんなこと考えるのは、私だけかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


欲望のウロボロス

2008年08月31日 15時44分00秒 | G地点 ミーコ

 

折り畳み椅子っていいよねぇ
ぼくも欲しいなぁ
お金ないから、どうせ無理だけどさ
ふふ チッチは消極的ね
あたしは違う
欲しいものは、
無理をしてでも手に入れる
バッタもんを掴まされることもあるけど

 

  ※ タイトルは丸山圭三郎の同題著書(勁草書房刊)より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


みをつくしてや恋ひわたるべき

2008年07月19日 16時30分00秒 | G地点 ミーコ

 

恋することは
恋しないこと
言葉を慎み
行動を律し
ただ義務だけを果たす
電話もしない
メールも書かない
貴方に相応しい高みに
身を置こうとするだけ

思いの丈が
募れば募るほど

貴方に対しては
寧ろ慇懃になる

電話もしない
メールも書かない

予測できない何かを
ただじっと待つだけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


実は涙もろいらしい

2008年06月15日 18時12分00秒 | G地点 ミーコ

 

 

「兄ちゃん 怖いよう」

「だ 大丈夫だ 俺がついてる」 

 

「わーっ 兄ちゃん 助けてーっ」

「弟に何をする やめてくれっ」 

  「頼む! 俺はどうなってもいい 弟だけは助けてくれ」 
 

「あらそう? じゃあ あんたを」

「ぎゃーっ」

「兄ちゃんを許してやって! 代わりに僕を!」 

  「……」 
 

「ふん も もういいわ しらけちゃったわよ」

「兄ちゃん 怪我はないかい」

「た 助かった……」 

  「……うっ」 

 

 「ううっ いじらしいのには 弱いのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


胸の震えは

2008年06月10日 17時24分00秒 | G地点 ミーコ

 

  今日も
あなたを想ってしまうの 
  あなたが
私だけのものなら 
  うつし世のしがらみに
阻まれることがないのなら 
  私はあなたに
思い切り甘えて 
  静かに体を横たえ
両のかいなを差し出し
ああ そして
無限の抱擁に身を委ねる 
  私のこんな想いを
あなたが知ったら
あなたは驚くかしら
私は嫌われるかしら 
  背中の火照りは
夕日のせいね 
  胸の震えは
川面を渡る風のせいなのね