釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

遠い春

2021-01-16 19:10:13 | 社会
厚生労働省のホームページで、健康局疾病対策課は、「肝炎対策について  ~肝炎の早期発見・早期治療が肝がんを防ぎます!~」と書いている。一応は「早期発見・早期治療」の大切さが分かっているようだ。その厚生労働省が、こと新型コロナウイルス感染に関しては、早期発見・早期治療を全く無視している。現在、厚生労働省が行っている新型コロナウイルス検出検査の中心はPCR検査である。この検査による陽性者を毎日集計し、発表しているのだ。新型コロナウイルス感染者を見出すほぼ唯一の手段として、厚生労働省自身が使っているのがこのPCR検査である。日本だけではなく、欧米も含めてとても不思議なのは、感染が大きく拡大するまで放置しておきながら、感染が手が付けられなくなるほど拡大してから、ようやくロックダウンや緊急事態宣言などの行動制限を発する。癌が体内で発生したばかりであることを知りながら、放置し続け、体内全体に転移して、初めて慌てる状態と変わらない。鳥のインフルエンザでは、感染が1羽でも発生すれば、直ちに殺処分される。それは早期に感染の目を潰すためである。これは感染症の基本だ。にもかかわらず、新型コロナウイルス感染では、「英知」を有する先進諸国の全てが感染が拡大するまで、国としては対策を講じない。基本的に個人の自粛に頼るだけである。むしろ、大きく感染が拡大してから行動制限を行うために、国としての補償費は大きくなり、人の命の犠牲まで多くしている。第1波だけならまだしも、波を重ねるごとに波を一層大きくしてしまっている。つまり、前の波で何ら反省がなく、そのため、次の波でも何も準備されていない。しかも、長引くために厄介な変異ウイルスまで登場させてしまっている。しびれを切らした地方や地域、また企業や組織が独自にPCR検査を拡大させている。NHKの集計では、日本の昨年の第1波のピークは4月11日のわずか720人である。ついで第2波のピークは8月7日の1605人で、2.2倍となった。昨年末からの第3波のピークは現在のところ1月8日の7882人で、第1波のピークの10.9倍になった。第1波で37.5度以上4日間などと言う何の根拠もない検査基準など設けず、徹底的に検査を行い、空港検疫を厳しくしていれば、犠牲者も経済的損失もずっと少なく出来ていた。政府は現在、誰が考えても効果が薄いと思える「緊急事態宣言」を小出しする一方で、法を改正して、罰則を設けようとしている。自分たちの無能さ・無策を棚上げにして。無能さ、無策が表面上救われているのは、欧米の日本以上の感染爆発があるためだ。しかし、日本と同じく欧米より桁違いに感染者数が少ない東アジアを見れば、全土に感染が広がるのは日本だけである。感染が広がれば、重症者も死者も当然多くなる。子供でも分かることを、為政者は何も準備せず、春にも言われた今のような医療事態を招いている。日本が東アジアで最悪なのは、何よりも政治家に助言する立場の「専門家」の劣悪さである。そのことを厚生労働大臣として悟らされた舛添要一氏は、「プール式PCR検査にしても民間の検査機関の活用にしても、官僚はまず出来ない理由をあげつらう。感染症法など法制度の改正もそうだ。そのため実行が後手後手になって、コロナ対策の失敗につながっている。その間違いを糺すために、国民の代表である政治家がいるはずだ。」とTwitterで書いている。オリンピック開催に執着する政治家が、また、そうした専門助言者の利益と合致しているために、全てが最悪な結果を招く形になっている。医師の資格は持っていても、患者の治療に携わることはなく、国民の命を守る気概もない人たちが、厚生労働省の医系技官や「専門家」の職に就く。「検査を拡大すれば医療崩壊する」として、検査制限を当然のごとく語っていた東京都の「専門家」が、14日は、「爆発的な感染拡大を示す兆候」などとまるで他人事のようなことを述べている。その事態を招いたのが自分たちが推めて来た検査制限にあることなど考えもしないようだ。舛添氏の言うことを考えれば、現在の政治リーダーとそのリーダーに助言する「専門家」両方が変わらない限り、今後も事態は基本的に何も変わらないだろう。東アジアの他の国々のように医療、感染症の大原則、早期発見・早期隔離・早期治療を行わなければいずれは第4波、第5波に見舞われることにもなるだろう。同じ軽症者でも入院が出来た人には、すでにアビガンが使われている場合があるようだが、入院出来なかった人には何も与えられない。ただ悪化するかも知れない状態で待機するだけである。個人で少しでも感染防止を考えるしかない。医学的論文の出ている範囲では、ココナツオイル、ビタミンD、塩化セチルピリジニウム含有の洗口液などが有用のようだ。そして、何よりも規則的な生活と食事で免疫力を高めておくことだろう。
カワアイサ(2羽の雄)

コロナ禍で浮上して来た日本の劣化

2021-01-15 19:14:59 | 社会
日本の劣化は、政官財の劣化と共に、大学をはじめとする研究機関の劣化も伴っている。広範な劣化の浸透である。政治家は2代目、3代目が当たり前になり、苦労知らずで議員になり、さらには首相にまでなると、周辺を「お気に入り」だけで埋めて、裸の王様になる。気に入らない者はことごとく排除する。周囲は首相が気に入りそうなことしか耳に入れなくなる。擦り寄る者は自己の利益しか考えない者ばかりとなる。新自由主義の名で、規制緩和を叫び、その実現で利益を得て来たのが、人材派遣会社パソナの竹中平蔵であり、オリックスの宮内義彦である。自己利益の追求のために政治に近接し、日本と言う国全体の経済を破壊して来た。かって日本は、スイスの国際経営開発研究所(IMD)の世界競争力ランキングで、ランキングが公表された1989年から1992年まで、世界で1位を維持していた。それが5年後には17位に大きく後退し、昨年にはついに34位までになってしまった。新自由主義は目先の利益にのみ注目し、将来を展望しない。従って、国家としての医療や教育も「コスト削減」の対象とされ、医療では毎年のように医療費削減が行われ、教育・研究も目先の成果が重視され、長期的な視点が失われて行った。デジタル化、ITの重要性は、少子高齢化と同じく、すでに前世紀末には叫ばれていたが、目先のコスト削減と収益に拘る新自由主義の浸透で、企業も行政も大学や研究機関までが致命的な遅れをとってしまった。今回の新型コロナウイルス感染でも、定額給付金の申請が、マイナンバーを使ったオンライン申請が多くの自治体で出来なかった。市町村の住民基本台帳との照合に過剰な負担がかかり、中止せざるを得なかった。厚生労働省は、新型コロナウイルス感染の集計に昨年5月から新たに「HER─SYS」システムを導入したが、極めて使いずらく、結局は東京、大阪など大都市は元のFAXによるデータ送付に戻ってしまった。コロナ下での省庁間でのテレビ会議すら、システムの仕様が異なるために、不可能であったり、複数の端末を準備する有り様である。昨夜、NHKは「“病床数多く医師少ない” 患者受け入れ病床ひっ迫の背景は」を報じている。日本の感染者数が「欧米各国に比べて桁違いに少ない」にもかかわらず、「患者を受け入れる病床のひっ迫が問題になって」いることを取り上げている。要は欧米に比べて人口あたりのベッド数は多いが、医師や看護師が極めて少ないのだ。しかもベッド数の4分の1は慢性期の病床である。医療ガバナンス研究所の上昌弘理事長は、2017年6月から新潮社のForesightと言うサイトに「医療崩壊」と言う連載記事を現在まで書き続けている。新型コロナウイルス感染が始まっていた昨年6月8日には、同シリーズで「「感染症ムラ」解体せねば「日本医療」に明日はない」と題する記事を出している。経済産業省下には「原発ムラ」があるように、厚生労働省下には「感染症ムラ」が巣食っている。利権に群がり、学術的な業績はわずかで、国際的な研究は見る影もない。今回の新型コロナウイルス感染の拡大がなければ、ほとんど世間には知られない存在であった。最先端の科学とは程遠く、利権にのみしがみ付く体質のために、非科学的な対策で、情報の独占しか考えない。記事によれば、北里柴三郎が設立した「伝染病研究所」が、戦後、国立感染症研究所と東京大学医科学研究所に分かれたのだと言う。上氏は2015年までその東京大学医科学研究所に所属していた。「日本の感染症対策を仕切るのは、「厚労省健康局結核感染症課」、国立感染症研究所、保健所・地域衛生研究所」だと言うことだ。「感染症ムラ」の構造を上氏が知ったのは、「2009年に新型インフルエンザ対策で舛添要一厚労相(当時)のお手伝いをしたからだ。当時と状況は全く変わっていない。」そうだ。そして、厚生労働省の医系技官は保健所へ、国立感染症研究所は地方衛生研究所へ天下るのだそうだ。2代目、3代目議員や首相の中で立ち回りを覚えた現首相も、やはり、安易に気に入らない者を排除したり、罰することを優先する。12日に政府が与党に示した新型コロナウイルス対策強化関連法改正案では、入院勧告に従わない感染者には感染症法で「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の刑事罰を設けると言う。日本医学会連合は早速、反対声明を出した。当然である。声明で言うように、感染症法そのものが、かっての人権侵害が行われたことへの反省の上で成立したものであるばかりか、入院を含めた治療は、現在「インフォームドコンセント」が重視されているように、医師と患者や家族との十分な納得がなければ治療も効果を出し得ない。強制して効果など上げられないのが治療である。医療現場を無視し、書類や数字だけで判断する政治家や官僚の愚策である。現在の緊急事態宣言も、言葉ほどの重みがない内容で、感染拡大を抑えるには延々それを続けるか、内容の強化を図る必要があるだろう。いずれにしろ感染が抑制されて来た時に、徹底的なPCR検査が行われない限りは、終息には至らないだろう。感染が急拡大した広島市は市民80万人のPCR検査の実施を決めた。

論理的対応が出来ない日本

2021-01-14 19:15:10 | 社会
昨日、今日と続けて最高気温が5度を超えて、残っていた雪が溶けて来た。ただ、表面が溶けて、その下が凍っていると逆にとても滑りやすくなる。北海道では標準のスパイク付きの靴が欲しくなる時があるくらいだ。今冬は世界中で大雪になっているが、今月11日から昨日まで熱帯のラオスで「数世紀」ぶりに雪が降った。ラオス北東部のシエンクワーン県では一面が雪となり、SNSでは写真と共に、「まるでロシア」と書かれたりしたようだ。ラオスは人口706万人の小さな国だが、この40年間で人口がほぼ倍増したASEAN加盟の発展途上国である。中国を含めた5カ国と国境を接している。そのラオスでは新型コロナウイルス感染者は累計でわずか41人である。死者はいない。中国の国家衛生健康委員会(NHC)は、今日、中国で8カ月ぶりに、複数の都市が再封鎖下にある河北省で新型コロナウイルスによる死亡例が確認されたと発表した。同時に、新規感染者数は138人であったことも発表されている。フランスのAFPによると、2000万人以上がロックダウンの対象となっている。世界中でまだまだ感染が拡大し続け、最多である米国では、昨日1日で23万6462人の新規感染者が出ている。昨日公開された東洋経済ONLINEの「厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か」で、医療ガバナンス研究所上昌広理事長は、「実は欧米は検査数が足りていない」ことをデータで示している。「PCR検査数を感染者で除した数字」は、「1人の感染者を見つけるために、どの程度のPCR検査を実施したかを示している。」ことからその数字に注目している。1月8日時点で、中国はその数が1808.7と突出した数値となっている。韓国66.6、カナダ24.3、英国22.2、ドイツ21.0、日本19.5、フランス13.1、イタリアと米国が12.7と続いている。米国で感染が拡大しているのは、圧倒的に検査が足りないからだと言う。しかし、同記事によれば、その米国も無症状感染者を見出すために、大学にIDカードで無料で出来るPCR検査自動販売機が何台もセットされたり、自宅で利用できる検査キットが販売されたり、グーグルのように9万人の社員に対して、毎週検査を実施する企業が出て来ていると言う。昨日、日本医師会長は「全国的に医療崩壊は既に進行しています」「このままだと必要な時に医療自体を提供することが出来ない医療壊滅になる恐れがあります」と記者会見で述べている。同じく昨日行われた首相の会見では、ジャーナリストの神保哲生氏が、主要メディアの誰もが訊ねなかった質問をしている。「日本は人口あたりの病床数は世界一多い国で、感染者数はアメリカの100分の1くらいなのに、医療が逼迫している」として、医療法を改正して病床を確保しないのかと質問した。昨年春の第1波で発出された緊急事態宣言が最終的に全国で解除された5月25日、日本経済新聞は「日本は感染爆発回避 医療は逼迫、脆弱さも露呈」と題する記事を出した。感染者数が現在よりずっと少なかった第1波ですら、医療逼迫が言われ、問題が指摘されていた。また、昨年2月28日の日経バイオテクは「新型コロナウイルス、検査体制の拡充が後手に回った裏事情」なる記事を載せ、日本のPCR検査が拡大されない問題を取り上げた。現在の問題点はすでにずっと以前に出ており、今なお全く手が付けられて来なかった。政府や政府につながる専門家は、この1年、最も重要なことを棚上げにして来た。東京都でも自宅待機を余儀なくさせられた人が急変し、亡くなっている。政府や専門家の不作為による人災である。一昨日のThe New York Timesは、「Doctor’s Death After Covid Vaccine Is Being Investigated(コロナワクチン接種後の医師の死が調査されている)」と言う記事を載せている。基礎疾患のない健康な56歳の産婦人科医であるグレゴリーマイケルGregory Michael氏が12月18日にファイザーのワクチンを接種し、3日後に急性免疫性血小板減少症を発症し、16日後に脳出血で急変した。ジョンズホプキンス大学の血液障害の専門家であるジェリーL.スピバクJerry L. Spivak博士は、「ワクチンが関連していることは医学的に確実だと思います。 」と語っている。また、フィラデルフィア小児病院のワクチンと感染症の専門家であるポール・オフィットPaul Offit博士は、はしかワクチンでも子供と大人の両方で、2万5000回のはしかの予防接種ごとに約1回発生するが、通常は一過性で深刻ではない、と語っている。早ければ来月終わりには、日本でもワクチンが開始される。ワクチンを開発した企業は免責されており、もしもの場合は政府の責任で対応するのだろうか。この点もいまだに不明である。日本では基本的なこと重要なことが先延ばしされ、曖昧である。先の上昌広理事長は、Twitterで、「私は、コロナの専門家を全く信頼していない。適切に設計され、検証されたPCRで偽陽性が出ないことは、医学界の常識だ。学生でもわかることを「偽陽性1%」と言い続けてきた。世界で、こんなことを言ったのは、日本の専門家だけだ。彼らの特徴は変に自信があり、勉強しないこと。」「私は今こそ「鹿鳴館」と思う。明治の日本人は謙虚だった。自分たちが世界から遅れていると思い、必死で勉強した。いくら猿まねと笑われようが世界から学んだ。最近のアジアでは、中国が、このやり方をまねている。コロナの専門家で『ネイチャー』や『ランセット』に言及する人がどれくらいいるだろうか」と書いている。
オナガガモ

「科学」で追跡する海外

2021-01-13 19:11:00 | 社会
今冬の大雪は日本だけではない。先日も書いたようにスペインなどの欧州でも、また、先月には米国でも2016年以来の大雪で、ニュージャージー、ペンシルベニア両州では非常事態を宣言しなければならないほどであった。釜石での雪も、釜石での10年以上の中でも多い方である。何よりも気温が低いため、降った雪が溶けないまま凍ってしまう。先日見た2羽の白鳥はやはりすぐにいなくなってしまった。白鳥ではないが、同じく冬にやって来るツグミの声はよく聞くようになった。独特の尻尾の振りを見せるジョウビタキも1度だけ見かけた。冬は木々の葉が落ちているので、小鳥が見やすくなるが、その木々の枝にまで雪が積もる。 昨年11月16日に、REUTERS(ロイター)は、「Researchers find coronavirus was circulating in Italy earlier than thought(研究者たちは、コロナウイルスがイタリアで思ったより早く流行していたことを発見した)」と題する記事を配信した。イタリアでは昨年2月18日にミラノ郊外の小さな町、コドーニョの病院に入院していた38歳の男性が新型コロナウイルス感染者第1号、いわゆる「ゼロ患者」と考えられていた。しかし、ミラノ市の国立癌研究所(INT)の科学雑誌TumoriJournalに発表されたイタリアの研究者の調査結果では、2019年9月から2020年3月の間に肺癌スクリーニング試験に登録した959人の健康なボランティアの11.6%が2月よりかなり前に新型コロナウイルス抗体を保有していたことが明かになった。研究者たちによれば、新型コロナウイルスが思ったより早くイタリアで流行した可能性があることを示す兆候として、2019年の第4四半期にロンバルディアで重度の肺炎とインフルエンザの症例数が通常より多いと報告されていることがある、と述べている。イタリア最大の発行部数を誇るLa Repubblica(ラ・レプッブリカ)のオン・ライン版の「Covid, nuovo paziente 1 in Italia: è una 25enne milanese con dermatosi atipica positiva a novembre del 2019(2019年11月に非定型皮膚症があったミラノ出身の25歳の女性は、新型コロナウイルスが陽性であった)」と題する今月11日の記事は、非定型皮膚症のために、2019年11月10日に皮膚生検を受けたその標本から新型コロナウイルスの遺伝子配列が検出されたことを伝えている。皮膚症状は5ヶ月後には消えたが、2020年6月に行われた血清学的検査で、抗体が見出されている。皮膚障害は、新型コロナウイルス感染症の患者の約5〜10パーセントに存在すると言う。ミラノ大学の研究である。昨日の中日新聞は、「中国、1千万人を2日程度で検査 封鎖の河北省石家荘、2巡目に」なる記事を配信した。中国河北省石家荘市では、今月500人を超える感染者が出たため、「9日に市民1025万人に対する1巡目の緊急PCR検査を終了し」、「12日、感染者を漏れなく見つけるため、約1千万人の全市民を対象にする2巡目のPCR検査を開始した。約2日間で終えるとしている。」と言う。「同市は8日、自宅に7日間とどまるよう全市民に通知。遼寧省や北京でも感染者が増え、中国本土1日当たりの新規発症は10日、100人超となった。」と結んでいる。遼寧省の瀋陽市と大連市は11日、それぞれ記者会見を開き、感染の発生源を明かにしている。中国では、単に検査が徹底されているだけでなく、発生源をウイルスの遺伝子解析で追っている。科学的に一番明確に出来るからだ。市当局は「疫学調査・ビッグデータ分析、PCR検査・血清抗体検査、全ゲノム解析を通じて、」「発生源が特定され、その感染経路も明らかとなった」と述べている。舛添要一氏が言うように、どうして中国のように日本は科学的な対策が、徹底し、また集中して行われないのだろうか。今日のヤフー・ニュースでは、内科医で医療ガバナンス研究所上昌広理事長が「「医師多数・コロナ患者少数」の日本が医療崩壊する酷い理由」を書いている。「日本が医療崩壊する酷い理由」は、要は、厚生労働省の対応が悪いだけなのだと言う。日本以外の主要国では、新型コロナウイルス感染の重症者は専門病院が中心となって治療されているが、日本では、大病院に集中されず、分散して治療が行われているために、簡単に一般医療へも影響を及ぼし、破綻する。「欧米は「医師少数・感染者多数」でも医療崩壊なし」である、「どうして日本の医療が崩壊してしまうのだろう。 それは、日本では重症者を集中的に診る病院がないからだ。」と言う。「重症患者を方々に分散入院させた「日本の失策」」で、「都内では、約380の施設が重症患者を受けることができる。このうち360施設の受入数は4人以下だ。10人以上受け入れることができるのは4施設に過ぎない。日本では、コロナ重症者が、多くの病院に分かれて入院している。」とある。民間病院の「非協力」を訴えるメディアがあるが、むしろ「非協力」なのは国公立の大病院だ。米国やスウェーデンなどの大学と同じように「東京なら東京大学医学部附属病院が患者を引き受けたらいいだろう。同病院には約1000人の医師が勤務し、インフラも整っている。」のだ。これほどの感染を予測する能力がなく、ひたすら感染症研究の名で、国費と利権をむさぼり、何ら科学的な対応が出来ない厚生労働省を含めた専門家集団による人災である。
雌のジョウビタキ

ワクチンよりもPCR検査の拡大を

2021-01-12 19:12:35 | 社会
今日は朝から雪が降った。出勤前に車の屋根に積もった5cmほどの雪を払った。昼休みにはまた、車の屋根に10cmほどの雪が積もってしまった。しんしんと降ると言う言葉が相応しい降り方であった。釜石でこれだけの雪になれば、内陸の遠野や北上はずっと多く降っただろう。雪になれば、出歩く人は自ずから少なくなり、新型コロナウイルスの感染は抑えられるだろう。岩手県はしばらくは感染者ゼロを続けていたが、感染が始まると、瞬く間に高齢者の感染に発展し、今では死亡率が全国一になった。もっとも、この死亡率は感染者数に対する死者数であり、人口比で言えば、大阪府や北海道が異常である。高齢者の病院や施設でクラスターが発生すると、簡単に重症者や死者の数が増える。岩手県では、11月に医師を含んだ医療関係者の会食でクラスターが発生した。感染の初期には会食が感染のきっかけにはなるだろうが、現在のように感染が大きく拡大して来ると、もはや感染は会食以外の方が圧倒的に多くなる。9日の朝日新聞によれば、政府の分科会が昨年12月に発生したクラスターを分析したところ、医療機関や福祉施設での発生が45%を占め、飲食に関連したものは約2割でしかなかった。現在、政府は首都圏だけでなく関西圏、中部へも緊急事態宣言を広げようとしているが、会食の時短要請が中心のほとんど効力のない、何の影響も与えそうにない宣言を、地域ごとに発出を遅らせる意味があるだろうか。日本のコロナ対策は、クルーズ船から酷いものであったが、以後も改善はなく、厚生労働省の医務技官系と国立感染症研究所系列に医学的な対応が牛耳られ、非科学的な対応が続けられている。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長を務める地域医療機能推進機構尾身茂理事長は、昨年10月のBioJapan2020で基調講演を行っているが、そこで、「PCR検査を増やした結果、感染を抑えられたという証拠がない」、「無症状者にPCR検査しても感染は抑えられない」などと述べている。日本のようにクラスター追跡にのみ徹する国は他にはない。しかもそのクラスター対策も、感染がこれだけ拡大すると、保健所に過剰な負担がかかり、追跡不可能となるばかりではなく、無症状・軽症感染者の自宅待機や施設待機が急増し、それらの人の健康管理すら手が回らなくなり、神奈川県や東京都は、陽性者の健康面の管理を高齢者に絞らざるを得なくなった。この新型コロナウイルス感染が厄介なのは、無症状感染者がいることと、変異が早く、急変が見られ、後遺症が多いことだ。現在、新型コロナウイルス感染症は第2類の指定感染症として、保健所が中心に診ているが、保健所は本来、普段は臨床には携わっておらず、急変もあり得る経過観察などは、保健師ではなく看護師が行うべきであり、その統括も医師資格を持つ保健所長ではなく、臨床に携わっている医師が行うべきである。経過観察を含めた医療的な現場が逼迫するのは、感染者が拡大し続けるためであり、クラスター対策そのものの失敗を示すものでもある。昨年4月の段階から日本の異様なPCR検査制限が批判されて来たが、厚生労働省の医務技官や尾身氏などは、一切無視し、検査の制限を続けて来た。この1年、仮説施設や医療体制、検査体制を整える時間は十分にあった。現在の医療逼迫や、突然の急変から死に至る出来事、全ては、まさに人災である。感染拡大が今なお続く欧州や南北米大陸、アジア・アフリカなどと中国・台湾・ニュージランド、シンガポールなどと何が違うのか、全く検討もされない。感染を抑え込んでいる国は、全て共通に、感染症の基本対策に徹している。感染者を早期に発見し、隔離する。これ以外には感染を抑え込む方法はない。日本のように屁理屈を付けて検査を制限する限りは、感染者の早期発見など不可能であり、延々と感染が続いて行くしかない。1月2日にブラジルから渡航して来た4人から英国や南アフリカとも違った変異ウイルスが見つかった。このウイルスは英国や南アフリカの変異種とそれぞれ同じ変異を含んだ上に、その二つとも異なる変異まである。南アフリカ型の変異ウイルスはワクチンの効力が10分の1しかないと言われる。感染の持続が長引けば、こうした変異が、国内で発生するばかりか日本のような甘い空港検疫では、今後も海外から日本へ入り込んで来るだろう。今日のブルームバーグ日本語版は、米国でワクチン接種が進まない状況を報じている。「米ノースカロライナ州とオハイオ州では、高齢者福祉施設の大半の職員が新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチン接種を拒否している。取材したフロリダ州の医師も、ニューヨーク市の救急医療隊員も接種を受ける気はないと話す。」「看護師や消防士なども、過去最速で使用が認められたワクチンの安全性に疑問を投げ掛けている。」とある。大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之教授は、基本的にワクチンには3種類の副反応があると言う。「一つ目は即時に、接種して数日以内に出てくるもの、二つ目は2週間から4週間たってから出てくるもの、三つ目はワクチン接種者が感染した場合に出てくるもの」で、ファイザーは第3相臨床試験で、半数の2万1000人超しかワクチンを接種しておらず、100万回に数回しか現れないような副反応は、2万人超では見えない可能性があると指摘している。「二つ目の遅い方の副反応の典型は、脳炎などの神経障害、それから末梢神経がまひするギランバレー症候群などが」あると言われる。「三つ目の副反応はADE(抗体依存性感染増強)と呼ばれ、ワクチン接種後に抗体ができ、その抗体のために新型コロナ感染症が悪化するというもの」だ。昨日のDIAMOND onlineの「コロナワクチン「3つの副反応」リスクに免疫学の第一人者が警鐘」と題する記事で述べている。病気である人を治療するための薬とは異なる、現在、健康な人を前提としたワクチンは最も安全であるべきだが、緊急時だからと、その安全性を十分確認する間も無く、いきなり許可すること自体が問題である。先のブルームバーグでは、「『実験台』といった言葉も聞かれる」とあるが、まさにその実験台である。しかも、重い副反応が出た場合の責任の所在も明かではない。WHO世界保健機関は、ワクチン接種が国民の平均所得が高い国に集中していて、新興国でワクチンの流通が遅れる恐れがあり、全人口の6~7割が免疫獲得する必要がある集団免疫は2021年中に達成できないと昨日報じられた。WHOは安全性の十分な確証なく、ワクチン接種を推進するが、この新型コロナウイルス感染では、ウイルス の変異とワクチンの改良の、まさに、いたちごっことなりかねない。ウイルスと日本政府の対応を考えると、長期化は避けられない。

「民主政の敗北宣言」

2021-01-11 19:18:33 | 社会
今朝は気温が−6度まで下がったが、同じ東北でも太平洋側は日本海側のような大雪は免れている。裏通りにはまだ凍ったまま溶けない路面もあるが、表通りはほとんど通常の乾いた路面である。欧州でも強いサイクロン「フィロメナ」が直撃し、各地に暴風雨や大雪をもたらし、スペインの首都マドリードでは除雪作業が追い付かず、首都機能が麻痺している。スペイン国防相は国営ラジオで、スペイン全土を襲った暴風雨と豪雪について「完全に前例のない事態」だと述べている。スペインは感染者数では205万人を超え、世界で9番目に感染者の多い国である。死者も5万2000人に迫っている。1月8日の1日の感染者数は2万5456人とやはり第3波を形作っている。連日、曜日毎に過去最多の感染者数を更新し続ける日本も第3波で、政府は7日に首都圏の1都3県に対して、緊急事態宣言を発出した。フランス政府の国際放送ラジオ・フランス・アンテルナショナルRadio France Internationale(RFI)の1月6日の中国語版は「日本再发紧急事态宣言难以奏效(日本の再発出された緊急宣言は効果がない)」と題する記事を載せている。日本の首相は「約1年の時間で問題は徐々に明確になって来た。限定的、集中的な緊急事態発令が効果的である」として、飲食業の営業時間などの制限に集中しているが、「日本の緊急事態宣言再発出は、時すでに遅しだ」と述べている。昨年4月に最初の緊急事態宣言が出された時は、1日の新規感染者数は368人であったが、昨年12月31日の新規感染者数が4521人と当時の12倍にまで増加していると書いている。今回の緊急事態宣言が出された1月7日の新規感染者数は7570人でさらに増えており、昨春の20倍である。今回は前回のような「接触8割減」さえない「ぬるま湯」の方針で、学校の停止や感染者の隔離・追跡に関する科学的、具体的な取り組み強化などには踏み込んでいない。「前回の十数倍も深刻な状況で、前回よりも緩く、計画性もない措置を講じていては、何の効果も生じ得ない」とする。どんな病気も早期発見・早期治療が大原則であるが、感染症はなおさら早期発見しなければ、感染拡大は抑えられない。これほど当たり前のことが、今なお行われず、感染者が拡大し続けるために保健所での業務過多が露呈し、待機者の無駄な死の増加となり、医療現場の逼迫状態をもたらしている。東京都もついに濃厚接触者の追跡調査を大幅に縮小し、「積極的疫学調査」の対象を高齢者などの利用者が多い場所に限定せざるを得なくなっている。感染者が急増し、濃厚接触者の追跡に手が回らなくなると、先ず、濃厚接触者から「マスク着用者」を外した。この矛盾した策を取らざるを得ないほど、保健所の手が回らなくなった。今日の文春オンラインは、「「小池都知事は責任を果たせ!」命の選別が迫る医療現場…杉並区長が“無策すぎる都政”を告発」なる東京の杉並区長へのインタビュー記事を載せた。先月のうちに東京都自体が感染者の急増を予測していたにもかかわらず、国との駆け引きにのみ時間を費やし、急増への準備を怠って来たことを「告発」した内容だ。これは東京都だけでなく、政府にも言えることである。厚生労働大臣として2009年の新型インフルエンザ対策に当たり、東京都知事も歴任した政治学者の舛添要一氏は、昨日のTwitterで、「北京に隣接する河北省の中心都市、石家荘では、全市民1025万人にPCR検査をするためのテントを10時間で立ち上げた。これは共産党独裁だからできると言う者がいたら、それは民主政の敗北宣言であり、日本の技術の立ち後れ、政府のやる気の無さに注意を向けたほうがよい。愕然とする怠慢である。」と書いている。今日のロイター通信によれば、中国本土の昨日の新規感染者は103人と、前日の69人から増加し、昨年7月30日(127人)以来最多となった。このため、中でも感染者が多い河北省石家荘市を封鎖し、一気にPCR検査を行うのだが、検査用の特別テントが瞬く間に設営される動画付きで舛添氏はTwitterを書いている。無症状感染者が多いこの新型コロナウイルス感染では、国の基準の有症感染者中心の検査だけでは、多くの感染者を見逃してしまう。積極的な検査こそが現代の科学時代の感染症対策の基本である。英国が変異ウイルスの存在を公表すると、途端に、国立感染症研究所が、空港検疫の陽性者の遺伝子解析を行うようになった。それまでは解析を行っておらず、間違いなく、それ以前にすでに英国型の変異種は日本国内に入ってしまっただろう。東京大学先端科学技術研究センター児玉龍彦名誉教授は、今回の新型コロナウイルス感染は、変異が早く、変異したウイルスが樹木で言う枝葉を一時的に急激に形作るが、ウイルスは急速に感染すると、自ら崩れ、感染は減少し、また別の変異種が現れて、別の枝葉を形作る。これを繰り返すが、重要なのは無症状感染者が幹となっていることで、その幹を断たないことには、感染は終息しないと言われている。この幹を断つ唯一の方法がPCR検査である。日本の感染症「専門家」だけが、世界に孤立するPCR消極論である。そして、ひたすら自粛だけを訴えている。自粛ではこの感染は抑えられない。感染の波が来るたびに、波は大きくなって行く。長期化は精神の緊張を持続させられず、ウイルスの変異を大きくもするためだ。欧米はむろん、多くのアジアの国も、ウイルスに対峙しようとする。病原性ウイルスは消滅させるべき相手と見ている。しかし、日本だけが「with」コロナなどと言っている。それは「無策」の裏返しでしかない。

「そこまでのものではない」コロナに負け続ける日本

2021-01-09 19:10:00 | 社会
今朝、釜石では-9.1度まで下がった。隣の遠野市では-21.7度にもなっている。今年は異常な寒さで、隣県の秋田県の雪の多さも異常である。自衛隊が出動して屋根の雪下ろしをしなければならないほどである。屋根に積もった雪が落ちて、下にいた人がその落ちた雪に埋まり窒息死している。この異常気象は日本だけではない。中国や欧米にも及んでいる。太平洋の赤道付近から南米大陸にかけての水温が平年より低いとラニーニャ現象と呼ばれる気象異常が発生し、冬は中緯度地域の気温が下がる。現在の地球の気象はこのラニーニャ現象の影響を受けているが、今冬はそれだけではないようだ。北極圏での水温が上昇すると、北極成層圏を破壊する北極上空50,000〜100,000フィートの温暖化が生じる。これを成層圏突然昇温(SSW)と言うようだ。この成層圏突然昇温が生じると、北極圏の寒気が中緯度へ流れ込んで来る。今冬は、従って、ラニーニャ現象と成層圏突然昇温の二つの現象が重なって生じているために異常な寒気が流れ込んで来ていると言うことのようだ。成層圏突然昇温は通常は1ヶ月程度持続すると言う。気温が下がり、空気が乾燥するほど、ウイルス活動は活発になる。これまで、英国、南アフリカ、ナイジェリアの3つの変異ウイルスの発生が報告されていたが、米国でもどうやら4つ目の変異ウイルスが発生した可能性があるようだ。米国ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策本部によれば、この変異種は従来のウイルスより感染力が50%強い可能性があると言う。ただ、これはあくまでも感染の拡大の異常な早さから類推されたもので、他の3つの変異種のようにウイルスの遺伝子が解析されたわけではない。米国のJust the News.と言うメディアの今月7日の「Poll: Nearly half of U.S. voters believe public health officials have misrepresented pandemic data(世論調査:米国の有権者のほぼ半数が、公衆衛生当局がパンデミックデータを不当表示したと考えている)」と言う記事によると、有権者の48%は、公衆衛生の指導者が特定の政策への支持を構築するために「データを不実表示」したと信じているようだ。当局がパンデミックについて「真実を報告した」と考える人は38%しかいなかった。米国国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチAnthony Fauci所長は、世論調査で、米国民の約半数しかワクチンを接種しないと言う結果を見て、集団免疫のためには70~75%の人が接種する必要があると述べ、その後、新しい世論調査で国民の60%がワクチンを接種することが分かると、集団免疫のためには80~85%の人が接種する必要があると数値を変えた。しかも、最終的には、結局、米国民の何%がワクチンを接種すれば集団免疫が得られるか知らないと答えた。こうした公衆衛生の指導者のあり方が、国民に不信感を与えたのだ。昨日のNewsweek日本語版は、「米でコロナワクチン接種進まず まさかの医療従事者が接種拒否も」と題して、米国では7日までに2100万回分のワクチンが準備されているにもかかわらず、1回目の接種を受けたのは約600万人であり、「保健当局によると、医療従事者の約25%がワクチン接種を拒んでいる」と言う。昨日は世界でも1日の新規感染者数は83万5273人で最高記録となっているが、米国も28万人、英国は7万人に迫る勢いである。死者は米国では2日連続4000人を突破した。厳しいロックダウン中の英国では、昨日は1日の新規感染者が約6万8000人、死亡者数1300人で、いずれも記録を更新している。昨日、英国のロンドン市長は感染拡大が「制御不能」で、「ウイルスがロンドンにもたらす脅威が危機的な状況にあるため、重大インシデントを宣言する」と表明した。「重大インシデント」は通常、攻撃や重大事故の発生時に指定される。ロンドンでは救急車の搬送要請は1日最大で9000件にもなっている。新型コロナウイルス発生当時に、軽視した英米と同じく、「新型コロナはそこまでのものではない」と侮った「感染症専門家」がいた日本は今になって、コロナの手痛い攻撃に遭っている。隣国中国は共産主義で、人権無視と言われるが、コロナに関しては、よほど科学的な対応を行っている。昨日聞いた大連市の知人の話によると、中国人が日本から中国の大連市へ帰国する場合、現在は、直行便が無くなったため、先ず、上海へ飛行機で飛び、上海で宿泊設備で「3週間」過ごさなければならない。しかも、3週間後に検査で陰性であっても、上海市から大連市へ飛んでからも大連市ではさらに1週間隔離される。隔離期間は合わせて4週間である。海外から帰国して2週間隔離した人が、隔離解除の2日後に陽性となったことから、3週間の隔離に変更されたと言う。昨春は東アジアの優等生と自認していた日本は、今では東アジアで最悪となった。相も変わらず、理性や合理性ではなく、「自粛」と言う精神性にだけ訴える「対策」で乗り切ろうとしている。こうした「戦い」の結果がどうなるかは、すでに日本の歴史が示している。残念ながらウイルスが勝ち続けるだろう。
スズガモ(雌)

乖離する資産価格

2021-01-08 19:14:19 | 社会
英国BBCによると、5ヶ月ぶりに中国の河北省石家荘市で100人を超える新型コロナウイルス感染者が発生した。人口1100万人の石家荘市で119人の感染者が出たため、同市はロックダウンされ、全市民への検査が5000箇所以上で行われている。記事では「集団感染が発生すると、比較的小規模の場合でも、大がかりなウイルス検査を実施している。」と書かれている。米国の今日のThe Washington Postワシントンポストの「People without symptoms spread virus in more than half of cases, CDC model finds(半数以上の例で症状のない人がウイルスを広げている、CDC疾病予防管理センターのモデルで分かる)」と題する記事によると、全ての感染の59%が症状のない人からの感染であった。そして、その構成部分の35%の人は、自分が発症する前に他の人に感染させており、残りの24%の人は発症せず無症状のままであった。CDC感染症ジェイC.バトラーJay C. Butler副局長は「The bottom line is controlling the covid-19 pandemic really is going to require controlling the silent pandemic of transmission from persons without symptoms(肝心なのは、covid-19のパンデミックを制御するには、症状のない人からの感染のサイレントパンデミックを制御する必要があるということだ)」と述べている。世界では、もはや無症状感染者の発見が、感染を抑えるためには重要であり、そのためにはPCR検査を増やすしかないことが科学的であることが理解されている。現在の日本は一見首都圏中心に感染が連日拡大しているように見えるが、昨日など全国の20の都道府県で過去最多を更新している状態である。首都圏の急速な増加から見ると、英国型の変異種の市中感染が起きていることは間違いないだろう。緊急事態宣言などと仰々しい言葉が使われても、「エビデンス(科学的根拠)」が示されない飲食店の時短要請がメインであり、劇場や映画館などは許され、さらに、予想された渡航制限なども行われず、11カ国からのビジネス目的の渡航は許される。首都圏の通勤電車の混雑もさして変わらない。密を避けるどころではない。にも関わらず、こうした交通機関は停止されない。仕事も通常と変わらないのだ。これで感染拡大を抑えられると考える専門家や政治家が今の日本のコロナ対策を行っている。よほどの大きな対策変更がない限りは、日本での感染終息は絶望的である。もっとも、英国の研究者の中にも終息には数年かかると言う人もいる。感染症は中途半端を続ければ続けるほど、無駄な犠牲者を出し、無駄な予算を食った上に、世の中の経済は悪化する。人の気力も続かなくなる。失業者が増え、生活困窮者が増えるばかりである。「比較的小規模の場合でも、(短期間だけ厳しい封鎖を行い)大がかりなウイルス検査を実施」することが早期終息につながり、結果的に経済負担も少なく、経済悪化も最小限に抑えられる。これほど分かり切ったことがポピュリズムが蔓延する世界ではなかなか実行されない。政界の指導者の劣化は、その意味では日本だけではないようだ。共産主義国で出来て、何故、資本主義の「先進国」で出来ないのだろう。日本以上に厳しいロックダウンを行って来た欧米すら、終息には程遠い。そして、「日本型モデル」などと浮かれていた昨春の終わりにこそ、検査拡充や専門病院の整備を、日本はしておかなければならなかった。首都圏でのPCR検査の拡大、特に医療従事者の定期的な検査を今、取り入れていなければ、さらに医療現場は悲惨になる可能性がある。見えない感染は容易に医療施設内に潜り込んで来る。コロナ専門医療だけでなく、一般医療も麻痺しかねない。老人施設や医療機関での感染は、そのまま重症者や死者の増加につながる。感染が急拡大している中で、日本の株も今日は「1990年8月以来ほぼ30年半ぶりに2万8000円を超え」た(ブルームバーグ)。株価が実体経済以上に上昇するのがバブルである。コロナ禍で世の中の経済は極めてよくない。そんな中で株価は異常な上昇を見せている。株価だけではなくビットコインもである。ビットコインは昨年だけで5倍にもなっている。日本では1000万円以上の腕時計が平年以上に売れている。株式やビットコインなどの資産価格が上昇し巨大な利益を得れば、贅沢品も買えるだろう。貧富の格差も感染と同じく確実に拡大している。その元凶は中央銀行の超の付く、異常な金融緩和である。米国の巨大投資会社GMOの創設者の一人で、過去3回のバブルを的確に予想したバブルの研究家でもあるジェレミー・グランサムJeremy Grantham氏は、自社のHPで、「The long, long bull market since 2009 has finally matured into a fully-fledged epic bubble. (2009年以来の長く長い強気相場は、ついに本格的な壮大なバブルへと成熟しました。)」と言う書き出しで始まるサマリーを載せている。「the great bubbles of financial history(金融史に残る巨大バブル)」と言う言葉を使っている。「巨大なバブルとは、財産が作られ、失われるところだ。」との警告である。歴史上、永遠に続くバブルなどなく、永遠に続く債務や金融緩和もない。いずれも巨大になればなるほど、終わりもより悲惨である。
キンクロハジロ(雄)1羽とスズガモ(雌)2羽

「新型コロナ感染症対策として、PCR検査を拡充することは」

2021-01-07 19:18:15 | 社会
国家の感染症対策には、秀でた感染症専門家の存在が重要だが、最終的な判断は政治家が行う。従って、やはりその国の感染症対策と言うことになれば、政治家の能力が問われる。日本では昨年春の第1波で、緊急事態宣言を出して、一旦は感染が減少に転じたが、終息することなく、夏の第2波となった。この時点で、政府は感染症専門家を入れ替えるべきであった。また、専門病院の整備にも着手するべきであった。300億円もかけた英国の専門病院が機能しないまま、無駄になったことを考えれば、やはり中国のような緊急仮説病院で十分である。「検査を増やせば医療崩壊する」などと言う「専門家」など、日本以外にはいない。検査を抑え続けた結果が、現在の首都圏の「医療崩壊」である。今になって民間病院の「非協力」を問題視するなど的外れな議論が浮上している。何十年もかけて医療福祉の予算を削り続けて来たのが政府である。民間病院はすべてコスト削減した上で、さらに看護職などの人材不足と言う二重苦と戦って来ている。介護施設なども介護の人材確保に苦心するが、低い給与で簡単には人材を集められない。そんな民間医療機関や介護施設で新型コロナ感染が広がれば、大きな赤字を抱えざるを得なくなる。まして、重症患者の受入れなど簡単には出来るものではない。東京都は民間病院が8割である。つまり従来から東京都はギリギリで経営を続けている民間病院に通常医療を頼って来たのだ。感染症と言う極めて特殊な病気が発生した。これこそ公的な病院が担うべき医療である。警察庁の調べでは、昨年3月から12月までで、死後に新型コロナウイルス感染だと分かった人や、新型コロナウイルス感染で自宅や施設で待機中に亡くなった人が122人いたと言う。第2類感染症の縛りを設けながら、何故、その人たちが見過ごされているのか。北海道大学病院のHPには、「唾液を使ったPCR検査について」が載せられている。最初に「新型コロナ感染症対策として、PCR検査を拡充することは、早期診断、感染拡大防止において重要な課題です。」と書かれている。「国立感染症研究所の検体採取マニュアルには、PCRの検体は喀痰や、鼻咽頭ぬぐい液(スワブ)と指定されてい」て、「スワブ検査の実施は、医師、看護師、臨床検査技師等に限られています。感染リスクもあるため、その人員確保は難しく、検査に要するマスクやガウンなどの防護具も不足していました。」、そして、「我々は唾液による検体採取が鼻咽頭ぬぐい液と同等の検査精度をもつ可能性を示し、厚生労働省も唾液によるPCR検査を認めました」とある。「PCR検査とは」では、4種類の塩基で構成された遺伝子では「塩基の並び方は生物毎に異なるため、塩基の並び方(塩基配列)を調べることによって、生物の種類や、病気などの異常があるかを調べることができます。」と書かれ、具体的なPCR検査の仕組みが解説され、後には、「ただし、壊れたウイルスの遺伝子(痕跡)も検出する可能性があり、実際にウイルスが悪さをしているか(感染性があるか)は区別できません。」とある。いわゆる偽陽性が含まれると言うことだ。問題が含まれる検査ではあるが、あくまでも「新型コロナ感染症対策として、PCR検査を拡充することは、早期診断、感染拡大防止において重要な課題」である。しかし、日本ではいまだに1日に可能なPCR検査は最大で13万件でしかない。昨年6月18日、NHKは「「PCR検査 主要国並み1日20万件に強化を」提言」を報じている。中国や米国では昨年秋にはすでに1日100万件を達成している。何故、民間のPCR検査を活用しないのか。行政が行うPCR検査機器よりはるかに進んだ全自動の精密な機器が導入されている。結局は、国立感染症研究所が全てのデータを掌握したいために民間を活用したくないのである。何度「緊急事態宣言」を発しようと、日本では現在の厚生労働省医系技官や国立感染症研究所系列の専門家が牛耳る限り、感染は終息しない。PCR検査が制限されて、無症状・軽症感染者が検出されないからである。日本よりはるかに多く検査が可能で、実際にも検査を膨大に実施している欧米で、では、何故感染拡大が続くのか。それはロックダウン時に徹底的な検査をしないからである。中国や台湾、ニュージランドなどはそれを行っている。中国は国土も広く、人口も世界最多の国であるため、地域的に散発的な発生はある。先日、中国の知人から聞いた話では、大連市で散発的な発生があると、大連市から他の都市へ行く場合も、他の都市で2週間の隔離が行われると言う。つまり、国外からの場合と同じく、国内の移動でも、同じ処置が取られている。現在、英国は3度目のロックダウンに入っているが、これで感染拡大が減少して来た時が重要だ。漫然と解除するのではなく、地域ごとに2週間以上新規感染がゼロのところを見定め、ゼロではない地域は徹底検査を行う。大連市などは、わずか60人の発生だけで、市民698万人全員を、しかも2回も検査している。検査を受けて、検査結果がスマートフォン に通知され、それを見せることで行動が出来るようになる。入店時にはそれを提示しなければならない。良くも悪くも、いずれ日本にもそんな時代が来るのかも知れない。1年前、大連市を訪れ、一番驚かされたのは、スマートフォンでの決済でなければ、どこへ行っても支払いが出来ないことだった。現金支払いはもう少なくとも中国の主要都市では出来なくなっている。その時、日本でもいずれはこうなるのだろうと思った。今回の緊急事態宣言は昨春の宣言よりずっと厳しくない内容だ。このままであれば、全国の感染の減少は緩やかで、首都圏の医療はかなり困窮することになるだろう。経済はむろん、感染もますます先が見えなくなっている。

意図的な感染放置か?

2021-01-06 19:10:50 | 社会
昨日の午後から小雪が舞ったが、わずかずつ降り積もった雪が今朝までに10cmほどになった。今日は最低気温が-5度で最高が3度になった。隣りの遠野では朝、-13度になっている。明日からまた強い寒気が列島にやって来る。釜石でも少しはまた雪が降るようだ。寒気が続くため、すっかり夕方のウォーキングはしなくなった。ウォーキングコースの路面にはまだ凍ったところが残り、すでに暗くなった中では、どこに凍ったところが残るか分からない。家の近くは裏通りになるので、尚、凍ったところが多く残る。 英国では昨日、ついに1日での新規感染者は6万916人となり、初めて6万人を超えた。死者は1日で830人である。現在のロックダウンの効果はまだしばらく見られないだろう。予測数値が比較的現実に近いとされるGoogleによる日本の予測では、今月21日の1日の新規感染者数が1万537人で、ピークとなっている。以後は少しずつ減少する予測である。一応、緊急事態宣言が加味されているのだろう。しかし、死者の方は、新規感染者とはズレがあるため、増え続け1月31日時点で、1日の死者数は529人の予測となっている。17日に100人を初めて超えて102人となってからは、一気に増加する。「8割おじさん」と言われた西浦博京都大学教授のシミュレーション結果では、昨年春の緊急事態宣言と同レベルの効果があるとした場合、感染収束には2月末頃まで厳しい措置を続ける必要があると言う。予測はあくまで予測でしかないが、はっきり分かることは、日本の今回の緊急事態宣言では、感染は終息させられないと言うことだ。昨日のTwitterで、内科医で医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、「日本は感染症や公衆衛生関係者が、「擬陽性」とか「陽性的中率」といって、感染症ムラの利権を守ってしまいました。もしPCRをやれば、医療が崩壊するなら新しい所見です。『ネイチャー』に発表して、世界に情報提供すべきです。相手にされないことはわかっていたのでしょう。最近は言わなくなりました」と書いている。世界中がPCR検査で陽性者を見出し、行政検査すらPCR検査が中心であるにもかかわらず、このPCR検査を一貫して制限したままである。現状では感染者を見出す有効な他の科学的手段はない。未だに日本の検査数は100万人あたりでは、世界の220の国・地域のうちで149位と言う少なさである。これは要するに、感染者を科学的に見出すことに積極的になっていないことを意味している。国民の自粛努力が足りないのではなく、国が感染者を見出す努力をしていないのである。このためにいつまでも感染が続いている。国が真剣に感染を減らそうとしていないことは、空港検疫でも見られて来た。PCR検査よりも精度の落ちる抗原検査にわざわざ切り替えた。おそらく多くの見逃しが発生しているだろう。英国タイプの変異ウイルス感染者が市中で見出されたのもそのためである。感染が少ない時に、その少ない感染者の発生した地域に徹底的なPCR検査を行い、隔離する以外には、終息には至らない。日本も多くの欧米諸国も、感染が大きく拡大するまでほとんど何もやらずに、ただ国民の自粛だけを当てにする。感染が大きく拡大してからロックダウンのようなことを行っても、感染拡大を抑えることは出来ても、感染者をすべて洗い出せているわけではない。飛び出したモグラは叩けても、潜んだモグラは叩けない。そして、その潜んだモグラがいる限りは、感染は続いて行く。世界中がわざわざ無駄に時間を潰し、わざわざ経済を悪化させている。感染拡大が大きくなってからのロックダウンほど経済悪化も酷くなる。むしろ、感染が拡大していない時にこそ短期のロックダウンと徹底検査を組み合わせることで、感染も終息し、経済も最小限の悪化で止められる。意図的にコロナを利用して経済悪化を招来させているようにしか見えない。西側先進国の政府と民間の債務は空前の額となっており、特に政府の債務は、ほとんどどの国も返済が困難である。唯一の解消策が中央銀行による通貨印刷であり、まさに今、先進国はそれに励んでいる。政府はとりあえず今はそれで助かっているが、民間ではそのためにバブルがこれも空前の膨らみとなっている。実体経済の悪化と言う現実から駆け離れた空前のバブルは、あくまでバブルであり、バブルである限り、必ず弾ける時が来る。それが歴史である。バブルが弾けると共に、経済はまさに空前の悲惨さを見せることになる。もはや政府や中央銀行も通貨印刷では凌げないかも知れない。通貨、特にドルへの信用は、その時、急落しているだろう。この時が世界経済フォーラム、通称ダボス会議の「グレート・リセット」になるのかも知れない。デジタル集権国家の誕生である。