釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「民主政の敗北宣言」

2021-01-11 19:18:33 | 社会
今朝は気温が−6度まで下がったが、同じ東北でも太平洋側は日本海側のような大雪は免れている。裏通りにはまだ凍ったまま溶けない路面もあるが、表通りはほとんど通常の乾いた路面である。欧州でも強いサイクロン「フィロメナ」が直撃し、各地に暴風雨や大雪をもたらし、スペインの首都マドリードでは除雪作業が追い付かず、首都機能が麻痺している。スペイン国防相は国営ラジオで、スペイン全土を襲った暴風雨と豪雪について「完全に前例のない事態」だと述べている。スペインは感染者数では205万人を超え、世界で9番目に感染者の多い国である。死者も5万2000人に迫っている。1月8日の1日の感染者数は2万5456人とやはり第3波を形作っている。連日、曜日毎に過去最多の感染者数を更新し続ける日本も第3波で、政府は7日に首都圏の1都3県に対して、緊急事態宣言を発出した。フランス政府の国際放送ラジオ・フランス・アンテルナショナルRadio France Internationale(RFI)の1月6日の中国語版は「日本再发紧急事态宣言难以奏效(日本の再発出された緊急宣言は効果がない)」と題する記事を載せている。日本の首相は「約1年の時間で問題は徐々に明確になって来た。限定的、集中的な緊急事態発令が効果的である」として、飲食業の営業時間などの制限に集中しているが、「日本の緊急事態宣言再発出は、時すでに遅しだ」と述べている。昨年4月に最初の緊急事態宣言が出された時は、1日の新規感染者数は368人であったが、昨年12月31日の新規感染者数が4521人と当時の12倍にまで増加していると書いている。今回の緊急事態宣言が出された1月7日の新規感染者数は7570人でさらに増えており、昨春の20倍である。今回は前回のような「接触8割減」さえない「ぬるま湯」の方針で、学校の停止や感染者の隔離・追跡に関する科学的、具体的な取り組み強化などには踏み込んでいない。「前回の十数倍も深刻な状況で、前回よりも緩く、計画性もない措置を講じていては、何の効果も生じ得ない」とする。どんな病気も早期発見・早期治療が大原則であるが、感染症はなおさら早期発見しなければ、感染拡大は抑えられない。これほど当たり前のことが、今なお行われず、感染者が拡大し続けるために保健所での業務過多が露呈し、待機者の無駄な死の増加となり、医療現場の逼迫状態をもたらしている。東京都もついに濃厚接触者の追跡調査を大幅に縮小し、「積極的疫学調査」の対象を高齢者などの利用者が多い場所に限定せざるを得なくなっている。感染者が急増し、濃厚接触者の追跡に手が回らなくなると、先ず、濃厚接触者から「マスク着用者」を外した。この矛盾した策を取らざるを得ないほど、保健所の手が回らなくなった。今日の文春オンラインは、「「小池都知事は責任を果たせ!」命の選別が迫る医療現場…杉並区長が“無策すぎる都政”を告発」なる東京の杉並区長へのインタビュー記事を載せた。先月のうちに東京都自体が感染者の急増を予測していたにもかかわらず、国との駆け引きにのみ時間を費やし、急増への準備を怠って来たことを「告発」した内容だ。これは東京都だけでなく、政府にも言えることである。厚生労働大臣として2009年の新型インフルエンザ対策に当たり、東京都知事も歴任した政治学者の舛添要一氏は、昨日のTwitterで、「北京に隣接する河北省の中心都市、石家荘では、全市民1025万人にPCR検査をするためのテントを10時間で立ち上げた。これは共産党独裁だからできると言う者がいたら、それは民主政の敗北宣言であり、日本の技術の立ち後れ、政府のやる気の無さに注意を向けたほうがよい。愕然とする怠慢である。」と書いている。今日のロイター通信によれば、中国本土の昨日の新規感染者は103人と、前日の69人から増加し、昨年7月30日(127人)以来最多となった。このため、中でも感染者が多い河北省石家荘市を封鎖し、一気にPCR検査を行うのだが、検査用の特別テントが瞬く間に設営される動画付きで舛添氏はTwitterを書いている。無症状感染者が多いこの新型コロナウイルス感染では、国の基準の有症感染者中心の検査だけでは、多くの感染者を見逃してしまう。積極的な検査こそが現代の科学時代の感染症対策の基本である。英国が変異ウイルスの存在を公表すると、途端に、国立感染症研究所が、空港検疫の陽性者の遺伝子解析を行うようになった。それまでは解析を行っておらず、間違いなく、それ以前にすでに英国型の変異種は日本国内に入ってしまっただろう。東京大学先端科学技術研究センター児玉龍彦名誉教授は、今回の新型コロナウイルス感染は、変異が早く、変異したウイルスが樹木で言う枝葉を一時的に急激に形作るが、ウイルスは急速に感染すると、自ら崩れ、感染は減少し、また別の変異種が現れて、別の枝葉を形作る。これを繰り返すが、重要なのは無症状感染者が幹となっていることで、その幹を断たないことには、感染は終息しないと言われている。この幹を断つ唯一の方法がPCR検査である。日本の感染症「専門家」だけが、世界に孤立するPCR消極論である。そして、ひたすら自粛だけを訴えている。自粛ではこの感染は抑えられない。感染の波が来るたびに、波は大きくなって行く。長期化は精神の緊張を持続させられず、ウイルスの変異を大きくもするためだ。欧米はむろん、多くのアジアの国も、ウイルスに対峙しようとする。病原性ウイルスは消滅させるべき相手と見ている。しかし、日本だけが「with」コロナなどと言っている。それは「無策」の裏返しでしかない。

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