釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

感染の持続と経済の悪化

2021-01-04 19:14:35 | 社会
首都圏では再び、飲食中心に「限定・集中的」に緊急事態宣言が実施されようとしている。何かと言えば飲食関係が標的にされているが、その科学的根拠は一切公表されない。東京都で言えば、PCR検査陽性者の7割は、経路が辿れない市中感染であり、経路が明かな残り3割の半分は家庭内感染である。これを考えただけでも、飲食店に焦点を当てる意味合いは薄い。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、昨日のツィッターで「コロナ感染拡大は人災の側面があります。大した根拠もなく、クラスター対策に固執し、PCRを抑制した医系技官や尾身先生などの専門家の責任が重いのですが、実際には飲食店や夜の街の経営者が批判されています。おかしくありませんか。彼らは被害者です。」と書いている。首都圏の増加状態と、すでに21人の英国タイプ変異ウイルスが検出されていることを考えると、少なくとも首都圏ではもう英国タイプの変異ウイルスの感染が拡大していると考えられる。その変異ウイルスの本家である英国では地域的なロックダウンに入っても、毎日5万人を超える新規感染者が出て、昨日、英国首相は、さらに厳しい処置を取らざるを得ないだろうとBBCのインタビューで答えている。英国の状態を考えると、おそらく日本で「限定・集中的」に緊急事態宣言を発しても、春ほどの効果は得られないだろう。こうした行動制限は、感染症ではむしろ感染が拡大する前に行わなければ、効果は出ない。しかも、それはPCR検査の徹底と抱き合わせでなければ、終息にはつながらない。癌遺伝子治療の大家である中村祐輔東京大学名誉教授は、ブログで「鎖国でインフルエンザが日本に入っていない状況だからインフルエンザが抑えられているというが、コロナ感染症は広がり続けている。その大きな理由のひとつが、無症状感染者という厄介な存在だ。」「オールジャパンで対策を・・・・・それは正しい。しかし、事実から科学的な考察ができない一握りの人達が科学行政を牛耳ることなど、どう考えても間違いだ。地上に出現したモグラを叩くだけではなく、地下に潜んでいるモグラまで絶滅させる対策が必要だ。そして、私が恐れるのは進化を遂げ、地下深くで広がっていくモグラの出現だ。RNAウイルスの変異率の高さとワクチンの作り出す抗体のイタチごっこがこれから始まる。 危機管理は最悪を想定するという基本を考えれば、PCRによるすべてのモグラの追跡と根絶が必要だ。」、「初めてコロナウイルス感染症が確認されて以降、PCR検査をすると医療崩壊が起こるという本末転倒の専門家の意見から始まり、日本の科学の脆弱さをさらけ出した1年とも言える。」、「検査と隔離で「ゼロコロナ」を目指す体制は、PCR検査の絞り込みと、早々と出た「ウイズコロナ」宣言で、日本では幻となってしまった。最近のイギリスからの変異ウイルスの件など、「現在のところ確認されていない」は1日でひっくり返り、政府の無責任さと科学的思考力のなさ」が浮き彫りとなった。ウイルスの遺伝子解析をしていたのか、していなかったのか?していたのならば何人について調べたのか、その数字があって初めて科学的な対策をとることができるはずだ。「見つかっていない=十分に調べていない」のか、「十分に調べたけれども、存在しなかった」のでは意味が全く異なる。」などと書いて、政府や「専門家」の非科学的「対策」を批判している。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンで免疫学を研究中の小野昌弘医師は、ヤフー・ニュースで、英国では昨年4月の段階で、早くも感染症、公衆衛生・疫学・統計、遺伝子分析の専門家が参加した全英的共同研究チームが立ち上げられ、1400万件のPCR検査のうち14万件ものウイルス遺伝子分析が行われたことを述べている。その結果、新型コロナウイルスの突起部分、スパイクだけで4000もの変異を見出している。今回問題となっている感染力が強いと言われる英国タイプの変異ウイルス は、スパイクに8つの変異があると言う。すべての新型コロナウイルスワクチンは、このウイルスのスパイク部分を基に開発されており、そのスパイク部分が変われば、ワクチンの効果が消失する可能性が出て来る。今回の英国タイプの変異ウイルスではワクチンに効果があったとしても、長引くうちに、ワクチンが効かない変異ウイルスが出現する可能性は十分あるだろう。今日のブルームバーグ日本語版では、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員が、緊急事態宣言について、首都圏で発令されると、1-3月期のGDP成長率の前期比マイナスや景気二番底のリスクが高まると分析し、「景気に配慮して決断が遅れてしまったことで、かえって景気を悪化させることになってしまった」と指摘している。何事も問題が小さいうちに摘み取らねばならない。感染が拡大してから手を打っても、弊害を大きくするだけで、結局は感染そのものすら終息させられない。中国だけでなく、台湾やニュージランドのような模範があっても、学ぼうとはしない。学ぶ姿勢のない国に、感染が拡大するのは当然だろう。日本での感染は今年1年もなお続いて行くだろう。犠牲だけが積み上がって行くことになる。感染症の基本対策を取らない欧米も、やはり感染が続き、政府のさらなる支出と中央銀行の通貨印刷も続くだろう。昨年末の12月29日、米国人投資家ジム・ロジャーズ氏は英国BBCのインタビューで「I think I see the bubble developing, the bubble will become bigger and bigger, probably during 2021. But later in the year, the bubbles probably going to pop and a lot of people are going to suffer. (おそらく2021年の間に、バブルが成長し、バブルはどんどん大きくなると思う。しかし、年の後半には、おそらくバブルがはじけて、多くの人々が苦しむだろう。)」と述べている。
英国タイプの変異株が見出された国・地域