釜石の日々

ドル下落の中で作り出された資産高騰

週末から今日にかけては日中の気温がわずかにプラスになったが、明日からはまた日中も氷点下に逆戻りするようだ。週後半には再び強い寒気がやって来る。関東でもまた雪になるようだ。釜石の積雪はそれほどでもないが、気温が低いせいで、溶けずに残った雪がまだあり、それも凍っていて、滑りやすくなっている。メインの道路はすっかり雪がなくなっているので助かるが。今朝は−3度で、日中は晴れ上がった。職場の裏山にはジョウビタキの雄がやって来ていた。 米国の株式は先週末にもさらに歴史上最高値を更新した。日本の今日の株式もそれに従い反転して上昇した。米国では株式だけでなく、各種債券も最高値に達しており、やはりバブル状態になっている。何故こうした状況が生まれているのか、理解するためには過去を振り返る必要がある。戦後、世界の金(Gold)保有の6割を米国が占め、その金を背景にしたドルが世界での貿易取引の基軸通貨となった。従って、戦後は金本位制でスタートした。しかし、朝鮮戦争やベトナム戦争で巨額の戦費を要した米国は次第に保有していた金を欧州にドルと引き換えに要求され、失って行く。この時点で財政赤字と対外的な経常収支の赤字があり、ドルの増刷に迫られる。裏付けとなる金が足りなくなったため、ついに1971年ニクソン大統領は、金本位制を放棄する。しかし、これにより増刷されたドルへの信用が低下し、ドルの価値がさらに低下する。1978年には自国の国債を信用を失ったドルでは発行出来なくなり、スイスフランで発行すると言う屈辱的な状態に落ち込んだ。それだけでは、国家として資金不足のため、国際通貨基金IMFが主要国通貨を取り入れた政府間通貨SDRを発行して米国を助けた。1981年大統領となったレーガンは米国に海外からの投資を誘引することで、ドルの維持を図ろうとし、規制緩和を強力に進めた。中央銀行FRBも金利を19%にも上げて、その金利を目指して海外から投資資金を集めることに成功した。米国への投資はドル買いになるため、ドルの価値は見事上昇した。しかし、この時すでに米国製造業は衰退しており、規制緩和も金融面で大きく行われ、米国は製造業から金融へシフトした。元手の何倍もの投資が可能なデリバティブのような商品やETFと言った金融商品が開発され、お金がお金を生むゲームが始まった。1987年のブラックマンデー、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックとほぼ10年前後でバブルを生んでは崩壊して来た。特に、2008年のリーマン・ショックでは負債を抱えた巨大金融機関を倒産させず、中央銀行FRBが紙幣を増刷して救済したため、その時発生した不良債権がそのまま中央銀行に残ってしまった。FRBは金融の世界を支えるために2009年から2014年までいわゆる金融緩和でドルを増刷する。これにより米国の株や債券を支えたが、異常なドル発行はいつまでも続けられないため、2014年に中止し、日本やEUの中央銀行がその後肩代わりをして、米国の金融市場を支えた。超低金利の日本からは金利の高い米国へ投資資金が今も流れて、同じく金融市場を支えている。資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞した米国イェール大学のロバート・シラー教授は、株の割高感を表す指数を提唱しており、CAPE指数として知られている。その数値が高いほど割高であることを表す。この数値が30を超えたのは過去に2回ある。1929年の世界恐慌直前と2000年のITバブル崩壊直前である。1029年は32.56であったが、現在はさらにそれを上回る33.60まで上昇している。また、ドルの価値を他のいくつかの通貨と対比して表したドル指数(DXY)と言う指標があるが、こちらは1970年代以後、3度その価値を持ち直して数値をあげて来たが、趨勢的には確実に低下して来ている。1985年に158.48の最高値を付けた後下がり、2002年に118.99まで持ち直し、以後再び下降し、2016年には99.80まで回復したが、以後現在まで下がり続けて、現在は89.11となっている。金の裏付けをなくして、増刷され続けて来たドルは着実に価値を失って来ている。その裏返しに、歴史的に真の通貨であり続けた金は相対的な価値を上げて来ている。株や債券の暴落の時期は近付いており、暴落が起きれば、巨額の負債が姿を現わし、ドルもまた暴落し、金のパニック的な暴騰を引き起こすだろう。ドルは基軸通貨の座を奪われることになる。
ドル指数(DXY)の推移
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