釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

カルデラ噴火地帯に近接する原発

2015-08-18 19:12:41 | 自然
お盆期間を含め、昨日まで曇天や雨が続いたが、久し振りに今日は朝から晴れた。最高気温は33度まで上がったが、涼しい風が吹き、木陰だと暑さを忘れさせてくれる。さすがにお盆を過ぎると、風に秋を感じる。と言っても、セミは泣き続けており、セミの声に混じってウグイスも鳴いていた。 1週間前に鹿児島県の川内原発1号機が再稼働された。世論調査では再稼働反対が賛成を上回っている。原子力規制委員会は再稼働にあたっての審査で、「川内原発の運用期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分に小さい」「モニタリングを行うことで巨大噴火を予知でき、さらに予知してから噴火までに核燃料を搬出する十分な時間がある」として、火山噴火をほぼ無視して再稼働を認めた。しかし、気象庁の火山噴火予知連絡会会長である藤井敏嗣東京大学名誉教授は、大多数の火山の研究者の意見は、「可能性が大きいとか小さいとかいう判断自体ができない」というものだ、として、原子力規制委員会の判断に科学的根拠がないとされる。2011年の霧島新燃岳の噴火や昨年8月の口之永良部島の噴火などは前兆がなく、予知すら出来なかったことを上げている。九州電力は原子力規制委員会に対して「巨大噴火の平均発生間隔は約9万年。姶良(あいら)カルデラで起きた最後の巨大噴火が約3万年前だから、しばらくは起こる可能性が小さい」として、委員会もそれを鵜呑みにして認めたが、藤井名誉教授によれば、阿蘇カルデラで起きた最新の巨大噴火は約9万年前だが、その前の巨大噴火との間隔は2万年しかなく、いくつかのカルデラ火山をまとめて噴火の間隔を割り出すという考え方自体に合理性がないとされる。しかも九州電力が提出した審査資料から7300年前に起きた鬼界カルデラの巨大噴火を外している。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「カルデラ噴火はだいたい数万年に一度程度の割合で発生すると言われている。カルデラ噴火の場合には噴火の数十年前ぐらいからマグマの大量の蓄積が起こる」のでモニタリングをすることで、巨大噴火を予知できるとしているが、藤井名誉教授は、現在の科学技術のレベルでは南九州のカルデラ火山の地下でどのくらいのマグマが溜まっているかの推定すら出来ず、モニタリングで巨大噴火を予知する手法は確立されていないと、批判されている。鹿児島湾に沿って、ほぼ湾の東西幅で南北に鹿児島地溝帯が走っており、そこには北から加久藤,小林,安楽,姶良,阿多,鬼界の6つの巨大カルデラが並ぶ。その日本でも最もカルデラの集中する地域に近接して川内原発が造られている。15日に噴火警戒レベル4(避難準備)に引き上げられた鹿児島県の桜島は、今も山体膨張が続いており、姶良(あいら)カルデラに属する火山だ。桜島は2万6000年前に姶良カルデラ南縁で海底火山として活動が始まった比較的新しい火山で、何度も噴火して来たが、特に764年、1471年、1779年、1914年の噴火は大噴火で、1914年の大正噴火では溶岩流が海峡を埋めて大隅半島と陸続きになった。M7.1の地震も発生している。 鹿児島地溝帯は活発な活動を続ける火山構造性の地溝帯で、その地下にはマグマが存在する。桜島もその一部である。桜島が属する姶良カルデラは現在の桜島の位置で3 万年前に超巨大噴火を起こしている。姶良カルデラは桜島が誕生してからも、1 万9000年前と 1 万 6000年前にもマグマ噴火を起こしている。桜島の噴火はそれに伴って、姶良カルデラ周辺の地盤を変化させて来た。日本火山学会によると、桜島が噴火すると姶良カルデラ周辺の地盤が沈下し、静穏期になると、その地盤は隆起することを繰り返して来たが、噴火ごとの沈下では元の高さより高くなっており、桜島の地下にマグマが溜まるだけでなく、姶良カルデラ全体の地下でもマグマが溜まって来ていることを表していると言う。こうした火山研究者たちの研究成果は川内原発再稼働にあたって、まったく考慮されていない。
薄の穂

世界を納得させられない「70年談話」

2015-08-17 19:20:22 | 社会
安倍首相は14日、「戦後70年談話」を述べ、事前の自己の主張に反して、従来の「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」の言葉すべてを盛り込んだ。しかし、いずれも過去の談話の「引用」としての表現であり、自らの意思の表明とはなっていない。しかも、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」として、保守層の「いつまで謝罪を続けるのか」と言う声に配慮してもいる。首相は支持率低下に危機感を持っており、その支持率の回復を狙って、「引用」と言う自己がぎりぎり許せる表現方法をとったのだろう。その点は英米など海外のメディアが見抜いている。米国ニューヨークタイムズ紙は「Shinzo Abe Echoes Japan’s Past World War II Apologies but Adds None(安倍晋三、第二次大戦の謝罪を踏襲も加筆せず)」と題して、ボストン大学のトーマス・バーガー教授の「『日本は歴史的な津波に飲み込まれた』とのイメージを与え、日本の責任を希薄化しようと努めた印象を受ける」と言う言葉を引用しており、ウォールストリート・ジャーナル紙も「Japan’s Abe Stops Short of Direct Apology Over World War II(日本の安倍、第2次世界大戦での直接的な謝罪を表明するに至らず)」と題する文を載せ、英国のタイムズ紙は社説で「安倍首相は恥ずかしいほど(戦争中に)日本が犯した犯罪に向き合わずにいる」、「日本は原子爆弾投下の犠牲者追悼や終戦記念日行事において、今もなお加害者というより被害者という考えに捉われているように見える」、「だが日本が、自分たちが被害者という考えから抜け出せないでいる限り、日本と周辺諸国との関係は、ねじれざるを得ないだろう」と痛烈に批判し、「第2次大戦当時の連合軍は、『野蛮な体制』が勝利した時にもたらされる恐ろしい結果を防ぐために戦った」のだと述べている。日本は何故「謝罪」を続けなければならいのだろう。それは明らかに日本の姿勢が問題だからである。ナチスによる戦争犯罪を現在も追求し続けているドイツとは日本の姿勢が違い過ぎているからだ。言葉で「謝罪」をしてもドイツのように徹底して当時を反省した姿勢がとられていないためだ。戦犯を祀る靖国神社へ首相が参拝することを続けて来た。ことあるごとに歴史を修正する発言を繰り返して来た首相であれば、今回の「談話」も周辺国ばかりでなく、欧米各国さえもが誰も首相の誠意ある「謝罪」とは見ないだろう。ドイツは先の戦争による侵略を誤りとして、徹底して二度とそうした誤りを繰り返さないための行動をとって来た。自ら戦勝国によるニュルンベルク裁判とは別に戦犯の裁判を行った。しかし、日本はそうした自国の裁判を行わなかったばかりか、戦犯を祀るなど、とても世界を納得させることの出来ないことを続けている。同じ再軍備をしてもドイツと日本では世界の見方は全く異なる。戦後補償をも含め、過去と徹底して向き合うドイツが世界に受け入れられ、日本より高く評価されるのは当然だろう。しかも憲法に反する「集団的自衛権」を強引に確立させれば、周辺国が脅威と見るのは目に見えているだろう。
松葉牡丹

太古のハス

2015-08-16 19:11:03 | 自然
お盆の期間は結局釜石では曇天や雨の日で終わった。今日も曇天で日中ももう秋の風が吹き、暑さはなかった。相変わらずセミの声はしたが、夜にはもうしきりに虫たちも鳴いている。夕方には近くの公園の盆踊りの音が聴こえて来た。一輪目の大賀ハスは雨に打たれて、花の形が揃わないままに花びらが落ちてしまった。二輪目の蕾が膨らんで来ているので、それに期待するしかない。2000年も前の弥生時代の川の船着場に咲いていたハスだ。一輪目の花の色は現代のハスとさほど変わりはないようだが、弥生時代の人々も同じハスを見ていたのだと思うと、とても楽しくなる。平泉の毛越寺や紫波町にある五郎沼には800年前のハスが咲く。奥州藤原氏の最後の頭首である藤原泰衡の首桶に入れらたハスの種が当時の五郎沼に生えていたハスの種だとされる。平成10年に大賀ハスを開花させた大賀一郎博士の教え子である恵泉女学園短大教授の長島時子教授が開花させた。五郎沼は奥州藤原氏初代の藤原清衡の孫にあたる樋爪太郎俊衡の樋爪館に属する。館には樋爪太郎俊衡の弟である樋爪五郎季衡も住み、この弟が沼でよく泳いでいたことから五郎沼の名が付いたと言われる。その五郎沼に咲いていたハスの種が藤原泰衡の首桶に入れられていたのも、やはり浄土思想からだろう。ハスが阿弥陀如来の象徴であり、藤原泰衡が死後浄土へ赴けるようにとの思いが込められていたと思われる。ハスはインドが原産地とされるが、日本でも埼玉県行田市のゴミ焼却場建設予定地で見つかった1400年~3000年前と言われる行田ハスもあり、それほど古くから咲いており、もう日本の花でもあると言えるだろう。ハスのDNAを分析することでもハスがどのように日本列島に根付いたのかが分かるだろうから、それが日本列島の形成の過程をも示してくれるかも知れない。ハスの花は花としてもとても綺麗だが、その花が古い日本の様々の姿へも思いを巡らせてくれる。
二つ目の大賀ハスの蕾

妖怪を生み出した金融資本主義

2015-08-14 19:15:14 | 経済
ここ数日曇天や小雨の降る日が続き、今日も小雨が降り、最高気温は24度であった。明日からは晴れて来て、再び30度を超える気温になるようだ。今日の出勤時もやはり走る車はずっと少なくなっていた。昼休みに近くの大型店舗へ行くと、県外ナンバーがさすがに多くなっていた。我が家の庭では大賀ハスがさらに開いて来ており、彼岸花科の狐の剃刀(きつねのかみそり)も雨の中で咲いていた。 資本主義とはどう言う経済システムか。ウィキペディアでは「基本原理としては生産手段を持つ資本家が、生産手段を持たない賃金労働者を使用して利潤を追求する社会システム」とある。しかし、今や先進国はその「生産」の経済実体とは無縁の莫大な「資本」が一人歩きするようになった。米国が典型的で、いわゆる金融資本主義と呼ばれるものだ。「資本」が「生産」とは全く関係なくさらに「資本」を増殖させている。お金がお金を生み出すシステムだ。国や企業が社会性を失い、利潤だけを追求するようになった。生産の現場でもそのために「市場原理主義」とか「市場絶対主義」と呼ばれるものが浸透し、賃金は労働コストとして、利潤を最大にするために極力抑えるのが経営者の高い評価となった。グローバル経済と言う名の資本の妖怪が世界を蹂躙して、富だけを持ち去って行くようになった。『21世紀の資本』を書いたフランス人のトマ・ピケティは東京大学での講演で「経済学は歴史や実証を重視すべきで、数式のお遊びになってはいけない。経済や社会の問題を述べるのに、複雑な数式なんて必要ありません」と述べているように、自らその著書で歴史や実証を重視して、現在の資本が格差を増大させていることを15年かけて膨大な過去のデータから実証している。1970年代までに一旦縮小した所得と資産の格差は1980年代頃から再び拡大し続けている。資産の成長率は、給与所得者の賃金の上昇率よりも、常に高くなることを示し、富めるものはますます富めるようにようになり、低所得者は努力とは無縁にそこから抜け出せないことを実証している。先進国の少子化はさらにそれに拍車をかけている。富める親からは子に資産を相続させるため、少子化は一層格差を拡大させると言うのだ。お金がお金を生み出すマネーゲームはリーマンショックやサブプライムローンのようにバブルを崩壊させ、生産へも多大の影響を及ぼす。結局は金融資本に頼る先進国の経済成長率は悪化せざるを得ない。世界で最も安定した経済成長が維持されているのは社会保障の充実し、格差の少ない北欧である。トマ・ピケティは21世紀はますます格差が拡大していくために、それを是正するには資産課税が必要だとする。無論、格差の是正にはそれも有効だろう。しかし、妖怪と化した資本を野放しにしておけば、世界の経済自体が崩壊し兼ねないだろう。金融資本主義を超える新たな経済システムを築いて行く必要があるところまで来ているように思う。
狐の剃刀(きつねのかみそり)

岩手に残る浄土思想

2015-08-13 19:18:22 | 文化
今日はお盆の迎え火の日である。朝の出勤時には道路の通勤車がいつもより少なかった。江戸時代初期に幕府はキリスト教を禁じて、転びキリシタンに寺請(てらうけ)をせたが、次第に身分に関係なく、すべての人に寺請を命じた。このため、信仰の有無に関係なく、何らかの形ですべての人が仏教徒とされた。亡くなれば、寺の境内に墓が広く作られるようになって行く。仏教徒の多くが「(南無阿弥陀仏なむあみだぶつ)」を唱えるが、これは「わたしは阿弥陀仏に帰依いたします」と言う意味で、阿弥陀信仰を表明しているのだ。阿弥陀如来は、東方に浄瑠璃世界(瑠璃光浄土)を持つ薬師如来に対して、西方に極楽浄土という仏国土を持つ仏だ。奥州藤原氏の祖である藤原清衡(きよひら)は亡くなる2年前の1126年に中尊寺金色堂を完成させた。中尊寺の本尊は阿弥陀如来で、藤原清衡は極楽浄土を願った。前九年の役で父、藤原経清は奥州安倍氏とともに源頼義との戦いで敗れ、斬首された。しかし、安倍頼時の娘であった母が前九年の役で功績を上げた清原氏の嫡男、清原武貞の元へ再婚したため、死を免れた。清原氏となった清衡はその後の清原氏の内紛に勝ち残り、姓を父の藤原に改め、藤原清衡として奥州藤原氏の基礎を築いた。戦乱の中で成長した清衡は心の安寧を願って、現世での浄土を作り上げようとしたのだろう。中尊寺も毛越寺も慈覚大師(じかくだいし)と称される円仁によって9世紀に建立されたとされる。毛越寺の本尊は薬師如来だ。いずれにしろ奥州藤原氏は三代にわたって平泉に壮大な浄土建築を創り上げた。源氏により奥州藤原氏は滅ぼされたが、藤原氏の築いた浄土思想が奥州に残ったのだろう。岩手に来て、毎年お盆になると人々が栗の木の枝を買い求めている理由が知りたかった。しかし、長くその理由を知ることが出来なかった。今年になって、その理由がまさに藤原氏の残した、その浄土思想にあることが分かった。阿弥陀如来は西方の極楽浄土に住む。「栗」はその「西」方の「木」であった。岩手の人たちは亡くなった人たちが極楽浄土で過ごしていけることを願って、お盆には墓前に栗の木の枝を供えるのだ。栗の枝とともに売られていた蓮の葉は何故なのか今は分からないが、阿弥陀如来の象徴が蓮の花であることと関係があるのかも知れない。
秋の七草の女郎花(おみなえし)が庭で咲き始めて来た

首都圏地震の可能性

2015-08-12 19:14:17 | 自然
今日は朝から曇天で、午後の4時前には激しい夕立が降った。最高気温は26度までしか上がらず、過ごしやすかった。もう近くの公園では盆踊りの櫓が組まれていて、スーパーでもお盆用にイガグリの付いた栗の木の枝や蓮の葉が売られていた。気付くと、もう街路樹のナナカマドの実が色付き始めている。 当ブログにコメントいただいたマックス氏より貴重な情報をいただき、見過ごせないので、少し調べさせていただきました。政府は1978年から「30年以内の発生」の可能性があるとして、東海地震を地震予知の目標に、これまで毎年地震研究関連予算を注ぎ込んで来た。過去20年間だけでも4000億円にもなる。しかし、何ら予知に関しては成果を上げていない。大地震が起きると予算だけは増え続けていると言う。日本地震学会や政府の地震調査研究推進本部がその中心なのだが。しかし、こうした日本の「権威」筋とは違ったところで、地震の予知に力を入れている研究者たちがいる。それぞれ独自の研究手法で予知に取り組んでいる。無論、現在はすべての地震を予知することは不可能だ。それでもいくつかの地震や火山噴火を予知された研究者がいる。間違っていても可能性があるならば、情報としては知っておくべきだろう。全く知らないところで突然大地震や噴火に見舞われるよりは、少しは被害を防げるからだ。東日本大震災は政府や既存の権威筋が何もしていないことを露呈した。自分の身を守るのは自分でしかないことを知らされた。その意味で、やはり権威筋ではなくとも、可能性を発信してくれる研究者の声は聞くに値するだろう。マックス氏は東京大学村井俊治名誉教授が南関東の警戒レベルを最大に引き上げたことを教えて下さった。同名誉教授は本来測量が専門の土木工学者で、現在日本測量協会会長も務めておられ、世界的にも著名な方だ。これまで測量が動かない対象物を測量していたが、近年は動くものを対象にした動体計測の技術が進んで来た。特にGPSなどの汎地球測位航法衛星システム(GNSS)の進歩普及で、同名誉教授は地殻の微小な動きを衛星を使って捉えることで、地震の予知をする独自の技術を開発し、ESEA地震科学探査機構を立ち上げ、国土地理院が全国に約1300点設置している電子基準点のGNSSデータを解析して、地震を予知されて来た。我々が住む大地は静止しているように見えるが、実際には日夜上下と水平方向に変動している。今回同名誉教授らは6月28日~7月4日の週で、昨年9月以来変動の見られなかった神奈川の山北、箱根、湯河原で4cmの、静岡の宇佐美、伊豆諸島の三宅、八丈で4~5cmの変動が見られ、静岡の伊豆半島西部の戸田、駿河湾に面した榛原、御前崎は沈降し、静岡の函南と戸田の高低差は、今年に入ってから6.8cmに拡大し、伊豆諸島では、八丈島以南の父島、母島、青ヶ島は沈降し、以北の神津島、大島、三宅島は隆起しており、青ヶ島と三宅島の高低差は、今年に入ってから7cmに拡大していると言う。過去に関東地方を襲った巨大地震では、関東のどこが震源となっても首都圏では甚大な被害が生じている。1703年の元禄地震の震源は千葉県、1923年の関東大震災の震源は神奈川県であったが、被害は現在の東京が最も大きかった。他にも長野県から新潟県の範囲で10cmを超える異常変動を観測しておられる。昨年1年間で震度5以上の地震は8回発生しているが、今年は先月までで9回すでに発生している。同名誉教授は昨年の震度5以上の地震をすべて予知されている。今夏は異常な高温気象が続いたが琉球大学木村政昭名誉教授は高温がマグマの上の水位を上昇させるために、マグマも上昇しやすくなると言う。箱根山、浅間山、北海道の雌阿寒岳と十勝岳、蔵王山なども今年に入り火山活動が活発になっている。
開き始めた大賀蓮

再稼働された川内原発1号機

2015-08-11 19:10:19 | 社会
朝は青空も見えていたが、昼近くには空を雲が多い、わずかに雨も落ちて来た。最高気温は29度だが、朝晩は気温も下がるので、やはり釜石の夏は楽だ。庭ではいくつか夏の山野草が咲いているが、中でも今は、蓮華升麻(れんげしょうま)が一番たくさん咲いている。紫陽花もまだ咲いてはいるが。昼休みに甲子川にかかる橋を通ると、今日も河川敷に二頭の若い鹿がいて、橋の欄干から夏休みの女子高校生らしき3人がその鹿を見ていた。 今日午前10時半、九州電力はいよいよ鹿児島県の川内原発1号機を再稼働させた。九州電力によれば、1号機には低濃縮(約4~5%)の二酸化ウランが49000Kg使われている。10月中旬には2号機も再稼働させる予定だ。現在、他にも関西電力が福井県の高浜原発3、4号機、四国電力が愛媛県の伊方原発3号機をそれぞれ再稼働させる準備に入っている。今夏は異常な猛暑で東京では35度以上の猛暑日が8日連続し、1875年の観測開始以降で最長記録を更新している。こうした異常な猛暑でも電力は余力を残しており、原発を再稼働させなければならない理由は電力面では見当たらない。2012年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)による太陽光発電が一定程度普及したために電力不足はすでに解消されていた。福島第一原発事故以来、原発神話はもろくも崩壊し、各種世論調査でも原発の再稼働反対が賛成をはるかに上回っている。しかも川内原発はカルデラ超巨大噴火を起こした火山が周囲に5つもあり、多くの火山研究者からも再稼働に疑問が出されていた。さらに原発近くの断層についても地震研究者たちから疑問が出されていた。周辺市町村の避難計画も策定されておらず、事故が起これば、混乱を生じるのは目に見えている。福島第一原発事故は半永久的な多大の被害をもたらしただけではなく、それだけの被害だからこそ、誰も責任を取らないことが明らかになった。電力会社も国の指導機関も一切が責任を取らず、すべてのツケを国民に回した。事故以来あまりにも原発の補償額が大きすぎるため、どの保険会社も原発への保険には応じていない。本来福島第一原発事故一つで東京電力は倒産している。しかし、政府は国費を投じて、存続させた。今後また原発事故が起きても、やはり電力会社は責任を問われず、国費が投じられるだろう。何故今あえて原発を再稼働させるのか。再び首相の座に返り咲いた第二次安倍内閣の発足後、2013年2月、首相は国会の施政方針演説で原発再稼働を打ち出した。さらには自ら原発輸出を売り歩いた。電力会社も利益の大きい原発を再稼働させたい。政治家も経済産業省の官僚も、電力会社も自分たちの利益しか考えていない。原発推進を担って来た人物を原子力規制委員会の委員長にする、そんな委員会が判断して、再稼働が認可された。その委員会も安全を保障するものではないと、言う。誰も安全には責任をもとうとしないで、稼働させている。原発の政官財のトライアングルは福島第一原発事故そのもがなかったものとして、何も学ばずに今また同じ道を歩もうとしている。
蓮華升麻(れんげしょうま)

日本人の被曝は続いている

2015-08-10 19:10:50 | 社会
昨日、一昨日と曇天で気温も下がり、しのぎやすかったが、今日はまた真夏日で31度まで上がった。昨日は長崎に原爆が投下され日で、釜石も二度目の艦砲射撃を受けた日にあたり、朝には黙祷のサイレンがまた響きわたった。今朝見ると、3年前に手に入れた、2000年の時を経て蘇った大賀ハスが庭で初めて二つ蕾を付けていた。暑い昼休みに八幡神社近くの風の吹く木陰で休んでいると、そばからウグイスの声が聴こえて来た。職場の裏山では今日はミンミンゼミたちがよく鳴いていた。 70年前には二度も原爆により、日本は被曝させられた。その後も大国の大気中での核実験が500回を超えて行われ、日本へも相当量の放射性物質が降下した。高度情報科学技術研究機構のデータを見ると、1964年の中学生の尿中セシウム137の濃度が最高となり、年平均体内量は531Bqに達し、累積内部被ばく線量は105μSvと推定されている。米国は原爆投下後、占領軍の日本への進駐とともに広島、長崎を調査し、その後の原発の推進のために低線量被曝を過小評価し、それを日本も根付かせるために広島大学と長崎大学に放射線研究所を設け、福島第一原発事故後はその研究所に属していた「研究者」を福島大学へ送り込み、放射線被害をやはり過小評価させ続けている。国は放射性物質の拡散を福島第一原発事故ではチェルノブイリ事故の半分以下として公表し、今も放射性物質を垂れ流し続ける同原発の情報を公開しないまま調査すら十分に行っておらず、東京電力任せである。原発推進を続ける限り、放射性物質による被害などあり得ないとしなければならない。事故直後の調査では千葉県柏市などは福島市以上の量の放射性セシウムが土壌から検出されており、東京でも江東区や葛飾区は特に高い濃度が検知されている。チェルノブイリ事故の後、欧州へも放射性物質が拡散したが、当時の東ドイツは今の日本と同様にそうした放射性物質の危険性を無視し、情報を隠蔽した。しかし、東西ドイツの統合後、2007年にドイツは国が調査し、原発に近いほど5歳未満の子供にすべての癌、白血病が多いと公表し、福島第一原発事故後には原発停止の延長予定を直ちに取りやめ、脱原発に舵を切った。ドイツは現在も戦犯の追求を続けており、A級戦犯を靖国神社に祀る日本とは大きく異なっている。同じ敗戦国でありながら、国民を重視する姿勢には雲泥の差がある。戦後日本人は確かに長寿となったが、癌の発病者は確実に増え続けて来た。低線量被曝や内部被曝は長期にわたって人体を蝕む。それだけ目立たないことも事実だ。しかし、ドイツやチェルノブイリは長期にわたる低線量被曝の人体への影響をしっかり調査して示している。福島第一原発事故直後の放射性物質の拡散状況を日本は公表しなかったが、ドイツは日本のデータを使っていち早く、日本からの放射性物質の拡散状況を公表した。臭いも形も見えない放射性物質は今も取り除かれないまま残されているだけではなく、福島では事故以来放出され続けており、危険な多量の核燃料は未だに手が着けられないでいる。2011年8月、政府は放射性セシウム137の放出量を広島原爆の168.5個に相当すると発表したが、これも過小評価があえてされているだろう。ウラン235で見ると、広島の原爆は25Kgであったが、チェルノブイリでは3600Kgであったのに対して、福島第一原発では1~3号機の炉心に7700Kg あり、さらに1~4号機の使用済み燃料プールには16000Kgものウランがあるのだ。ウランの量だけで言えば福島第一原発だけで広島型原爆が948個も作れる。こんな原発が日本には54基もある。明日にも川内原発は再稼働されようとしている。いずれまた日本では必ず原発事故は起きるだろう。一番科学的であるはずの原子力が最も非科学的な運営をされているからだ。
2000年の時を経て蘇った大賀ハスの蕾

財政破綻は必ずやって来る

2015-08-07 19:22:04 | 経済
先日、トヨタや日産は第1四半期(4~6月)の純利益が過去最高となったことを発表した。トヨタの年間の純利益予想は2兆2500億円だ。しかし、7月の国内新車販売台数は前年同月比で7.6%減と7カ月連続でマイナスを記録しているのだ。本業の自動車は売れなくとも、円安と株高で利益が更新している。言ってみれば、物作り企業が物作りではなく、マネーゲームで利益を上げた。そのゲームも政府主導の八百長ゲームなのだ。「アベノミクス」は輸出大企業を助ける保護政策であり、勤労者に対しては2年間にわたる実質的賃金の低下と、物価の押上げによる生活苦でしかない。日本は今や1000兆円を超える政府債務を抱えている。消費税を20%にしても返済は不可能だ。今年2月16日にNHKは特集番組「預金封鎖」を報じた。敗戦の前年昭和19年の日本の債務が戦争遂行のためにGDP比で204%にもなっていたことを取り上げ、この債務を帳消しにするために、昭和21年2月16日に預金封鎖が行われ、国民の財産に財産税を課そうとした。現在の政府債務がその昭和19年よりさらに上回るGDP比232.8%にもなることを伝えた。預金封鎖は何の前触れもなく、突然行われた。財務省の昨年の一般会計予算を見ると、予算の96兆円のうち43.0%は借金で賄われている。予算の24.3%に当たる23兆円は借金の返済に使われている。今回のアベノミクスでも見られるが、無駄な公共事業への支出や官僚の天下り先の政府関連団体などの整理が行われないまま、借金を続けて来た。しかも米国流の経済・経営が導入されてから、米国同様に政府の債務は増え続けた。米国と同じ船に乗った日本は同じ運命を辿って、国を傾けている。未読だが、最近『財政破綻に備える 今なすべきこと』を著した、元財務省官僚で現在民主党の議員である古川元久氏は財政破綻や円暴落のリスクを警告され、危機への備えとして地域社会の自立を訴えている。国の運営は国民を豊かにして、その豊かな国民から税を納めてもらうことで、安定を得られる。しかし、バブル崩壊後、日本は米国流の経済・経営を取り入れて、それまでの日本の戦後の考えを捨ててしまった。大企業を優先し、勤労者を軽視する方向に変わったために税収は激減した。それには優先した大企業がへの課税の軽さも手伝っている。安倍首相はその大企業への課税をさらに甘くしようとしている。すでに大企業は社内に溜め込んだものだけでも330兆円もあると言うのにだ。何としても目先の税収を上げたい財務省は消費税によりそれを達成しようとしたが、それは消費を抑えることに繋がり、結果的には景気の回復にブレーキをかけることになった。こうした本来の国民を豊かにすることを忘れた国はいずれ財政破綻するしかないだろう。敗戦直後と同じくハイパーインフレはいずれ確実にやって来る。むろん国民は悲惨な生活を強いられるだろう。しかし、国をこの状況に追い込んだ官僚や政治家を容認して来たのもやはり国民なのだ。日本銀行の国債保有は今や300兆円にもなる。GDPの6割にもなる額の国債を中央銀行が保有すること自体が極めて異常な事態だ。カンフル剤で延命しているだけの状態が今の日本だ。
芙蓉

盗聴対象の拡大

2015-08-06 19:16:30 | 社会
昨日は36度まで気温が上がったが、そんな中でもウグイスがしきりに鳴いていた。今日は32度までであった。晴天が続いて、アブラゼミがしきりに鳴き続けていた。昼休みに甲子川沿いを通ると河川敷には鹿が一頭紛れ込んでいた。広島に原爆が投下された午前8時15分には市内にサイレンが響き渡り、黙とうが捧げられた。米国の世論調査会社「ユーガブ」が行った先月の調査では、日本への原爆投下を45才以上では「正しい」とした人が多かったのに対して、44才以下では「誤り」とする人が多かった。また、原爆開発に対して全体の62%が「悪いこと」としている。 今国会では安保関連法案の影に隠れて、どのメディアにも注目されずに提出されている悪法がある。犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、通称「盗聴法」の改正案である。盗聴法は憲法21条2項の通信の秘密を侵害するものとして反対の意見が出る中で、1999年8月に成立した。しかし、反対意見に考慮して、この時には盗聴の対象が組織的殺人、薬物、銃器、集団密航の4つに限定され、盗聴時には通信事業者の立ち会いが要件とされた。今回この内容が大きく変えられようとしている。改正案では盗聴の対象を大幅拡大し、詐欺、窃盗、強盗、傷害、児童ポルノまでが含まれ、さらには通信事業者の立ち会い要件が外され、警察単独で盗聴が可能となっている。日弁連の刑事法制委員会事務局長を務める山下幸夫弁護士によれば、「今回の改正で盗聴のハードルは下がり、今後は盗聴捜査が日常化していくでしょう。通信を傍受されるのはターゲットの人間だけではなく、通話相手も含まれるので、第三者の人間も対象になる。一般市民であっても、携帯電話などでの通話が捜査で盗み聞きされる可能性は十分にあります」と語っている。安保関連法案や原発再稼働に反対する集会やデモに警察の公安部門が「過激派」とみなす人が参加していると、集会やデモの参加者全員を盗聴捜査の対象にすることが可能となる。特定秘密保護法、盗聴法改正案、安保関連法案により、国家はどこからもチェックを受けることなく、すべての情報を入手し得るようになり、完璧な戦時体制を整えることが出来るようになる。反対者は容易に排除出来ることになる。盗聴法改正案や「司法取引」を導入する刑事訴訟法改正案はこれらも安保関連法案と同じく、一つ一つが極めて重要な法案であるにもかかわらず、すべて一括提出され、十分な審議も行わずに成立させられようとしている。昨年7月15日、16日、スイスのジュネーブ国連欧州本部パレデナシオンで日本政府報告書に対する審査が自由権規約委員会で行われた。その結果、「市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書」、通称「第1選択議定書」が民主党政権下で批准されたにもかかわらず、安倍政権になってから、人権条約に定める権利を侵害された個人が、実施機関に通報を行うことができる制度である個人通報制度を保証する国内人権機関の設立が止まっていることを指摘、批判されている。人権保障についても「規約第18、19条の第3段落における厳しい条件を満たさない限り、思想、良心、宗教の自由や表現の自由の権利に対するいかなる制約をも押し付けることを差し控えるように締約国(日本)に要求する。」とし、秘密保護法は情報へのアクセスの権利を定めた規約19条を満たしていないと厳しく批判している。憲法が国家に対して国民の権利を侵害しないよう求めるための基本法であることを理解出来ない安倍首相は、何のためらいもなく、国民の権利を侵害する法案を極めて短期間に強引に推し進めようとしている。いずれもが憲法違反であるのは明らかだが、日本では、違憲審査権を持ち、憲法の番人であるはずの最高裁判所が、常に政府寄りの判断をして、実質的に最高裁判所自体が憲法を無視して来た。
八重の木槿(むくげ)