釜石の日々

ネアンデルタール人

現生人類であるホモ・サピエンスは25万年前に出現した。ホモ・ネアンデルターレンシス、いわゆるネアンデルタール人は20万年前に出現し、2万8000年前を最後に絶滅している。約4万5000~3万年前の間は両者は分布域が重なっていた。ネアンデルタール人の分布域は今の欧州全域から中東やアジアにまで及び、南は地中海沿岸からジブラルタル海峡、ギリシャ、イラク、北はロシア、西は英国、東はモンゴルの近くまで達していた。かってはネアンデルタール人は現生人類よりも進化が遅れていたと考えられていたが、現生人類とネアンデルタール人は同じ時代を生きており、やはりその頃の現生人類に近い文化を持っていたことが最近の研究で明らかになって来た。1996年に、フランスのアルシー・シュル・キュール洞窟群に近い洞窟で、動物の歯に穴を開けたものや象牙の指輪など、それまで現生人類に特有とみられていた、高度な加工を施した装飾品が出土している。また、フランスのペシュ・ド・ラゼ洞窟では、体に装飾を施すのに使った黒い顔料が見つかり、彼らが象徴的な思考の能力を独自に獲得していたことを示した。米国ワシントン大学の古人類学者エリック・トリンカウス教授によれば現生人類とネアンデルタール人は「基本的な行動は似たようなもので、違いはあったとしてもわずか」だと言う。ネアンデルタール人の男性の体型は筋肉質でずんぐりしていて、身長が約160cm、体重約84Kgで大きな肺を持ち、現生人類と同じ赤毛と白色の肌をしていた。現生人類は彼らより身長が高く、細い体型をしていた。現生人類が数家族の集団を作って男女で分業をしていたのに対して、ネアンデルタール人は3世代家族の小集団で、現生人類のような分業の痕跡が見られていない。現在も何故寒冷期にネアンデルタール人が絶滅し、現生人類だけが生き残ったのか謎は解明されていないが、集団や分業のあり方もその一因ではないかと考えられている。2002年にルーマニアで発見された3万7000~4万2000年前の現生人類の男性の下顎骨を分析したところ、DNAの全遺伝情報の6~9%がネアンデルタール人に由来することが突き止められた。現代人にも最大で4%になる。つまり現生人類とネアンデルタール人の間では混血があった。
胡桃(くるみ)
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