釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

核燃料サイクルのために負わされる付け

2015-09-10 19:15:37 | 社会
東京電力は7日、福島第1原発の排水路から放射性物質を含む雨水が外洋に流出したと発表した。降雨量が多いため別の排水路に移送するポンプの能力を超えたからだと言う。移送を始めた4月以降の外洋への流出は、可能性も含めて6回目になる。排水路の水1リットルには放射性セシウムが510ベクレル、ベータ線を出す放射性物質が650ベクレル含まれ、国と東電が汚染地下水を浄化した後に海に流す「サブドレン計画」で定める基準の最大410倍になる。今年2月に東京電力が排水路から放射性物質を含んだ水が海に漏れ出ていたのを放置していたことが発覚して、改善処置をとったものだった。しかし、こうした処置はあくまで地上に降った雨に対する処置であり、原子炉の地下での地下水の漏れは掴み切れていない。現在もなお海洋への放射性物質の流出は続いているのだ。先月31日、経済産業省の有識者会議は使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル事業から民間事業者が撤退できないようにするため、新たな認可法人を設置する案を了承している。核燃料サイクルの新たな担い手として、政府が直接所管する「認可法人」を電力会社に作らせて、そこから日本原燃へ再処理事業を委託すると言うものだ。「認可法人」には日本銀行や日本赤十字社があるが、国の許可なくやめることは出来ない。核燃料サイクルの必須条件である再処理事業は青森県六ケ所村で日本原燃が行っているが、未だに再処理の目処は立っていない。再処理工場のトラブルは再三起きており、1997年の完成予定が何度も延期さて来た。建設費は当初の約7600億円から7倍近い約2兆2000億円に膨張している。すべて電力料金に加算される。使用済みの核燃料を再処理することで原爆の材料となるプルトニウムとウランを取り出し、もう一度核燃料として利用しようと言う考えだが、すでに経費は膨らむ一方であるにもかかわらず、実現は目処が立たない。経済産業省はこの実現にこだわり続けている。しかも、再処理された核燃料を燃やすための高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)もトラブルが続いて停止されている。この状態でも維持費に一日5500万円もかかっている。2000年3月に電力の自由化が開始されて、今年6月末までに大手電力会社から新規に設立された電力会社に切り替えた企業や自治体は約8万4000件になり、原発15基分の出力に相当する約1500万キロワットもが供給されている。電力需要がピークを迎えたこの夏の時間帯には太陽光発電だけで原発12基分に相当する1100万キロワットを供給している。送電線も含めて自由に使用できるようにし、民間の電力への新規参入をさらに活発にすれば原発などは不要になる。日本の電力料金は家庭用も産業用も先進諸国では最も高く、世界では4番目に高い国になっている。核燃料サイクルや原発の維持のために必要以上に電気料金が上げられるからだ。経済産業省は、停止中の原発に対する交付金の額を引き下げると言う。原発立地自治体へは国から交付金が出ているが、それが下がれば、交付金に依存する自治体は窮する。自治体は当然原発の再稼動に賛成するしかない。明らかな国の圧力である。原発事故一つで電力会社は本来であれば倒産する。それを国費で助け、無駄な再処理工場や高速増殖炉を維持し、いつでも核兵器を作ることが出来ることにこだわり続ける。負担はすべて国民が負わされる。
職場近くの教会のダリア

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