釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

若年層の非正規雇用の拡大

2016-08-09 19:20:20 | 社会
総務省の労働力調査を見ると、1991年のバブル崩壊後から、それまで20%で推移していた非正規雇用の割合が増え続け、2015年には35%を超えた。特に若年層での非正規雇用が増加していることが問題だ。年収300万円未満の者が男性の20代では54.6%であり、男性の30代では20.4%になる。非正規雇用に限れば、20代男性では79.5%にもなり、30代でも62.4%になっている。こうした低収入は結婚とも相関し、年収300万円を境に既婚者が増えている。日本は長寿になったが、やはり、労働力は若い世代にかかっている。その若い世代が安定した生活が出来ない状況は社会に様々な影響を与える。少子化の改善が進まず、若い世代からの税収や社会保障保険料が減少し、年金や医療保険の維持がますます困難になる。さらには仮に結婚しても、晩婚化が増加し、晩婚化による子供への影響もある。女性の非正規雇用では年収は男性以上に少なく、年代に関係なく250万円未満となっている。同じ仕事をしていても正規雇用と非正規雇用では賃金が異なる。企業にとっては少しでも人件費が安い方がいい。しかし、長い目で見ると、実際には目先の安さよりも正規の安定した労働の方が、企業の発展を促す。1980年代に米国流の新自由主義の考えが入り、企業は目先の利益だけを考えるようになる。それにバブル崩壊が加わり、安易に調整可能な人件費の削減として、非正規雇用を拡大して行く。これによって、日本全体の労働者の賃金は低下し、消費が減退した。国の経済の成長の指標である国内総生産GDPの6割は消費が占めている。消費が減少すれば、物が売れず、企業も生産を縮小する。この悪循環が失われた20年、今や失われた30年に向かわせている。金利を調整すれば、あるいは貨幣を増刷すればインフレになると言う単純な社会構造にはなっていない。価格の形成の原則は需要と供給の関係である。需要、消費が旺盛であれば、価格は上昇し、インフレになる。そのためには将来ともに賃金の上昇がなければならない。一時的な所得であれば、現状ではむしろ貯蓄に回されてしまうだろう。新自由主義は企業に目先の利益を与えたが、長期的には需要を減退させたことで、景気の回復には結び付かず、デフレを長引かせただけである。安易な人件費の削減による企業利益は、企業経営者の質の低下をももたらせている。そして、また政治家や役人の質の低下にもつながっている。
ひまわり

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2 コメント

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大卒でも、 (夕焼け)
2016-08-10 19:28:42
なかなか厳しいです。だから、必死に公務員を目指すのでしょうね。。働き始めたら、現実に向かい合うパワーがないと、本当に、おもいどうりの賃金を頂くのは厳しいですから。

本当に、厳しい現実です。

いつも意味深い記事をありがとうございます
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夕焼さんへ (管理人)
2016-08-12 17:52:23
本当にそうですね。大学を出たからと言っても、現在では何の保証にもなりませんね。危惧するのは通常の景気回復が遅れる以上の、極めて悲惨な経済状態が訪れるのではないかと言うことです。庶民の生活が一度に破壊されるほどの超インフレがやって来る可能性が強まって来ています。それが推察出来ても、国外へ財産を移せるような富裕層でなければ、対策も取れません。オリンピックで浮かれている時ではないはずなのですが。コメントありがとうございました。
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