釜石の日々

世界的な格差拡大

東京は昨日から大雪で、積雪が20cmに達したようだ。釜石は昨夕から細雪が今朝まで降り続き、10cmほど積もったが、午前中から雨に変わり道路がぬかるんだ。朝、出勤時に職場近くの川でしばらくぶりに白鳥の姿が見えた。昼休みに行って見ると、4羽の白鳥がいた。3羽は寝ているようだった。以前川の上を飛んでいた4羽の白鳥たちなのかも知れない。どこか中流にいたのだろう。 1942年、英国で、クエーカー教徒、社会活動家、オックスフォード大学の教育関係者が中心となって「オックスフォード飢餓救済委員会」が設立され、以来、国際非政府組織(NGO)オックスファムOxfamとして、貧困状況にある人々の支援や貧困を生み出す状況を変えるための活動を続けている。そのオックスファムが昨日、トランプ大統領も出席して、今日から25日までスイスで開催される世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に先がけて、そのスイスのダボスで格差問題に関する最新の報告書「資産ではなく労働に報酬を(Reward Work, Not Wealth)」を発表した。報告書は「昨年生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が独占」し、「世界の貧しい半分の37億人の取り分はないに等しい」現状を明らかにしている。「1%の富める人が2017年6月末までの1年間に増やした資産額は7620億ドル(約84兆4000億円)だった。これは、1日に1.9ドル未満で暮らす絶対的貧困の状態から全ての人を救うために必要な額の7倍に当たる」。「下位37億人の資産規模は全体の0.53%にすぎない」。15日にもオックスファムは、世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産とほぼ同じだったと発表している。上位8人は、1位ビル・ゲイツ(マイクロソフト社創業者)、2位アマンシオ・オルテガ(スペインの実業家。ZARA創業者)、3位ウォーレン・バフェット(投資家)、4位:カルロス・スリム・ヘル(メキシコの実業家。中南米最大の携帯電話会社アメリカ・モビルを所有)、5位ジェフ・ベゾス(Amazon.com創業者)、6位マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)、7位ラリー・エリソン(オラクル創業者)、8位マイケル・ブルームバーグ(前ニューヨーク市長)である。1980年代の米国のグローバリズムと2008年以後の異常な金融緩和により、貧困層だけでなく、勤労者の所得も増えていない。シンクタンクの三菱UFJリサーチ&コンサルティングは今月10日、「歴史的な水準まで低下した労働分配率」と題する調査レポートを出した。「労働分配率とは企業が生み出した付加価値のうち賃金など労働者が手にする割合」だ。「給料が増えないことが普通になる一方で、(企業の)利益は過去最高を更新できるほどに拡大し、労働分配率が歴史的水準まで低下したと言える。」と述べている。


2012年末に第二次安倍内閣が成立し、打ち出された「アベノミクス」の実態がこれらのグラフで明瞭だろう。労働分配率は急激に低下し、企業の取り分は一層増加した。しかもそれは史上最高である。人件費は日本のバブル崩壊後、ほとんど横ばいのままだ。アベノミクスをマネー面で推進したのが日本銀行である。その日本銀行の公表しているマネタリーベースの推移を見ると、下図のようになっている。マネタリーベースの日本銀行による説明は「マネタリーベースとは、「日本銀行が世の中に直接的に供給するお金」のことです。具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値です。 」となっている。要するに日本銀行が世の中に向けて発行した有効な総紙幣量である。

このグラフを見るだけで、いかに異常な紙幣の発行か分かる。しかもこれだけ異常に発行しても、実質的には世の中にその紙幣は出回ってはいないのだ。今月5日に日本銀行調査統計局が発表した2017年12月末時点のマネタリーベースは479兆9976億円である。今月5日に日本銀行が発表した12月31日現在の「営業毎旬報告」を見ると、市中銀行が中央銀行に預ける当座預金が368兆4893億円である。つまり480兆円近くの紙幣を世の中に流して、そのうち76.8%が日本銀行の金庫に収まっているのだ。いくらお金を印刷して市中銀行を通じて世の中に流そうとしても、市中銀行は借り手がいないため、多少でも金利の付く日本銀行に預けざるを得ないのだ。この「営業毎旬報告」では17兆2353億円が上場投資信託、つまり株式に投じられている。超低金利で市中銀行から投資目的で多額の資金を借り受けられる富裕層だけが「異次元の金融緩和」の恩恵を受け、しかもその株式を中央銀行が買い支えている。さらに、「営業毎旬報告」では日本銀行の国債保有高は440兆6729億円となっている。日本銀行が発行した紙幣は国債購入のために91.8%が費やされている。市中銀行や保険会社が政府から買った国債を日本銀行がさらに高い金額で買い取ることで、金利を下げている。これほど多額の国債を中央銀行が買い取り、超低金利を維持し、政府の財政を助けざるを得ない状態に追い込まれているのが日本の現状だ。毎年80兆円の国債の購入であるから、今年中に日本の1年間の所得であるGDPと同じになる。政府財政が崖っぷちに追い込まれ、国民の間では格差が拡大している。このまさに異常な日本の現状をメディアは何も報じない。
昼休みに見た4羽の白鳥
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