釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

崖っぷちに近づく日本銀行と政府

2018-06-13 19:17:22 | 経済
6月10日現在の日本銀行営業毎旬報告によると、国債の保有額は462.2兆円で、昨年の国民総生産GDPが546.5兆円であり、GDPの84.5%にもあたる国債を中央銀行が保有すると言う異常な状態になっている。アベノミックスによる異次元の金融緩和が開始された2013年4月4日前の3月31日現在の日本銀行営業毎旬報告では国債の保有は125.4兆円であった。5年間で3.68倍まで膨れ上がっている。太平洋戦争で政府債務がGDP比で200%(現在は240%)となった時でさえ、日本銀行は政府から買い取った国債をすぐに市中銀行などに売って、国債の保有をGDPの50%以下に抑えていた。現在の短期金利の指標である2年国債の金利(利回り)は-0.14% 、長期金利の指標である10年国債の金利(利回り)は0.04%、さらに超長期の30年国債でも0.72%と言う超低金利の異常さが続いている。2年国債のマイナス金利は金利を政府から国債を買った形の日本銀行側が政府に払うと言うことだ。買う側が金利を払わねばならないような国債は本来であれば買い手が付かず、金利を上げざるを得なくなる。それでも金利が上がらないで済んでいるのは、日本銀行が不利になることを承知で買い取っているからだ。5年に及ぶ超低金利は市中の金融機関の利益を圧迫している。金融機関は金利差で収益を得るが、超低金利は金利差を縮めて、収益を少なくしてしまっている。市中の金融機関を苦しめてでも、中央銀行の国債買い取り、超低金利を続ける理由は何か。表向きはこれまで日本銀行は物価を2%に上げるためとして来た。しかし、5年経っても一向にそれは達成出来ていない。2%の物価目標を掲げて来た日本銀行はその目的を5年経っても実現出来ないため、ついにその目標を掲げることをやめた。それでも異常な国債保有と超低金利は維持し続けている。こうした日本銀行や政府財政の異常さを指摘するエコノミストは、日本では数少ない。同じくこの異常さを報じるメディアもごく限られている。国民がまともにこの異常さを受け取れば、預金引き出し、いわゆる取り付け騒ぎとなる危険性があるためだ。日本銀行の異常さを指摘し続けて来ているフランスのグローバル金融企業BNPパリバの河野龍太郎氏は今月7日のロイター通信の記事で、2015年に政府が策定した「財政健全化プラン」が達成時期の2020年を待たずに破綻した理由をあまりにも甘い経済成長率を想定していることにあると指摘している。経済成長率が高ければ、税収も多くなり、財政に少しでも余裕が出来る。そこを考慮して、実態以上に高い経済成長率でプランを策定している。政府は改めて財政健全化を2025年とするプランを発表したが、そこでも同じく実態以上の経済成長率を想定しており、河野氏はこのプランもその意味で、すでに破綻しているとする。すなわち実現不可能な財政健全化プランを策定することで、逆に2025年までは政府は緊縮財政を敷かなくてもいいとするのである。もはやこうなると政府は確信犯と言えるだろう。政権も財務省も日本銀行も政府債務の返済は不可能だと分かっているのだ。一般に中央銀行は景気が良くなると金利を上げ、景気が悪くなると金利を下げて、経済をコントロールしようとする。現在の世界経済は米国次第と言うところがあるが、その米国の経済はここ1〜2年で後退すると見る人が米国では増えている。早ければこの秋という人もいる。本格的に景気後退がやって来れば、日本銀行はもう金利を下げる余地がない。中央銀行の金融政策が限定されれば、政府の財政出動しかない。果たして、そんな時にさらに財政赤字を膨らませることなど出来るのか。そこで新たに発行する国債を買ってくれる金融機関はやはり日本銀行以外にはないだろう。これが「円」への信頼の喪失にならなければいいが。
桔梗

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