釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

岩手の農業

2015-10-07 19:10:11 | 経済
この時期は岩手県下の各地の産直で梨やリンゴ、柿、ブドウなどの秋の味覚が安く販売されている。しかし、これらの果物もほとんどが日本の原産ではない。この中では梨だけが日本原産である。通常和梨と言われるものだ。リンゴは中央アジアの山岳地帯、コーカサス(カフカス)地方~西アジアにかけての寒冷地が原産地と言われ、トルコでは8,000年前の炭化したリンゴが発見されていると言う。日本へは明治以後に導入されている。ブドウは原産地がコーカサス地方やカスピ海沿岸ですでに5000年前に栽培されていた。紀元前2世紀には中国に伝播され、日本では中国から入って来たものが自生化し、鎌倉時代初期に甲斐国勝沼で栽培され始めたようだ。柿は中国の長江(揚子江)流域が原産地で奈良時代に渋柿が日本へ入り、鎌倉時代に甘柿が出現している。梨も本来の原産地は中国とされるが、日本でも古くから野生のヤマナシが全国に分布し、登呂遺跡からはたくさんの梨の種が発見されており、弥生時代には食用とされていたようだ。岩手県は四国4県にあたる広大な面積があり、県も果樹栽培を振興しており、特にリンゴ、ブドウ、西洋梨、サクランボを重点的に振興している。農林水産省の東北農政局によれば、東北の果樹農家は全国の19%を占めており、東北では青森県が最も果樹農家が多く、次いで山形県で、この2県で65%を占めている。岩手県は福島県に次ぐ第4位で東北の8.7%になっている。岩手県の果樹の産出額は毎年だいたい100億円前後のようだ。東北6県の農業産出額は2013年で1兆3,093億円となっているが、果実はそのうちの14%となっている。やはり米が35%と最も多いが、畜産も30%になっている。岩手の果樹は栽培面積で見るとリンゴが一番多く、2,540kaとなっており、東北でも青森に次いで広いが、さすがに青森は規模が桁違いで、21,000haになっている。岩手ではリンゴに次ぐ果樹がブドウで、368ha、桃89ha、西洋梨68ha、和梨44ha、サクランボ28haと続く。東北全体ではさすがにリンゴは全国の76%を占めている。西洋梨が78.1%で、意外なのがサクランボで全国の84%が産出されている。ブドウは17%しかないようだ。果樹別の1位はリンゴが青森で全国の57.3%を、和梨は福島で全国の7.2%、西洋梨は山形で全国の61.1%を、桃は福島で全国の21.4%、サクランボが山形で全国の76.3%を、ブドウも山形で全国の10%とそれぞれなっている。こう見てくると東北の中でも青森、山形、福島が果樹に特化しているところがあるようだ。東北は米の収穫量では全国の27.9%を占め、地域としては最大である。東北の中では秋田23.2%、山形18.0%、宮城16.9%、福島16.2%、岩手13.1%、青森12.6%と続く。東北の農業は産出額で見ると13,092億円でその34.6%を米が、次いで畜産が30.0%、野菜16.9%、果実13.8%となっている。畜産が米に並ぶ。鶏、豚、肉用牛、乳用牛の順で並び、鶏が37.1%を占めている。岩手県は鶏、肉用牛、乳用牛の産出量では東北で1位となっており、全国でもそれぞれ、3位、5位、3位となっている。従って、岩手は東北の中では畜産に特化しているようだ。面積の広さが特徴であるから、この在り方は理解出来るし、かっては馬の産地であったこととも符合するのだろう。日本では米の生産額が1.78兆円であるが、2013年の農林水産予算22,976億円のうち6,386億円が稲作用の水路、農道などの費用に当てられている。米に偏った農政が行なわれ続けて来たのだ。
白いホトトギス

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2 コメント

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Unknown (マックス)
2015-10-12 18:07:18
先日、須川高原へ行ってみました。紅葉もピークに達しており、散りかけているようにも見えましたが、心が洗われるような爽快感がありました。仙人峠の紅葉も毎年楽しみにしています。食べ物がおいしい実りの秋ですが、茸類は今年も放射せんの影響で、まだ食べられないのでしょうか。
福島県では、放射能の影響で奇形児も産まれているようですが、岩手に住む私も少なからずセシウムを口にしているのでしょうね。
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マックスさんへ (管理人)
2015-10-13 21:13:16
そうですかもう高原はこの時期にはすでに紅葉のピークになってるんですね。平地では毎年釜石の紅葉が最後に見られますが、岩手は高原も入れると長く紅葉が見られて、いつも楽しみにしていま。残念ながら釜石近辺も盛岡よりは放射性物質が多く残っているので、
やはり全く無縁ではいられないでしょうね。いつも貴重なコメントありがとうございます。
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