釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

『平成27年版情報通信白書』

2015-09-11 19:17:01 | 科学
台風18号が三陸沖を通過したせいもあり、雨量は多く、甲子川の河川敷もかなり流れが溢れていたが、東北の台風はこれまでもそうであったように、四国の台風のような激しい風が吹かない。今回も風らしい風はほとんど感じなかった。ようやく明日あたりから日射しが射して来て、気温も日中は上がりそうだ。 今年7月28日、総務省は『平成27年版情報通信白書』を公表した。腕や頭部など、身体に装着して使われる超小型コンピュータ装置、ウェアラブルデバイスの実用化や商品化、インターネットに接続されたコネクテッドカー(Connected Car)や自動走行車、介護ロボットなど明るい未来が描き出されている。しかし、介護ロボットも単に現場を無視した技術者の発想でしかない。以前にも書いたように高齢者の介護に必要なのはまさに感情を持った人間による介護なのだ。介護ロボットがいかに人工知能を持つようになっても所詮ロボットには機械としての処理しか出来ない。工場のロボットと同じである。この「白書」が忘れているのは何よりも日本の情報通信の担い手の層の薄さだ。そして、インターネットに対するセキュリティレベルの低さが決定的である。2013年に内閣府が実施した『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』では、7か国(日本、韓国、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン)の、パソコンやスマホといった情報機器の10代の若者の所持率を調べているが、日本は携帯ゲームの所持率は53.9%と最も高く、携帯電話・スマートフォンでは最低で74.6%であり、次に低い米国ですら87.1%であり、タブレット端末やノートパソコン、デスクトップパソコンはいずれも最低になっている。ノートパソコンもデスクトップパソコンも持たない者の割合は、日本が45.3%、韓国が19.9%、米国が11.4%、英国が9.2%、ドイツが6.7%、フランスが7.6%、スウェーデンが7.1%で日本は突出している。これが13~15歳に限ると日本は70%にもなる。日本に次ぐ韓国ですら20%でしかない。やはり2013年にNPO法人「育て上げネット」が15歳から39歳まで、約2,200人を対象に調査した『若年無業者白書 ―― その実態と社会経済構造分析』によると、就職を希望する若者のうち45%が「メールを送受信するPC(パソコン)スキルがない」と答えている。現在企業ではパソコンを使えない新入社員が増えていると言う。一時は小中学校のコンピュータ教育が言われたが、結局は効果的に活用されていない。政府主導で行われるものは概して非効率で成果が上がらない。情報通信分野も同じである。パソコンが使える若者が先進国の中でも際立って少なく、さらには技術者も現場では冷遇されているため、日本の情報通信は総体としては先進諸外国に比べて層が薄く、特にセキュリティでは米国に10年遅れていると言われる。先に報じられた101万4653人の個人情報流出が確認された日本年金機構の情報流出事件もセキュリティの甘さが露呈されており、日本は特にトップ層のそうしたセキュリティへの理解があまりにもなさすぎるために、組織内の教育がおろそかにされる。独立行政法人情報処理推進機構の『情報セキュリティ白書2011』では日本は世界でもコンピュータのウイルス感染が極端に少ない国とされている。しかし、このことが逆にセキュリティへの甘さを生み出している。今後ますますインターネットに接続された機器の利用が増大するだろうが、セキュリティ対策の日本の遅れによって、情報通信白書の述べている明るい未来はむしろ困難に直面させられることになるだろう。
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