釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

景気後退は長期化するだろう

2014-11-18 19:26:44 | 経済
昨日内閣府は7~9月期の実質国内総生産(GDP)の第一次速報値を発表した。市場の多くがプラス2%と予想していたため、発表された前期比で年率マイナス1.6%に衝撃を受け、株価も大きく下がった。内容を見ると全体の約6割を占める個人消費が0.4%増え、設備投資は0.2%減、公共投資は2.2%増、企業在庫の寄与度はマイナス0.6%、外需はプラス0.1%になっている。民間消費、設備投資、民間在庫で予想を下回った。民間消費と設備投資が弱いことは経済の基礎が弱まっている証拠であり、それを見越した企業の在庫減らしてでもある。ここ2年続いて輸出は伸び悩んでおり、円安もあって輸入が大きく伸びている。結局は経済の牽引役が不在なのだ。毎日新聞によれば、アベノミックスを支持して来た全国銀行協会の平野信行会長も「第一の矢、第二の矢は有効に働いた。成長戦略を前に進めることが大事だ」と述べている。第三の矢である成長戦略は現実には何も打ち出されていない。そもそも金融緩和も円安も株価を人為的に上げて、既存の輸出企業を助ける政策であり、成長戦略とは逆向する既存企業の保護政策である。古くから言われて来た政官財のトライアングルで転換を図らなければならない産業構造を温存しようとしているに過ぎない。中国は日本をGDPで追い越したが、その原動力はまさにかっての日本の高度経済成長期と同様に大きく産業構造を転換したからである。欧米や日本がすでに済ませた第一段階の産業構造の転換を今中国が行ったことで、GDPを大きく伸ばした。その中国と同じ産業構造である限り、日本はもはや中国には太刀打ち出来ない。中国には力溢れる労働力が健在だからだ。米国はすでに第二段階の産業構造の転換をやり終えて、日本よりGDPをずっと維持し続けている。情報通信革命や高度サービス産業を成長させたからだ。製造業中心から脱皮している。しかも高度サービス産業を維持するための専門職を多く育成している。しかし、日本は既存の製造業に固執して、そうした専門職の育成をしていない。日本の危機はまさにこの点にあり、今、産業構造の転換に向かわなければ、到底現状すら維持できなくなるだろう。先進国の一員でありながら、産業構造は新興国と同じであれば、人口も多く低賃金の新興国に完全に太刀打ち出来なくなるだろう。産業構造の転換は早期には出来ない。それ故にすでにもう取り掛かっていなければ手遅れになってしまうのだ。真の成長戦略は決して財界には支持されないだろう。既得権益に固執するために。それは財界とも密着した政治家や官僚でも同じことだろう。政治家の劣化する日本でそうした英断が出来る政治家の登場は極めて困難だろう。それがまさに日本の危機なのかも知れない。
駅付近の仮設商店街の紅葉

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2 コメント

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こんにちは (夕焼け)
2014-11-20 11:06:00
今少し揺れがありました。少しの揺れにはなれた気がしますが、いざの時に備えておくのは今当たり前のことですね。日本の良さを改めて初心にもどることはできないのでしょうか、上を上を求めすぎたあまりに、日本中迷子になっていますよね。せめて気持ちは腐らないように笑っていたいと思います。いつも読ませて頂きありがとうございます。


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夕焼けさんへ (管理人)
2014-11-22 16:56:03
そうですね、本当に日本にはいいところがたくさんあるんですが、それらが大切されずに、どんどん忘れられて行くのがとても寂しいですね。ほんとうはそこにこそ日本が立ち上がれるものがあると思うのですが。とても残念です。せめて個人ではそうした揺れに対するの同じように対処して行くしかないですね。いつもコメントありがとうございます。
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