釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

超巨大火山(スーパーボルケーノ)

2018-03-17 19:11:39 | 自然
紀元前70000年頃から紀元前14000年頃までをヴュルム氷河期と言い、海面が現在より100mも低くなっていたため、現在のタイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなどが位置するインドシナ半島やマレーシアが位置するマレー半島はインドネシアのスマトラ島やボルネオ島と陸続きとなり、スンダランドと呼ばれる陸地を形成していた。現在のオーストラリア大陸もニューギニアと一体となり、サフルランドと呼ばれる。この氷河期を通じてアフリカを出た人類はスンダランドを経由して、サフルランドへ至ったと考えられる。これらの地域、特にスンダランド付近は環太平洋火山帯Ring of Fireであり、ユーラシアプレートやオーストラリアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートなどがせめぎあっており、日本と同じく、地震と火山噴火が太古から頻発して来た。以前にも書いたが世界には7つの超巨大噴火を起こしたカルデラがある。そのうち一つだけが欧州にあるが、他は全てこのRing of Fireに属している。インドネシアのスマトラ島には過去200万年で最大規模とされる超巨大噴火を起こしたトバ火山がある。人類がまだアフリカにいた7万4000年前のトバ火山の超巨大噴火は、一瞬のうちに2500Km3(立方キロメートル)の塵や岩を吐き出し、堆積物を数Km上空にまで噴き上げ、直径100Kmものカルデラを生み出し、地球の気温を急低下させ、気候の寒冷化に拍車をかけた。これまで、この超巨大噴火により、アフリカをようやく出ようとしていた現生人類を絶滅寸前まで追い込んだと考えられて来た。しかし、近年の米国ネバダ大学ラスベガス校の地質学者とアリゾナ州立大学の考古学者によって、アフリカの南端、ケープタウンに近いピナクルポイント遺跡が調査され、トバ火山の噴火によって積もった火山灰の上下の層から熱処理された石器や動物の骨など40万点を超える人類の遺物と、火が使われた痕跡を発見した。アフリカの南端の海岸にいた現生人類は噴火の時も生き延び、後に繁栄し、数千年間その土地に住み続け、さらには革新的な道具まで作り出したと研究者は結論付けている。世界にある7つの超巨大火山(スーパーボルケーノ)の中で、最も規模が小さいのが日本の7300年前の薩摩硫黄島の鬼界カルデラ噴火である。噴出したマグマは170km3であった。トバ火山噴火の15分の1である。それでも九州の縄文人を壊滅状態に追い込み、火山灰は北海道にまで堆積している。そして過去2億年で最大最強の噴火を起こしたのが、ニューギニアの東の海底にあるオトンジャワ海台での1億2000年前の超巨大噴火である。噴出したマグマの量は1億km3と言う途方も無い量で、地球の面積の1%を覆った。現在、驚くべきスピードでマグマが蓄積しているのが米国の国立公園になっているイエローストーンである。地下のマグマ溜まりには9000km3ものマグマが蓄積されている。これが噴出すると、広大な国土を持つ米国も、そのほとんどが火山の噴出物で覆われ、人が住める土地ではなくなる。地球を覆いつくす火山灰によって、地球の年平均気温は10度も下がると研究者は考えている。
内陸の雪の畑地で数羽の白鳥が餌を採り、2羽の白鳥が飛んでいた