釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

自らの手で再生を

2012-12-30 19:21:24 | 社会
昨夜0時前に宮城県沖でM5.4の地震があったが、震源から離れている釜石で最も揺れが強く、震度4であった。地鳴りのする固い地盤が原因なのかも知れない。日本気象協会の過去3ヶ月間の地震統計によれば、地震観測回数は震源地で見ると、宮城県沖が最多で86回となっている。以下福島県沖68回、茨城県沖56回、茨城県北部42回、岩手県沖31回と続く。震度3以上の地震観測回数では茨城県北部が最多で27回となる。震源地では東北から茨城県沖に圧倒的に多いが、気になるのは茨城県北部の内陸の震源地での発生だ。茨城県北部の内陸はプレート境界から離れているので、恐らく内陸の断層が動いているのだろう。プレート境界で受けた圧力が陸のプレート内部にも伝わり、断層を動かす結果になっているのだろう。日本列島は4つのプレートが交差するが、研究者によっては東北や北海道がのる北米プレートはさらに4つにマイクロプレートによって分けられるとされる。中部以西の地域がのるユーラシアプレートもやはり中央構造線を含めて3つのマイクロプレートに分けられている。この他に内陸部では活断層が走るので、ほんとうに日本列島は断層の巣窟といってもいいほどだ。今日の共同通信によれば、過去20年間に世界で発生した自然災害による経済損失額の約5割がアジアに集中しているそうだ。日系企業の生産拠点が集中する東南アジア諸国連合(ASEAN)では今後、年間190億ドル以上の経済損失が発生する恐れがあり、アジア開発銀行(ADB)は「世界経済をけん引するアジアが最も災害の危険に直面している」として早急な対策を呼び掛けている。太平洋沿岸部の地震や津波、多雨地域の洪水などが、発展途上のアジアの成長を阻害する恐れがあるという。新首相は福島県を訪れ、30年の原発ゼロ政策を検討し直すと発言している。首相は古代荒覇吐王国の統率者や奥州安倍氏の血を引く人だ。明治維新時、同じ血を引く福島の三春藩主の秋田氏は皇室と敵対した自己の系図に誇りを持ち、宮内省の勧めを断り、そのままの系図を提出した。政権を簡単に投げ出した今の首相にはそうした誇りは微塵も感じられない。荒覇吐王国にしても奥州安倍氏にしても自らは戦いを仕掛けることを避け、平和な民の暮らしを願った。今日の釜石は小雨が降る一日で、近くの高さが100mもない山の谷間にも霧がかかっていた。そのゆったりとした霧の動きを見ながら、現代の東北と古代の東北をどうしても比較して考えてしまう。自立乃至独立した古代の東北は豊かで平和な暮らしにつつまれていた。日常に誇りさえ感じていただろう。現代の東北は物質的には古代に比べてはるかに豊と言えるが、自分たちの日常に誇りを持つことができるだろうか。そしてこのことは特に東北に限らない。古田武彦氏が明らかにして来たように、日本にはかって多くの国々があった。それぞれが誇りを持って生きていた時代があった。地方の衰退とともに地方の人びとの誇りが失われ、日本という国も柱を失って行った。日本が真に再生するためには地方の再生が先ず第一の条件だと思う。巨大化した企業資本は利益を求めて劣化した日本を容易に離れて行く。従って、国内の空洞化はTPPへの参加とは無関係に進んで行くだろう。いつまでも中央をあてにしていては地方の再生など得られるはずがない。再生はあくまでも自らの手で行わねばならない。地方がそうした自覚を持てれば、日本は再生して行けるだろう。
先日小雪の中を庭にやって来たエナガ