釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

主食をどうするか、を真剣に考えるとき

2012-07-30 19:14:10 | 文化
今日も釜石は30度の気温が続いている。いつもより風も冷たくない。海水温が上がって来たのだろうか。釜石の水道水は都会よりも冷たいのでありがたい。都会だと夏場には水道水があたたくなり、飲む気がしなくなる。水道水で一番美味しいと感じたのは北海道東部の清里町の水だ。釜石の水道水は清里町ほどではないが、夏は冷たく比較的美味しい水だ。これだけ気温が上がって来ると休日には庭の花木へも水をやらなければならない。犬たちもできるだけ日陰を作ってやり、少しでも涼しくなるように周囲に水をかけてやる。犬は寒さより暑さに弱い。今朝は久しぶりに震度3の地震があったが、ちょうど犬たちに餌をやっている最中だった。突然の揺れに神経の細やかなベルギーシェパードは食べるのを止めて、囲いから飛び出した。ドイツシェパードの方は意に介せずそのまま食べ続けていた。賀茂川耕助の和名を持つ米国人ビル・トッテン氏は1969年に日本にやって来て、起業された経済学博士だ。日本の文化に傾倒し、2006年に日本に帰化された。賀茂川耕助の名はペン・ネームだと思うが、コンピュータソフト販売の会社を経営しながら、自ら京都で畑を作って、耕作にいそしんでおられる。米国の経済戦略を痛烈に批判し続けておられる。今月26日の日本海新聞の論説「温故知新」に「99%の日本国民苦しめる政策」と題する文を寄せている。現在の米国は「企業がアメリカを乗っ取り、99%のアメリカ人を強奪している」と見ている。「モンサント保護法」が承認されようとしており、「これは安全性が確認されていなくても遺伝子組み換え作物を作ってもよいというものだ。」。「日本がTPPに参加すれば、多国籍企業は日本でも同じように圧力をかけ、遺伝子組み換えや食品原産地のラベル表示義務を取り除くだろう。」「TPPは貿易協定などではなく、企業が国家を支配するためにその国の社会システムを変えさせることなのだ。」と述べられ、「原発の再稼働、消費税の増税、TPPにACTA(国際貿易協定)と、99%の日本国民を痛めつける政策を次々と打ち出してくる日本政府をみると、もはや日本がアメリカなみに1%に支配されているということだけは間違いない。」としている。昨日も遠野を車で走っていて、緑の広がる田園がいつまで維持されるだろうか、と考えていた。農村部を抱える地方は高齢化がますます進んで行く。炎天下であってもきつい労働を強いられる農業に就きたいと考える若者は少なくなっている。現在の日本の農業は補助金でかろうじて維持されている。元経済産業省官僚の古賀茂明氏はTPPを導入して農業を効率化する必要性を訴えておられるが、食料の問題は生活に密着しており、一般の商品とは同列に語れないものだ。食料は生活の基盤でもあり、それを安易に輸入品に頼る構造になりかねないTPPは日本の農業を壊滅させてしまう可能性すらある。食の安全は効率だけでは語れない。ましてモンサントやカーギルなどの多国籍企業が入れば、とても太刀打ち出来るものではない。モンサントは今や世界の90%の遺伝子組み換え種子を握っている。南米の大豆のほとんどが遺伝子組み換えに変えられ、家畜の飼料やバイオエネルギー源として使われており、同時に使われている農薬が現在南米で大きな被害をもたらしている。遺伝子組み換え種子と農薬の両方がモンサントの手に握られており、南米では遺伝子組み換え以外の種子を入手するのが困難になっている。日本の農業は効率では簡単に多国籍企業に負かされてしまうだろう。消費者も選択肢がなくなってしまう可能性が強い。良質な農産品を生産することで海外で利益を得られるなどと主張する人がいるが、日本人の主食である米をどうするのか、が最初に議論されなければならないだろう。米は確かに現状を維持するだけでも大変だ。であれば、TPP導入で日本の米は先ず潰されて行くだろう。
山間で見られる糊空木(のりうつぎ)