釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

独走する官僚とひ弱な政治家

2012-07-27 19:18:46 | 文化
今日は曇天で湿度が高いのか少し外で動くと汗が出る。気温が30度近くに上がった。今日は東北の梅雨明けなので、そのせいなのか。日曜日からは30度を超える予想だ。釜石の一番暑い時期がやって来る。昨夜は久しぶりに星空が広がっていたので、庭に出て星を眺めていると、庭全体に大きく開いた山百合の香りが漂っていることに気が付いた。暗がりに見える白い山百合を見ていると、近くをほのかな光が舞っていた。どこからやって来たのか蛍が飛んでいた。近い川と言えば甲子川しかないが、甲子川のこのあたりでは蛍は見かけたことがない。もしかすると甲子川にも蛍がいて、川幅が広いので気付かないだけなのかも知れない。庭の蛍はしばらく飛んだ後どこかへ消えてしまった。まるで夢でも見ているような瞬間だった。原子力安全・保安院に替わってあらたな原子力規制組織として原子力規制委員会が設けられるが、その初代委員長に田中俊一前内閣府原子力委員会委員長代理が起用される案が国会に提示された。政府の福島第一原発事故後の何ら反省の見られない原発推進姿勢からは想像出来る人事ではあるが、それにしても、まがりなりにも原子力「規制」委員会と「規制」の名が付く委員会の長にこれまで原子力を推進して来た人を就けるのには呆れてしまう。今の政権は前政権以上に前政権らしいと揶揄されている。特に、現在の首相になってからはそれが加速されている。昨年9月まで経済産業省の現役官僚であった古賀茂明氏が書かれた『官僚の責任』を読むと、よく世間で言われている「国益よりも省益優先の官僚」の実態が書かれている。縦割り行政がそうせしめていることにも触れている。ひ弱な政治家ばかりで、短命な首相が続けば、日本の舵取りは実質的には官僚が行っており、しかも、国全体を考える官僚はおらず、省益だけを優先して突っ走る。これまで原発を推進して来た経済産業省は、あくまで推進を続ける。そこでは国民の意志などはまったく顧みられることはない。国内で財政の危機を声高く叫ぶ官僚たちは国外には大盤振る舞いをして、貴重な国費を散在している。24日の参議院予算委員会では森ゆう子参議院議員がその点を指摘している。現首相になってから海外へ供与が約束された資金は16兆8,133億円に達し、さらに為替介入を通じた米国への資金供与が昨年1年間で14兆2,970億円あり、合わせて31兆1,103億もが海外へ供与されている。アジア諸国への相変わらずのODAなどが含まれ、外務官僚の独走が許されている。海外への散在の一方で国内では「陰の総理」の異名をとる財務官僚が政治家たちを懐柔し、消費税の増税を国民に課しておきながら、自分自身は庶民ではとても手の届かない億ションに新居を移している。増税が実現すれば公共事業の大盤振る舞いもすでに盛り込まれている。従来通りの官・政・財の既得権益の維持しか考えていない。国のシステムがすっかり変わった明治維新直後や敗戦直後などは有為の政治家も輩出され、政治主導が機能するが、少し安定して来ると政治家は不勉強となり、2、3世議員や「なんとか塾」出身者のようなあんちょこな政治家ばかりになってしまう。当然、省益しか考えない秀才官僚には太刀打ち出来ない。官僚の言うがままである。まさしく官僚のやりたい放題である。現在の日本はリーダー不在の国家である。今後も国難は確実に続いて行く。海外への散在ぶりを見ていると、ほんとうに財政危機はあるのか、と疑いたくなるが、膨大な借金があることは間違いない。産業もアジア勢に追いつかれて来ており、少子高齢化がますます進んで行けば国力の低下は避けられない。自然災害は再び必ずやって来る。福島のような人災の訪れることも現状では十分あり得る。こうした予想される国難を乗り越えられる展望を示すリーダーは見当たらない。自分たちの生活は自分たちで守るしかないだろう。生活スタイル自体を変えて行く必要もあるだろう。やはり日本が再生するには地方がどれだけ元気であるかにかかっているように思う。特に、東北が再生できるかどうかは重要だと思う。豊かな自然を活かした自立が東北の、日本の再生に繋がって行くだろうと思う。もっともそれも国力の落ち込みが極端でない限りではあるが。
あぜ道に咲く薮萱草(やぶかんぞう) 周辺ではウグイスとヒグラシが鳴く