SIDS対策強化月間
乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、それまで元気だった乳幼児が事故や窒息ではなく、眠っている間に何の予兆や既往歴のないまま死に至る、原因のわからない病気です。
日本での発生頻度はおよそ出生6000~7000人に1人と推測され、生後2か月から6か月が多いとされていますが、まれに1歳以上でも発症することがあります。
発症は年々減少傾向にありますが、令和4年には47名の乳幼児がSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第4位となっています。
SIDSは、12月以降の冬期に発症しやすい傾向があることから、厚生労働省は毎年11月をSIDSの対策強化月間としています。
SIDSの予防方法は確立していませんが、以下のポイントを守ることにより、発症率が低くなるデータがあります。
①1歳になるまでは、寝かせる時は仰向けに寝かせる
SIDSは、うつぶせ、仰向けのどちらでも発症しますが、寝かせる時にうつぶせに寝かせた時の方が発症率が高いと言われています。医学的にうつぶせ寝を勧められている以外は、こどもの顔が見えるように仰向けに寝かせましょう。
②できるだけ母乳で育てましょう
母乳育児が様々な点で良いことは知られています。母乳の方がSIDSの発症率が低いと言われています。母乳育児にトライしてみましょう。人工乳がSIDSを引き起こすわけでは決してありません。また、医学上の理由で母乳育児が出来ない場合もあるため、周囲の方はご理解をお願いします。
③たばこをやめましょう
たばこはSIDS発症の大きな危険因子です。妊娠中の喫煙は胎児の体重が増えにくくなり、呼吸中枢に悪影響を及ぼします。妊婦自身の喫煙はもちろんのこと、妊婦やこどもの側での喫煙はやめましょう。これは、身近な人の理解も大切です。日頃から喫煙者に協力を求めましょう。
④こどもを暖め過ぎない
冬になるとどうしても部屋を暖めすぎたり、厚着をさせたり、布団をかけすぎてしまったりしがちです。着せすぎによって高体温になってしまい、それがSIDSを引き起こす原因となっている可能性が指摘されています。
これらのことはいずれもSIDSの直接の原因ではありません。子育てに関し必要以上に不安を抱くことは避けましょう。これを参考に、日頃の子育てを再確認していただき、あとはおおらかな気持ちで子育てをしましょう。
SIDSについてよくある質問
Q:こどもが睡眠中に寝返りをして、うつぶせ寝になった場合は、仰向け寝に戻す必要があるか?
A:寝返りはこどもの成長発達にとって重要であり、自然な発達過程です。SIDSのリスクを減らすために重要なことは、眠り始める時に仰向け寝にしてあげることと、寝返りをした際に備えてこどもの周囲に柔らかな寝具を置かないようにすることです。アメリカの小児科学会によると、こどもが仰向けからうつぶせ、うつぶせから仰向けのどちら側からも自分で寝返りができるようになったら、その姿勢のままにしておいてよいと言われています。
園では、午睡中のうつぶせ寝はすぐに直すようにしています。(おおわだ保育園では、0~1歳児の午睡はバウンサーを使用しております。)
また、うつぶせ寝が好きなお子さんでも気を付けていくと、2週間程度で仰向け寝に定着すること多いです。
Q:こどもの睡眠について、SIDSの他にも気を付けることはありますか?
A:睡眠中の窒息事故にも注意が必要です。
①敷布団は硬めのものを使用しましょう。
②掛け布団は軽いものにし、掛けすぎないようにしましょう。
③布団が顔や口にかからないようにしましょう。
④顔の周囲にぬいぐるみやタオルなど首に巻きつくものを置かないようにしましょう。
⑤ベッドに隙間を作らないようにしましょう。
無呼吸に気付いたら、すぐに救急要請と心肺蘇生をしましょう。
睡眠中はこまめにこどもの様子を確認し、こどもの命を守りましょう。