白洲次郎が、武蔵の国と相模の国の間にあることから、また「無愛想」とからめて名づけた旧白州邸、武相荘(ぶあいそう)へ行ってきた。
日本の民家の美しさ。
自然の作法に則り、正直に、清楚に暮らすということ。
大切なものを大切にするという、ごく当たり前の感覚。
屋内に入ったときの独自の匂い、ひんやりした空気感、木の建具の美しさと、当たり前にそこにある家具の存在感、邪魔にならない新しい価値観の調度品。
書斎に入ったときのむせ返るような空気感。ゆっくり、そおっと入って行かなくては、そこにある何かに叱られてしまいそうな、不思議な感覚。
ここで確かに白洲正子は本を読み、執筆したのだ。
外に出て、高台に建つ旧白州邸から街を見下ろすと、田畑や民家の点在する集落の風景が目に見えるようだった。今は現代の街並みがあり、振り返れば、しっとりと雨に濡れる武相荘が佇んでいる。
建築とはこうあるべきです。
皆さんからのレクチャー(?)がなければ、感じられなかった(感じ取れなかった)感覚だと思います。