時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

自転車から見る世界

2009年03月08日 | 雑記帳の欄外

 早春の週末、久しぶりに自転車に乗る。顔に当たる風はまだ冷たいが、明らかに春の訪れが感じられる。10キロほど離れた近くの大学キャンパスを目指す。途中には短いながらも自転車専用レーンもあって走りやすい。公園の梅も満開に近い。

 
それにしても、行き交う自転車が増えた。駅や大きな店の前にも自転車が溢れている。それも、銀色のまだ新しい自転車が多い。デザインの斬新な外国製の自転車も増えた。電動アシスト自転車もかなり見かけるようになった。

 子供たちが、最近買ってもらったのだろう。色とりどりのヘルメットをかぶり、マウンテンバイクなど、見るからに新しい車に乗って、親たちと一緒に走っているのはほほえましい光景だ。自転車を通勤に使う人たちも増えたようだ。 

 自転車ブームが起きていることは、明らかに感じられる。町の自転車屋さんはどこも忙しそうだ。新しい店も次々と開店している。自転車の受国内での普及率はきわめて高く、国内総世帯に対する比率は83%近いといわれている。しかし、エコ(環境)・健康志向、自動車離れなどが重なって、新たな需要が掘り起こされているようだ。

 自転車の復活は、ほとんど世界的な風潮のようだ。グローバル危機の拡大は、世界規模で自動車の大幅かつ急速な販売低下を生んだ。自動車販売、そして生産の減少は、先進国のみならず新興国へも波及している。ガソリンに代わる代替エネルギーによる電気自動車などの開発、普及には、まだかなりの年数を要するとなると、公共輸送機関の充実や自転車などの普及によって、省エネルギー化が進むのは望ましいことだ。

 
 自転車ブームの背景には数多くの要因が働いている。省エネルギー、省スペース、経済性、健康・スポーツ、通勤・通学手段など、さまざまな動機が考えられる。自動車に比較すれば、格段に人にやさしい乗り物であることは確かだ。若者の自動車離れも進んでいるようだ。

 ただ問題がないわけではない。日本は自転車専用レーンも少なく、安心して走れる道は少ない。自動車文明が生み出したマイナス面でもある。自転車は車道の端を走行しなければならないので、常に危険がつきまとう。自動車ばかりでなく、歩行者との接触の危険性もいたるところにある。放置自転車の問題も再燃し始めた。

 マナー違反も目につき、さまざまな危険性が潜んでいる。後方から高速で追い越してゆく自動車、オートバイ。最近の車はエンジン音が小さいので、自転車にバックミラーをつけていても、注意していないと危ない。

 自転車の乗り手側にも問題が多い。薄暗くなって視界が悪くなっても、点灯しない。ケータイをかけながら蛇行して走る若者。子供や高齢者が歩いていても、減速、徐行しないなど、ルール違反が目に付く。せっかくクリーン・エネルギー化の一端を担う自転車ブーム。マナー、ルールを守って育てたいものだ。

 自転車に乗るだけで、新しい世界を垣間見た思いがした。

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