時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

パンデミックで変わる「距離」の感覚

2021年07月21日 | 午後のティールーム




新型コロナウイルスの感染拡大で、世界は大きく変わった。現在の段階で総括はできないが、明らかに世の中が変化し、結果がコロナ後まで継続しそうなものもある。そのひとつは、人々の間の「距離」の感覚である。Covit-19の感染経路が明らかになった段階で、日常の社会生活で人々が互いに接触する「距離」についての関心が一気に高まった。実際には「物理的距離」なのだが、「社会的距離」’social distance’の名称で使われるようになった。covit-19によって生まれた自分と他人との間の新たな「距離」関係についての研究も行われているようだ。


TVを見ていて気がついたのだが、人間には、”Comfort Level” (’快適さ、心地よさの水準’)とでもいうべきものがあるようだ。そのひとつの発露が、他の人との接触の距離で示される。

ある人は、知人、友人などに出会った時、親愛の情を示すため、衝動的あるいは意識して互いにハグ (huggingあるいはhug) または*抱擁*(ほうよう)したいと思う。しかし、コロナ禍の環境では、それもできず、「肘を突き合わせて」elbow greetings 挨拶代わりとするような風習も生まれた。さらに、感染を危惧する場合には、お互いの呼吸が影響しないような距離をとって、会釈やお辞儀、手を振るなどで挨拶代わりとする。あるいは全く何も示さない。


しかし、現実には、ハグして良いのかためらったり、肘をつき合わせるのもなんとなく形式的で不自然だなど、色々な状況が生まれそうだ。

筆者の友人のアメリカ人は、コロナ感染前からとっさに状況が読めない場合も増え、ハグをしても良いかと、あらかじめ確かめた上で、ハグをすると話してくれた。その間に高まった感情も冷えてしまうこともあるようだ。人間の感情からすれば、大変不自然なのだが、今のような状況では致し方ないのだろう。

ハグについては、国、宗教、文化、あるいは個人的考えなどによって、程度の違いもある。日本人はあまり公衆の場では、ハグはしないといわれてきた。しかし、これも状況は変化してきた。若い人は抵抗が少ないだろう。

こうした問題を多少なりとも緩和する手段として、TVが紹介していたのは、「距離」についての自分の考えを表明する手段としての「カラー・リング(色別腕輪)」だった。緑色、黄色、赤色の3色があり、それぞれが自分の”Comfort Level” (’快適さ、心地よさの水準’)を示している:

緑色:ハグしてもよい  HUGGING OK

黄色:肘を突き合わす程度はいい  ELBOW ONLY: STILL BEING CAUTIOUS

赤色:あまり近づかないで欲しい  NO CONTACT: A FEET APART, NO EXCEPTIONS

これはなかなかのアイディアで、すでに商品化もされているようだ。

さて、貴方はどの色を選びますか。緑色と赤色の人が出会ったらとっさにどうするのでしょう。どうも、このアイディアも完璧とは言えないようです。

コメント
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