阪急三番街北向地蔵尊
傍を通るたびにいつも、妙なところに鎮座しているな、と気になっていた。
このところ、菓子折を求めに、百貨店へ頻繁に足を運ぶ。
ほうぼうへの挨拶のためなのだが、買い物をしながらも様ざまなことを思い返しては、「来週の今頃は、もうこの辺りにはいないんだな」と淋しさを感じる。
そうなると、目に映るものを片端から、できるだけたくさん残しておきたくて、菓子折の入った袋を両手いっぱいに提げたまま、この気になる地蔵尊に手をあわせに参った。
地蔵尊の由来が書いてあった。
「此処に祭祀申しあげております御本尊は明治二十六年この附近の畑より掘り出されました自然石(高さ七十三センチ横二十六センチ)の地蔵尊でございます
當時の地主仲谷弥三兵衛氏が世話人となられて御堂を北向きに建立されて同年十月十六日祭祀され爾来北向地蔵尊と呼ばれて多くの善男善女の崇敬を集められたのであります
昭和四十四年十一月現在の阪急電鉄梅田駅阪急三番街が建設されるに當り御堂を此処阪急三番街地蔵横町に北向きに建立して御本尊を御遷座申しあげたのでございます
御遷座拾周年をお迎えいたしますに當り後世のためこの由来を謹書申しあげます 合掌
阪急三番街北向地蔵尊 奉賛会」(案内板より)