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浪江.小高原発計画/撤回を地域再生の第一歩に (福島民友新聞社説)

2013-03-31 21:01:24 | 原子力関係
 東北電力は、福島県双葉郡浪江町と南相馬市小高区にまたがる沿岸部で計画していた浪江・小高原子力発電所の新設中止を決めた。

 建設計画の発表から45年、用地買収は8割まで進んでいたが、東京電力福島第1原発事故後、県内では建設反対の声が強まっていた。計画の撤回は、県民の意思をくみ取った順当な判断といえる。

 東北電力が浪江・小高原発の計画を発表したのは高度成長期の1968(昭和43)年。国の特に重要な大規模電源である「要対策重要電源」に指定され、計画が推進された。

 予定地の面積は約150ヘクタールで、用地取得などに185億円を投じ、約125ヘクタールを取得済みだ。しかし地元地権者の一部に根強い反対があり、73年度の計画書提出から35回にわたり運転開始時期を繰り延べてきた。

 そこに福島第1原発事故が追い打ちをかけた。県は「脱原発」を表明し、誘致を図ってきた浪江町と南相馬市の両議会は原発誘致の撤回を決議した。海輪誠社長は昨年3月の記者会見で「(新設は)相当厳しい」という認識を示し、昨年の供給計画では運転開始時期を「未定」に変更した。

 東北電力にしてみれば、運転開始時期を「未定」のまま、計画を繰り延べるという方法もあった。しかし原発に対する逆風を抜きにしても、残る用地の取得や、漁業補償、環境影響評価など手続きは長期間を要する見通しだった。「このまま立地を推進するのは経営として適切でない」(海輪社長)という判断は正鵠(せいこく)を射ていよう。

 東北電力は7月からの大幅な料金値上げを国に申請し、審査を受けている。値上げに対しては、東日本大震災の被災3県を中心に値上げが復興の足をひっぱることにならぬよう上げ幅の圧縮と最大限の経営努力を求める声が上がっている。こうした状況からみても計画進展の見込みがほとんどない浪江・小高原発にしがみつく余地はなかったともいえる。

 予定地の今後の土地利用について地元からは、(1)火力や大規模太陽光など原子力以外の発電所建設(2)工業団地としての活用(3)復興公営住宅の整備―などが要望として挙がっている。これに対して海輪社長は「地域の発展に貢献できるように有効活用する」との考えを示している。

 浪江町は4月1日に避難区域が再編され、予定地付近は避難指示解除準備区域になり、復興へ向けた準備ができるようになる。小高区側は一足先に昨年4月から避難指示解除準備区域になっている。

 東京ドームに置き換えると32個分にあたる広大な土地をどのように活用していくのか。地元市町の復興へ向けたまちづくりと連携し、地域再生をけん引することができるような活用方法を見いだしてもらいたい。

2013年3月30日 福島民友新聞社説

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