シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0245■タビ物語-おやすみ

2007-04-24 | 近所の猫
子どもたちがまた学校へ行き出した。アイツらはすんごく喜んでる。
これでも「かわいがってる」って言うのか?
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「おやすみ。」
小さい子は自分の部屋へ。
「おやすみ。」
アイツはベッドへ。

アニキとおいらは廊下に残った。
ガラスのドアの向こうには外の電気に照らされて、頭から尻尾まではっきりわかる黒ネコのタビがいた。すごすごベッドになんか戻れるもんか。おいらたちはドアに寄って警戒した。やつはまるでドアを蹴破って来そうな勢いだった。

ガタガタ、ドンッ
ニャー
ガタガタ、ドンッ
ニャー


アイツが声をかけて、一瞬止まった体当たりがまた始まった。
アイツはベッドの中で起きてたけど、戻ってこなかった。



「お家に帰りなね。お家に・・・」
とヘタクソだけど、交信しようとしてる。こんなにヘタじゃ、タビには通じない。

ガタガタ、ドンッ
ニャー
ガタガタ、ドンッ
ニャー


しばらく音が続いた。スゴいやつだ。でも、アイツは寝ちまってヘタクソな交信も終わった。
とうとう外の電気が消えた。

ドアが開かないことがわかったタビは、あきらめた。
アニキがソファーに引き上げて、おいらもアイツの部屋に戻って、また足元に丸くなった。
もう戻ってこないだろう。四つ足だからね、タビの交信ぐらいわかるさ。今度は朝までぐっすり眠った。
(つづく)