シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0180■アニキの失踪 Ⅲ 

2006-07-26 | アニキ物語
今の家に来てからいっぱい寝ていっぱい起きていっぱい喰った。
これを二本足は2週間って言うんだと。
何日経っても寝て起きて喰っては一緒なんだけどね。
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「チャッチャー、チャッチャー」
外からアイツの声がする。いなくなったアニキを探してんだ。もう外は真っ暗だ。二本足じゃなにも見えないだろう。
「チャッチャー、チャッチャー。寒いから帰ってらっしゃい。」

(←昼はあったかいけど夜は寒いぜ)

玄関のドアが開いてる。いろんなにおいと一緒に冷たい空気が入ってくる。おいらはドアの前に座って迷った。外に出ようかどうしようか。
昼間この新しい家に連れて来られたときはキャビネットから出られなかったけど、もう家の中なら歩いてる。アニキがいないとおいらも落ち着かないんだ。
どうしよう。出るか、待つか。

「チャッチャー、チャッチャー。ご飯よー。あら?ピッピ。出てきたの?一緒に探してくれない。チャッチャがどこにいるかわかる?」
「ニャー」
なんとなくなんか言ったほうがいいような気がして、おいらは鳴いた。
「お庭を回ってみよっか?どっかに隠れてるかもよ。」

アイツはおいらを抱き、アニキを呼びながら、玄関から花がある前庭、階段のある家の横を通って木がある裏庭に回った。そしてまた玄関へ。おいらも何回か鳴きながらアイツの腕の中で家を一周した。自分で歩いてみないとよくわかんないけど、とにかくグルッと回って来れるってことはわかった。

「いないわね。なんとなくお庭にはいない気がするの。遊びに行っちゃったのかしら?迷子になってないといいけど。」
ここにはアニキはいない。においは残ってるけど、どっかに行ってる。そこまではわかるけど交信してもどの庭かはわかんない。

「あっ、ママ。」
突然、大きい子どもが現れた。
「見つかった?前の家まで見てきたけどいなかったよ。」
「ありがとう。やっぱりそんな遠くまではいけないわよね。」
「こんなに寒くて外で寝たら死んじゃう?」
小さい子どもも家から出てきて聞いてる。

「大丈夫よ。これだけみんなで大きい声出して明かりもつけてるから、ここがお家だってわかってるでしょう。そのうち帰ってくるわよ。さっ、寒いから中に入りましょう。」
おいらも抱っこのまんま、家に入った。
(つづく)


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