11月の第4木曜日はアメリカの「感謝祭」の日です.クリスマスの次に大切な祝日で,日本のお正月のような雰囲気.このときは家族が一緒に集います.こちらのお正月は元旦だけお休みで2日から仕事や学校が始まるのに対し,感謝祭は通常4連休.中には前日からお休みで5連休という人もいますから,どれほど重要な祝日かお分かりいただけるかと思います.一年の抱負を語ったりするのも,お正月ではなくて感謝祭の日にします.2日目の金曜日は「ブラック・フライデイ」と呼ばれ,日本の初売りやデパートの福袋のような,電化製品などの大安売りがあり,早朝6時から店先に長蛇の列なんて光景も目にしますよ.研修生で1人だった頃は,周囲のみんなが家族のもとへ帰ってしまうので,よけいホームシックにかかったりしてあまり好きではなかったんですけどね.
元々はイギリスからアメリカ大陸へ渡ってきた清教徒の人たちが,この国で生き延びるためにと,インディアンから家畜を飼いならし方や,作物を育てる方法を教えてもらったということで,インディアンと大地の恵み,そして神様に感謝するという日でした.なので使用する食材も七面鳥,カボチャ,サツマイモ,クランベリーなど,アメリカ大陸ならではのものを使います.今は神様に,家族に,そしてこの1年に感謝するといった感じです.
昔はそれこそ,全ての飲食店が閉店していたのですが,最近は家で料理をしない人や,実家に帰らない人たちのために,「感謝祭特別ディナー」が食べられるレストランも増えてきました(要予約です).私もトニーも七面鳥があまり好きではないということと,2人だけの食事に大きな七面鳥を料理しても食べきらないということで,なかなか豪華な特別料理とは行きませんが,それでも雰囲気だけはということで,ちょっとスペシャルに,私流にアレンジしています(そのかわりお節料理は作りません).
- 牛蒡のポタージュを急遽中止して,レンズ豆のスープ
- 七面鳥ではなくて,小さめの若鶏の丸焼き
- ソーセージと栗のスタッフィング
- 箸休めではなくて,フォーク休め(?)にインゲン豆の茹でたもの
- 芽キャベツのソテー
- クランベリーとクルミのシリアルクッキー
- スウィートポテトは中止して,ブランデーを絡めた栗の甘露煮
- フルーツの盛り合わせ
- 100%クランベリージュースのシャンパン割り
- 赤・白ワイン各種
どれも美味しくできました.思ったよりも段取りよく手早くできたので,来年もこれプラスαな感じでいこうと思います.こんなに沢山の量を夫婦2人で食べきれるのかとお思いでしょう?完食です.夕方から食べたり飲んだりで,な~んにも残りませんでした(笑).
中国系アメリカ人のトニーの家族ですが,こちらは中華な感謝祭メニューです.中国系の人たちもあまり七面鳥を好まないんですよね.この時期だけ売られる「ヌードルチキン」という去勢された雄の若鶏を,外皮はパリッと中身はジューシーにローストして食べます.ややお醤油風味です.去勢すると何が味の変化に繋がるのか知りませんが,とても美味しいので,中華の鶏料理の中でも,これは私の好物.他には,甘い蜂蜜のかかった叉焼や,中華野菜の炒め煮,漢方の薬草や乾物が沢山入ったスープなどをいただきます.正直言って,アメリカンな感謝祭メニューよりも,中華のほうが日本人の嗜好には合うと思うなぁ.ご飯も進むし.毎年トニーのお祖母さんを中心に,お母さんや叔母さん達など,中国の文化や言語,食文化を受け継いでいる人たちで作っていましたが,義祖母さんの高齢化と,結婚等で家族がどんどん増え(20~30代の食べ盛りだけで15人),皆がひとつのお家に集まれなくなってしまったため,今年から外で食事をすることになりました.こういう時に外食はちょっと味気ないですけどね….
さあ次は1年の最大イベント,クリスマスを待つのみ!
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