infinity

届かなかった1点-斉藤和巳

2006-10-13 00:42:59 | Sports
本当に勝たせてあげたかった。日ハムの八木投手もソフトバンクの斉藤投手も素晴らしい出来だった。八木投手は、右打者の外角低めに、左打者の内角低めへのストレートを生命線に見事なピッチングを披露していた。スピードは140キロ程度だが、キレ・コントロールが素晴らしい。一方の斉藤投手も本当に素晴らしかった。振りかぶってから足を下ろすまでのフォームがまるで大リーガーみたいだった。日本人離れしたフォームだと思う。そこから、見事にコントロールされたストレートと、タイミングを抜くカーブ、140キロ代のフォーク、そして何より気迫、本当の正真正銘のエースだと思う。雰囲気が素晴らしかった。

日本ハムの守備も素晴らしかった。牽制でセカンドでアウトにしたり、ショート金子のファインプレー(捕球してから送球までが素晴らしく早い)、そして森本の守備(足も速いけど、反応が素晴らしい)、期待通りの試合だった。
8回、両投手とも疲れが見えた。八木投手もコントロールが効かなくなり初のフォアボールを出す。しかし、今日当たっていた中沢をライトフライに押さえる。惜しいな~。次の井出も抑えてピンチを切り抜ける。斉藤投手は、球が上ずりだし、スピードが140キロ前後になりながらも、簡単に3人で押さえる。本当に素晴らしいと思った。相手の力を考え、8回ということもあり、力をセーブしながら抑えた。

9回、八木投手は打たせるピッチングに切り替える。見ていても球威が落ちていたが、コントロールはよかった。全てレフトフライ(そのうち、2回はファインプレー)に押さえる。非常にクレバー、いい投手戦だ。その裏、斉藤投手が森本にストレートのフォアボールを与えてしまう。ああ、痛い・・・。ファインプレーしてリズムにのっていた森本をランナーに出してしまった。前の打席を見る限り、ストレートを投げておけば、打たれることはないと思ったのだが・・・。次の打者にバントで送られ、1アウト2塁。小笠原を敬遠して、1アウト1、2塁。次に迎えるのが4番のセギノール。

しっかし、ここからがエースだ。2ストライク1ボールから、144キロのフォーク!!!びっくらこいたな。投げた瞬間、ストレートかと思ったら、落ちた!すげえな~~。ほんとに。この場面で、今日一番のフォークが投げれる。素晴らしい。次に迎えるのが稲葉。1球目にいきなり151キロ。すげえよ。ほんと。これは押さえれるなと思った2球目、稲葉が打ったボールが、斉藤の横を抜ける。セカンドがなんとか捕球して、2塁に送球するが、ランナーはセーフ。一瞬時間が止まっている中、一人だけ勝利に向かってホーム目掛けてダッシュしている男がいた。
森本である。一瞬の隙があった川崎のホームへの送球が間に合うはずもなく、日本ハムが勝利をおさめた。なんというエンディングだろう・・・。

斉藤投手はきっと先頭バッターの四球を責めるだろう。だが、それは酷だ。本当に素晴らしいピッチングだった。エースだ!というのを見せてもらった。だから、逆にあの四球が許せないのか・・・。勝たせてあげたかった。ソフトバンクに足りないもの、斉藤に足りないもの、本当にそんなものがあるのだろうか?
西武対ソフトバンクの2戦目、前日に投げあった斉藤がベンチ入りをして、必死に仲間を応援していた。素晴らしいリーダーだと思った。エースだと思った。ちゃんと結果を残す男、チームを勇気付ける男、気迫溢れる男、素晴らしいと思った。西武に勝った時、斉藤は味方にすごく感謝したという。ただ、どうしても点が入らなかった。DHだけに、自分では打席にも立てない。野球の神様というのは、残酷である。斉藤に、この試合だけは勝たせてあげたかった。そう思えるほど、素晴らしかった。その背中に修羅をみた。

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