
除草剤で固めた売り家の空き地に家庭菜園を作った。
土壌改良に苦土石灰と培養土を大量に入れて白菜の種を蒔いた。
その種がいくつか、雑草も生えない地面にこぼれたらしい。
畑でぐんぐん育つ白菜に一月以上も遅れて、
その硬い地面から形も歪な弱々しい芽が出た。
せっせと畑に水をやり、世話をする間、その芽は踏みつけられ地面にへばりつき、今にも枯れそうだった。
畑の白菜は柔らかく瑞々しく育ち、私は雑草のような白菜の芽には目もくれなかった。
やがて、収穫期が終わり、種を取るために一株だけ残した白菜に花が咲いた。
そのとき私は、畑の脇の雑草のような白菜にも花が咲いているのに気付いた。
それから私は、畑の白菜と、荒地の白菜を見比べるようになった。
花が満開になり、種の鞘が大きく育つ頃、
私は驚きと、感動に胸が躍った。
雑草のように荒地で踏みつかられ散水も肥料も与えられなかった白菜の種の見事なこと!
それに比べて畑の白菜は貧弱で、種が取れそうな鞘は数えるほどしかない。
悪条件の中で、自力で育った白菜の種に
私は合掌して頭を下げた。
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