入浴する為テレビを消そうとしたら、
ニュースで「タイで日本人相手に詐欺を働いた女性が捕まった」と言うのが流れた。
ふっと「もしかしたら?」と思ったが、テレビに映っている女は似ていない。
それでも、気になってネットニュースを調べると、
あぁぁ、やはり「私の知ってる彼女」だった。
ふくよかで笑顔の素敵な彼女は見る影もなかった。
チェンマイで旅行会社を始めたばかりの彼女は、目を輝かせて「Nokさん、私いずれはボランティアで施設を作りたいんです」流暢な日本語・英語に中国語も話す。
日本人の恋人もいて、いつも二人仲睦まじかった。
彼女の企画するボランティアツアーに何度か参加したり、できる範囲で手助けをした。
日本人から1億円のお金を騙し取って逃げたと言う話は、去年の11月に「彼女の行方がわからなくなっているが何か知ってる?」と問い合わせをもらった時に知った。
「まさか⁉︎彼女も騙されているんじゃないの」
そう言ったのを思い出した。
しかし、プライベートでの付き合いが無かったし、帰国して6年も経ってしまっている。
湯船に浸かりながら、ふと考える。
コロナ禍で観光もバッタリになっても、自分の夢や思いを押し通そうとしてしまった結果なのか?規模が大きくなり過ぎて儲かって夢が膨らんでしまったのか?
小さな店でコツコツやっていた彼女は、誰もが手伝ってあげたいと思わせる人柄だったのに。
6年前、帰国寸前に骨折して入院した時も、お見舞いに来てくれた。
それが、彼女とのお別れだった。
またチェンマイに行くことがあれば、会いたいと思っていたのに残念である。