継続の法則 自助努力のススメ 公認会計士 内藤勝浩のブログ

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あか~ん チン No14 預金というお金の発行

2022-11-07 15:18:45 | 会計



 会計では、預金を現金と同様にお金として取り扱うことが多いと考えます。
 預金通貨という言葉があるように、一般的にも預金をお金と考えていることが多いと考えます。
 ところで、この預金というお金は、どこで発行されるのでしょうか。
 紙幣と同様に、日本銀行しょうか。
 それも、ありますが、銀行は、新たな預金を発生させる機能を持っています。
 銀行は、融資をすることで、新たな預金を発生させることができます。
 銀行が融資をしたときの会計処理は、次のようになると考えます。



 銀行では、貸出金という資産と預金という負債が発生します。
 融資を受けた会社は、預金という資産が増加し、短期借入金(または、長期借入金)という負債が増えます。
 この銀行の仕訳を見ると、「銀行は、預かった預金を元に融資をするわけではない。だから、銀行は、預金の金額に関わらず、融資をすることで預金というお金を発行することができる」というような考え方をする人がいるようです。
 なぜでしょうか。
 一般の会社が、他社に融資をした場合は、次のような会計処理をします。



 お金を貸した側は、持っている預金または現金を減らし、短期貸付金(または長期貸付金)を計上するという処理をします。
 お金を借りた側は、銀行から融資を受けた場合と同じ処理です。
 銀行は、自らの資産を減らすことなく、融資をすることができるので、上記のような「銀行は、預かった預金を元に融資をするわけではない。だから、銀行は、預金の金額に関わらず、融資をすることで預金というお金を発行することができる」という考え方をするようになるものと考えます。
 この考え方は正しいでしょうか。
 仮に、預金が全くない銀行が融資をすることで貸出金と預金を発生させたとします。
 融資を受けた会社が、現金を引き出そうとした場合、他への支払いをしようとした場合、融資をした銀行は、預金に見合う現金や預け金(銀行が他の銀行にしている預金と考えてください)がないと処理できないことになります。
 ただし、全ての企業、個人、他の銀行等が、融資をした銀行に預金口座を持っていれば、支払手段として預金を移動することで対応ができます。
 実際は不可能です。
 また、現金(紙幣や硬貨)を発行することができれば、預金がなくても、融資を受けた先の支払いに応じることができます。
 これも不可能です。
 紙幣を発行できるのは、日本では、日本銀行だけだからです。
 銀行は、預金者から集めた預金を集めない(または、他からお金を借りるかしない)と融資した先の融資金の支払い等に応じることができないということになります。
 預金を集めると(または、他からお金を借りると)銀行は、現金等の資産を保有することになるからです。



 結局、銀行は、預金者から集めた預金を元に融資をしているということになります。
 ただし、上記、銀行が融資をしたときの会計処理から分かるように、新たな預金を発生させること、預金量を増やすことはできます。
 つまり、集めた預金というお金を元に、新たな預金というお金を発行することができるということになるのです。
 これらの機能は、預金と融資を行う信用金庫や信用組合等の金融機関でも同じであると考えます。
 一般的に言われているように、「銀行は、預金を集めて、その資金を融資している」というのは間違っていないと考えます。
 一部、そうではないというような考え方をする方がいるようで、気になったので、私自身も勉強し、考えて、ブログにアップしてみました。
 「お金」に対して、正しい認識を持っていただきたいと思います。

 会計に関連した私の考えについて、書こうと思います。
 できるだけ分かり易く書きたいのですが、難しくなるときもあるかもしれません。
 会計は分からないけど興味がある方、会計を勉強したいと思っている方、会計に携わっている方、何かのご縁で私のブログを読んでいただいた皆様のお役に立てれば幸いです。
 皆様に、神さま仏さまのご加護がありますように。
 61歳のオッサン公認会計士でした。
 では、また。