さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

八瀬童子 -歴史と文化-

2010年10月19日 | アート♪
「岩兵衛は当年51歳になる。
身の丈六尺、全身鉄片を叩き込んだような筋肉質の頑丈さで、
首など並みの男の腿ほどもある。…」

隆慶一郎著「花と火の帝」の冒頭である。
この小説の主人公岩兵衛は後水尾天皇に仕える八瀬童子で、小説の中でも八瀬の村の情景や、
建武の頃、足利尊氏に追われた後醍醐天皇の輿を担いで、叡山を超えて坂本まで駆けたことにより
天皇より一切の年貢や課役を免除される綸旨をたまわったことなども書かれている。

その「後醍醐天皇綸旨案」「後柏原天皇綸旨」…などをはじめとする
八瀬童子の伝えてこられた資料が重要文化財に指定されたのを記念して、
今京都歴史資料館でそれらを公開されているのを拝見した。

展示は

八瀬童子の特権
天皇と八瀬童子
中世文書の伝来

と三つのテーマに分かれていて、重要文化財に指定された
「文書・記録類650点」「装束類91点」の中から重要なものを厳選した展示とのことだ。

天皇の綸旨以外にも見るべきものが多く、

「板倉勝重下知状」
「織田信長朱印状」
「前田玄似判物」
「八瀬記」…等々。

また、八瀬童子関係資料の中に、日吉社で行われた小五月会に関するものも含まれていて
日吉社神人たる酒屋・土倉衆の係わりや名前や所在地がわかるものまで見つかったようだ。

展示を拝見したのち、秋元神社の八瀬赦免地踊の映像も拝見できた。
とくに感動したのは、村人たちの手によって作られる素晴らしい灯籠!
厚紙を何枚も重ねて下絵を切りぬいてそれを灯籠に貼るのであるが、
その切りぬく絵が実に繊細で伝統工芸の技そのもの。

一度是非、八瀬赦免地踊も拝見させていただきたいとつくづく思った。

酔芙蓉

2010年10月19日 | 植物
アオイ科

相国寺の境内にある「宗旦稲荷」のそばに見事に咲いていた八重咲きの酔芙蓉。

酔芙蓉といえば、私は高橋治著「風の盆恋歌」と石川さゆりさんの歌が浮かぶ。

蚊帳の中から花を見る 咲いてはかない酔芙蓉♪

そしてばあさんの妄想がどんどんと膨らんで(笑)

朝咲いて夕方には酔ったように紅くなるなんて、
まさに植物の不思議に感動する!