ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

グラフェンとタンパク質とで新材料を

2012-07-10 | 報道/ニュース

種々の性質をもつナノ粒子を構成ブロックとして組み合わせることによって新しい性質を具現できる可能性がある。ナノテクノロジーで期待できることの一つに、今までには見られない新しい性質をもった新材料の開発がある(9/23,2/17,3/21参照)。一方、タンパク質もナノ粒子であるが、互いに結合しやすく、結合によって種々の機能を持つ材料を形成するという特徴がある(HP2.1C5参照)。たとえばコラーゲンは繊維状に合成され、筋肉、皮膚、骨など種々の生物学的な機能をもつことができる。

チューリヒの研究グループは、グラフェンとアミロイドタンパク質を用いて興味ある性質をもった新材料を作り出した。グラフェンは電気伝導度が高くまた機械的に非常に強いナノ粒子である(9/8,3/21参照)。アミロイドタンパク質はアルツハイマーを引き起こすタンパク質として知られているが、タンパク質の中では最も強固なものの一つである。両者を合成して作成したフィルムは強固であるが、湿度が高いところに置くと柔らかくなる。形状記憶フィルムとしても使えそうだという。湿度に敏感なのはアミロイドタンパク質の性質であるから、組成を変えることによって湿度に対する感度を変えることもできる。またこのタンパク質は酵素と結合する。酵素と結合することによってこの材料の電気伝導度が変化する。したがって、酵素に対するバイオセンサーとしても利用できる。
http://www.nature.com/nnano/journal/v7/n7/full/nnano.2012.86.html?WT.ec_id=NNANO-201207

人口のナノ粒子と自然界のナノ粒子を混合するという新材料開発への新しい道が開けたといえそうである。


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