以前に強誘電体について述べたことがあるが(1/30参照)、説明不足の点があったのでもう少し詳しく説明しておこう。チタン酸バリウム(BaTiO3)を例に取ろう。その結晶は8個の酸素イオンが作る立方体の各面の中心にバリウムイオンが、立方体の中心にチタンイオンが存在する。チタンイオンの位置が中心から少しずれている。電界を加えるとチタンイオンの位置が少し移動するが、その移動が隣の格子に伝わり同じ方向に移動する。このため電界を加えると強い分極が生じる。強誘電体はこのような性質の故メモリデバイスとして有望視されている。
メモリの容量を高めるためには、ナノサイズの強誘電体を用いる必要があるが、これまでほとんど研究がなされていなかった。強誘電体を小さくしても強誘電体としての性質が保持されるかどうかが問題である。バークレイ国立研究所を中心とする研究グループは、電子顕微鏡などを巧みに利用して、5nm程度のナノ強誘電体でも強誘電性が常温で保持されることを明らかにした。
http://www.nanowerk.com/news2/newsid=25896.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.T_zgMInTuNQ.google
この研究は、チタン酸バリウムとテルル化ゲルマニウムについてなされている。実現にはいろいろな問題があろうが、大容量の不揮発性メモリーへの指針を与えたものとして興味深い(12/22参照)。
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