かいつぶりの日々

山林関係に強い不動産鑑定士「合同会社鳰不動産鑑定」のブログです
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不動産の鑑定評価・相談・コンサルティング

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日本の山の価値…その5

2011年04月26日 | 日記
続きです。

木の切り出しのプランの策定については、やはり自分自身で山に登ることが重要です。その際、現地立会に林業関係者に同行してもらうと心強いです(一人で登ると事故等の危険性がありますので…)

高度成長期やバブル期により、山林も「開発してナンボ」という概念が定着していることから、山林本来の価値より、開発素地としての価値の方がウェイトが大きいというのが、今の山林が直面している問題でしょう。

今、水源を確保するためたくさんの外国資本が日本の山林に入りこんでいるというウワサを聞きます。週刊誌等では「日本の山が食い荒らされている」とか「日本の水が無くなる」とかひどく書かれている記事を目にします。

買い占められるのは確かに問題ですが(それが事実であれば)、価値判断としては本来の山林にあるべき姿では?と思う時もあります。

ですので、我々不動産鑑定士が出来ることは、山林の本来の価値を表示すること。開発想定や取引価格(更地の取引価格)だけで判断するのではなく、その上に植林されている立木についても適切に判断し、価値に織り込むことが、本来の山の価値を表示出来るのではと考えます。また、立木に全く価値は無いと、我々が判断するのは日本の林業自体を否定することとなり、その1で説明した悪循環を促す結果にもなりかねません。

確かに材木市場は停滞していますが、何もせず頭ごなしに「立木に価値はない」と判断するのは、価値判断のプロである我々としてはタブーな話ですね。

立木に限らず、一般の土地建物についても、先入観なしで適切な価値を判断することにこれからも尽力したいと思います。

日本の山の価値…その4

2011年04月21日 | 日記
いよいよ鑑定評価になってくるわけですが、木も色々あって樹種では松、桧、杉とありますが、基本的にはこれら三つ以外は雑木として扱い、価値は無いものと判断します。(日本の保安林の大半はこの3つの種類の樹木で構成されているそうです)

まず、鑑定評価の手法として、「市場価逆算法」と「グラーゼル式」と二つの方法があります。

最初の市場価逆算法は、丸太の市場価格から経費を差し引いて求める手法です。グラーゼル式とは、将来の伐木収入と過去の造林費を考慮した収益性と原価性を折衷した評価手法であり、若齢林に用いられる手法です。

ですので、樹齢によって両者を使い分ける必要があります。

一番ポピュラーな市場価逆算法について説明します。

市場価格については近くの材木市場でヒアリングして相場を確認します。
経費についてですが、これは山の地形や林道の幅員(4tトラックがはいれるかどうか)、林道の系統連続性等を考慮し、切り出しから運搬までしっかりとしたプランを想定することが重要です。

木を切り出すにあたっては、人力で運ぶかワイヤーでつりさげて下すか、川に流すかはたまたヘリコプターを使うか、それぞれの山の地形や実情に応じて考慮する必要があります。
また、人員の賃金や燃料費及び機材の償却費等を想定することが重要であります。

これらを全て想定して、市場価格(単価×材積)から必要諸経費等を控除して立木の価格を求めます。

続きます。




ナナハンに挑戦!

2011年04月20日 | 日記
ふとナナハン免許ほしいなっと思い警察署に手続き等の段取りを教えてもらおうと立ち寄ったら、あれよあれよとあっという間に試験の予約をしてました(私、教習所には行かない主義でして今まで全て『飛び込み』で取得してます)

10年ぶりくらいに免許の試験を受けることになりました。

ナナハン免許はもっと若い時に欲しかったのですが、学生の時などは家族の反対等がありまして今頃になりました。

永年の夢が叶うかどうか、またご報告します。

日本の山の価値…その3

2011年04月11日 | 日記
すこしばたばたしていて更新が滞りました。

前回の続きです。

材積及び樹種、樹齢を調べるにあたっては、県の森林事務所等に所蔵されている森林簿を参考にします。
これは地域森林計画及び地域森林整備計画等においてあらかじめ把握された山林内の樹種、樹齢等が記載されている帳簿であり、所定の手続きにより閲覧が可能です。

これに、対象山林の樹種、樹齢、材積が記載されています。

ただ、これに記載されている樹種は計画策定当初のものであり、樹齢及び材積についても年ごとに更新はしているものの、機械的に「1年間に◎◎㎥」といった形で更新していますので、実際山林に出向いて把握したデータではありません。

ですのでこれを参考にして実際に現地に赴く必要はあります。

(過去に、対象の山の現地に赴いたところ、前の年の台風で山一つ全部『ハゲ山』になってたにもかかわらず「帳簿上」ではたくさん木が生えてたってこともありました)

ですので、普通の不動産と同じように『対象不動産の異同の有無及びその内容』を確認する必要があります。

また、上記森林簿を閲覧する以外には、その地域の森林組合に依頼して有料で山林調査を行ってもらうことも出来ます。

実際に組合の人に対象山林に出向いていただいて森林簿の内容を確認してもらうのですが、これについてもやはり後から自分で確認することが重要です。

こうやって対象山林の内容を確定していよいよ鑑定評価となるわけですが…

続きます。


日本の山の価値その2

2011年04月06日 | 日記
昨日の続きです。

では、山に生えている杉やヒノキ等の建材に使用できる立木に経済価値があるとすれば、何を単位にすればいいのか?という問題が出てきます。

すなわち木の単価に地積を乗じるだけかとか、またまた木を一本一本数えるのかとか…。

国税庁のHPには「地利級及び地味級(山林の地勢地質の良い悪いをイメージしていただければ幸いです)、立木度(どんだけ木が生えているか?)に係る係数を国税庁が指定する標準価額に乗じて、さらに森林の面積を乗じる」と記載されていることから、課税上では立木を「面積」で判断しているかと思われます(少なくとも面積が大きく価格形成に影響を与えるものとして判断されているようです)。


しかし、実際には同じエリア内の森林でも、細い木もあれば太った木もあり、材料として切った場合に使える木と使えない木があり、使える木でもヘタの部分などは廃棄せざる負えない場合も多々あり…なので、単純に面積で把握するのは山の実情を反映しきれていないといえます。

この場合、面積よりも体積、林業の用語では『材積』といいますが、この材積を把握することが重要です。合わせて、樹種(杉か桧かマツかクヌギか)及び樹齢(伐採期にあるか否か)を把握することが重要です。


これらを把握する場合にはどこで調べるべきか、法務局に行けば稀に立木を登記している場合もありますが、これはかなりのレアケースであり、山林の立木のほとんどが『未登記』です。



そこで、都道府県の森林事務所又は森林組合の出番になります。

続きます