GREEN NOTE

ワイルドグリーンディスカス中心のアクアリウムブログです

新しい濾過の提案3

2014年01月11日 | ディスカス

明けましておめでとうございます。
年始のディスカスネタ一発目は濾過のお話です。
構想、設計、製作を終え、昨年11月より試作機を稼動させたマイクロバブル応用の新濾過装置。
ようやく稼動から一ヶ月が経ちますが、今回はその経過報告です。


極めて高い透明度が伝わるでしょうか…水槽内がシンプルになったのもプラス作用で、背景の和風
バックスクリーンが映えます。水換えらしい水換えは週に1~2回。
マイクロバブル槽に浮上している汚水を排出して、その分補充するだけです。
この感じだと、濾過槽の掃除は半年~1年は必用ないかも…誰にでも「輝く水」の維持が可能です。
水槽、濾過槽合わせて250リットルの水量ですが、水換え水量は30~40リットル。
20%にも満たない換水量ですが、それでも生体の状態は水換え主体の飼育時より良好で活性が
高く、餌食いも抜群。


マイクロバブル槽では発生器が詰まる事も無く気持ちよく泡が発生し続け、右の生物濾過槽に送る
前には完全に泡が消滅しています。
生物濾過の前に泡を完全に消滅(溶解)させるのは理由があります。
文献や研究資料に目を通すと、マイクロバブル自体にある程度の殺菌作用があるらしく、これが事実
なら好気性細菌にとってマイクロバブルは豊富な溶存酸素と殺菌効果を持つ諸刃の剣という
事になります。
濾過細菌の活性化に役立てるなら、生物濾過槽の前で泡を完全に溶解させなくてはなりません。
ただし、この特性を上手く利用できれば熱帯魚飼育に大きなプラスになる可能性も秘めています。
それはつまり…使い方次第で水槽内の雑菌を減らし、濾過細菌を活性化させる事が可能かもしれない
という事です。
今回のテストはそれを見極めるのも目的のひとつです。

生物濾過槽にサブストプロを仕込んでいますが、ぼちぼちバクテリアも定着する頃なので
スポンジフィルターは徐々に外す予定です。
1ヶ月経過の現在、アンモニア亜硝酸は検出されずPhの降下は緩やかで、1日0.1~0.2くらいの
降下で済んでいます。水換え時に7.2くらいまで上昇したPhが一週間後の水換え時に6前後。
かなり安定した数値で、マイクロバブルで有機物やタンパクの分離が行われている結果とも考え
られますが、これはもっと長期スパンで計測していく必要があります。


汚水の排出から3日もすれば、マイクロバブル槽の表面には汚れが浮き上がります。
この汚れを集中的に排水できる配管を施している訳です。


裏から見ると更にその汚さが分かると思います。
ハンバーグから溶け出るタンパクや有機物、ディスカスの排泄物や粘液など様々なモノが
マイクロバブルに絡め取られて浮上しているのでしょう。
この汚れは非常に微細で、スポンジブロックやウールなどで取れるものでは無さそうです。
普通はこの汚れが物理濾過で分離される事なく水槽内を漂い、生物濾過で分解されるか
水換えで排水するまで水槽内に存在していると思われます。
海水のプロテインスキマーではこの泡が汚水カップまで上昇し、汚れをカップ内に押し上げる訳
ですが粘性のない真水では泡が押し上がる前に消失し不可能。
よって、一定量の排水と共に汚れを捨てているのですが、試作版では表層が広く効率が悪いんです。
この辺り、次回製作予定の円筒タイプ濾過器で解決するアイデアがあります。
他にも今回の試作で得たノウハウや改良点をフィードバックして設計変更を行っているところです。


マイクロ槽で汚れが分離されているおかげか水槽内の落水の泡切れもよく、高い透明度が
維持できています。
清浄な水のおかげか、豊富な溶存酸素のおかげか…
ここ一ヶ月、テストで飼育している秋水甲タイプがググッと成長してきました。


こちらは上の秋水甲より2ヶ月早く生まれた通常(スポンジ)飼育の秋水乙。
大きさでひと回りからふた回りこちらが大きかったのですが、この一ヶ月でだいぶ近づきました。
中には逆転しそうな個体も出てきてます。
次は同腹の幼魚から通常濾過とマイクロバブル濾過に分けて、餌の量や飼育匹数などの条件を
揃えて、どのくらい成長に違いが出るのかテストします…楽しみです。

ここでひとつ、マイクロバブル濾過の能力が見れるテストを…

マイクロバブル濾過を稼動させている水槽内でわざとスポンジ(他水槽のもの)を揉み洗いして
水を濁らせます。
撮影時間は本日の16時19分。画像のEXIFデータを見ていただければ分かると思います。


上の状態から1時間30分後の17時50分。
通常よりほんの少し循環水量を上げていますが、たったの1時間半でこれだけ透明度が上がります。
これだけでも、マイクロバブル濾過装置の実力の片鱗が見て取れると思います。


せっかく水槽内がスッキリしたので、なるべく余計なものは入れたくないのですが、エアレーションの
ブクブクを追加しました。
これは、マイクロバブル濾過の送水量だけでは水槽内の水流が弱く、止水域を作らないためです。
流水を考えなければ必用ないものなのですが…
濾過装置自体はまだ試作機のテスト中ですが、実用になりそうなのでいくつかの特許を申請予定。

この濾過がいつか、ディスカス飼育の多くの問題点を解決できれば…
高水温ゆえの溶存酸素の少なさ
ハンバーグ成分溶出による飼育水の汚れと頻繁な水換え
すぐに詰まる濾材や濾過槽の頻繁なメンテ
上記の原因で生体が受けるストレス

これらを解決するだけでもディスカス飼育がグッと楽になると思いますし、今回の試作テストでは
解決できそうな手ごたえも感じています。
この装置をもっと改良し、メーカーの量産効果で誰にでも入手できる価格にコストダウンされ、
多くの人に使って喜んでもらえれば…
実用化は20年間、設計とものづくりに携わってきたエンジニアとしての夢でもあります。



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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (hide)
2014-01-11 09:50:31
とうとうここまで物理濾過と生物濾過をうまく切り離し完成させたんですね^_^
濾過材量と流水量のバランスが取れれば、小型化も可能になり、活気的なシステムになるのでしょうねU+203CU+FE0E

頑張ってください(^_^)
Unknown (Ryo)
2014-01-11 20:25:13
新濾過システムの記事楽しみにしてました。
水の透明度が凄いですね。
常時こんな感じで維持できたらディスカス飼育も
もっと楽しくなるでしょうね。
これからも楽しみにしてますので、頑張ってください。
導入したい (エリちゃん)
2014-01-12 17:41:57
テストも順調そうで何よりです。
近々90センチ水槽を復活します。復活時に導入したいですね。
いいですね! (マツザキ)
2014-01-12 18:39:52
はじめまして。マツザキと申します。
厳密にはコメントはじめてで某コンテストで少しだけお話した者です。日光岩魚さんのブログは開設当初から拝読させていただき、ディスカスの良き教科書として活用させてもらっています。
日光岩魚さんの独創性と技術が生んだマイクロバブル濾過装置、他の方が仰るようにわたしも導入したいです。試作と同じ物で製作をお願いすることは可能でしょうか?
Unknown (日光岩魚)
2014-01-14 00:04:19
hideさん
長い構想期間を経てようやくここまできました。
設計で詰めていたとはいえ、今回のテスト装置は出来合いの水槽を使っていまうので、
まだまだ小型化は可能です。海水のスキマーほどの高効率は望めませんが、それでもディスカス飼育の大きな問題は解決できそうです。
この濾過は納得いくまでとことんやりますよ。
Unknown (日光岩魚)
2014-01-14 00:14:49
Ryoさん
この濾過装置の最大のメリット「水の透明度維持」はテストを通してかなりの自信を持てました。
魚の調子がよく、水の透明感が高いと毎日水槽を覗くのが楽しみになりますよね。
この先もテストとトライを続けていきますのでどうぞ見てやってください。
Unknown (日光岩魚)
2014-01-14 00:20:18
エリちゃん
どうもです。滑り出しはなんとか順調です。
この濾過はぜひ、エリちゃんにも試してほしいのですが、
調整項目が多く回路も複雑でさらに改良とコストダウンを計らなければなりません。
目処はついているので次の2号機の製作とテストまで待っていてください。
Unknown (日光岩魚)
2014-01-14 00:32:01
マツザキさん
はじめまして。
コンテストでお会いしてるのですね…うーん、どのコンテストでしょう?
沢山の方とお会いしているので記憶が…思い出せなくてごめんなさい!
ブログ読んでいただいてありがとうございます。
この濾過装置ですが、図面はあるので全く同じものをお作りする事は可能です。
しかしながらまだ試作テスト段階でして、テスト用の様々な調整機能や複雑な回路をシンプル化しなければ
今はまだ、価格も含めとても人様にお勧めできる代物ではありません。
一通りテストが終わったら2号機に着手しますので、導入はそれ以降にお考えいただければと思います。
欲しい方にはぜひ、使っていただきたいと考えていますので…
はじめまして (シブ)
2014-01-15 23:24:57
はじめまして、シブヤと言います。
去年(2013年12月)にワイルドディスカスを飼育し始めた、超初心者です。
日光岩魚のブログを拝見させて頂き参考にしています。
マイクロバブル濾過素晴らしいですね!
是非試作品からわれわれ初心者でも使える濾過装置への実現目指して下さい。

今後もお邪魔させて頂きますので宜しくお願いします。
REはじめ (シブ)
2014-01-15 23:27:48
上記コメントですが、日光岩魚さんの
”さん”を付け忘れてしまいました。
ご無礼お許しください!

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