GREEN NOTE

ワイルドグリーンディスカス中心のアクアリウムブログです

スポンジ濾過再考

2014年01月26日 | ディスカス

マイクロバブルフィルターを使い始めてから2ヶ月になります。
手探りの構想から始まり、設計製作、試運転を経て何とか稼動に漕ぎ付けましたが
マイクロバブル濾過のテストを続けるにつれ、私の中の濾過に対する認識が変わりつつあります。
特にスポンジフィルター。
上部濾過、外部濾過、オーバーフローについては私の中では同じカテゴリーです。
ちょっと乱暴な言い方かもですが、この3種のフィルターで異なるのは特性だけで、本質は同じ物。
特性に合った使い方、メンテナンスを心がければ問題は発生せず、
どれもディスカス飼育で十分に使えます。
では、スポンジフィルターだけ、何が違うのでしょうか?


このブログを読んでいただいてる方ならご存知だと思いますが、私のディスカス水槽は全て、
スポンジフィルターに切り替えてから長い時間が経ちます。
最初はメンテナンスが楽で使い勝手が良いと感じていたのですが、混泳水槽で多数のスポンジを
管理してみると意外に難しさを感じるようになりました。
楽なはずのスポンジフィルターが何故に難しいのか?
それは他のフィルターと違う構造…というか物理濾過と生物濾過の構成の違いに起因するものです。


この写真はスポンジのメンテナンスを延ばした結果、目詰まりを起こして通水量が減っています。
表面はヌルッとした脂質のような手触りで、絞ればギュッと硬くカスが詰まっていて、限界ですね。
多数飼育でハンバーグを給餌していると、この状況が思いの他早く訪れます。
これは、物理濾過と生物濾過を同じスポンジで兼ねているスポンジフィルターの宿命で、
当初は1セットずつ交換ローテーションする事で回避していましたが、そのローテーションを長期
続けるのは難しい事でもあるのです。
複数ある水槽はどれも飼育匹数、水槽サイズが違い、6年を過ぎた老魚もいれば1年未満の
若魚も幼魚もいます。
エサの量も種類も違い、水換え頻度も違う中で同じサイクルのメンテをするのは無理があり、
配管抵抗や器具の個体差による通水量の差もあって、下手すると先にメンテしたはずのスポンジを
ローテーション無視でまた交換する羽目に陥り、結局はスポンジの状態を見て適宜、水槽ごとに
メンテを行うようになります。こうしてローテーションは崩壊しメンテの順番はグチャグチャになります。
それでも無理にローテーションを維持しようとすれば調子の落ちる水槽が出てくるでしょう…
これでは本末転倒な話になってしまいます。
これが、私が多数のスポンジ管理を難しいと感じる理由のひとつ。

そして難かしいもうひとつの理由…
上の写真は目詰まりを起こしていますが、実はスポンジフィルターの一番おいしい期間は、
この状態になる直前にあります。
まだこの時は、ちゃんと通水しながらたっぷり湧いた濾過細菌が活発に働き、輝く水を再現しやすい
環境にあるのです。実際に水の透明感、匂い、泡切れなど観察しての私の主観ではありますが。
が…特に沢山のエサを与える多数飼育では、最高の状態から上の写真に転落するまであっというま
なのもまた現実でして、複数のスポンジを駆使しても、この侠いスイートスポットを捉え続けるのは
意外に難しいのです。


とはいえ、もちろんスポンジフィルターが駄目という訳ではありません。
単独飼育や繁殖水槽では、「おいしい期間」が長期続きますし、濾過能力も確か。
低コストでメンテ自体が手軽に出来る、優れたフィルターです。
結局は他のフィルター同様に特性を理解し、適切な使い方とメンテをすれば…という1点に帰結するの
ですが、それでも物理濾過と生物濾過を分けている他の濾過装置とは違う認識を持つべきです。


マイクロバブルを物理濾過に使い、水槽の外で汚れを極力排除する。
生物濾過に持ち込む汚れを抑えることで、生物濾過の負担を減らし「おいしい期間」を長く保つ。
それが水換え負担を軽減しつつ、輝く水をキープする事に繋がる…マイクロバブル濾過の命題です。

最後に、2ヶ月になるマイクロバブルの稼働状況を動画にまとめました。
ぜひ、マイクロバブルの能力と作り出す水の透明感を確認してみてください。

ディスカス水槽とマイクロバブル濾過

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新しい濾過の提案3

2014年01月11日 | ディスカス

明けましておめでとうございます。
年始のディスカスネタ一発目は濾過のお話です。
構想、設計、製作を終え、昨年11月より試作機を稼動させたマイクロバブル応用の新濾過装置。
ようやく稼動から一ヶ月が経ちますが、今回はその経過報告です。


極めて高い透明度が伝わるでしょうか…水槽内がシンプルになったのもプラス作用で、背景の和風
バックスクリーンが映えます。水換えらしい水換えは週に1~2回。
マイクロバブル槽に浮上している汚水を排出して、その分補充するだけです。
この感じだと、濾過槽の掃除は半年~1年は必用ないかも…誰にでも「輝く水」の維持が可能です。
水槽、濾過槽合わせて250リットルの水量ですが、水換え水量は30~40リットル。
20%にも満たない換水量ですが、それでも生体の状態は水換え主体の飼育時より良好で活性が
高く、餌食いも抜群。


マイクロバブル槽では発生器が詰まる事も無く気持ちよく泡が発生し続け、右の生物濾過槽に送る
前には完全に泡が消滅しています。
生物濾過の前に泡を完全に消滅(溶解)させるのは理由があります。
文献や研究資料に目を通すと、マイクロバブル自体にある程度の殺菌作用があるらしく、これが事実
なら好気性細菌にとってマイクロバブルは豊富な溶存酸素と殺菌効果を持つ諸刃の剣という
事になります。
濾過細菌の活性化に役立てるなら、生物濾過槽の前で泡を完全に溶解させなくてはなりません。
ただし、この特性を上手く利用できれば熱帯魚飼育に大きなプラスになる可能性も秘めています。
それはつまり…使い方次第で水槽内の雑菌を減らし、濾過細菌を活性化させる事が可能かもしれない
という事です。
今回のテストはそれを見極めるのも目的のひとつです。

生物濾過槽にサブストプロを仕込んでいますが、ぼちぼちバクテリアも定着する頃なので
スポンジフィルターは徐々に外す予定です。
1ヶ月経過の現在、アンモニア亜硝酸は検出されずPhの降下は緩やかで、1日0.1~0.2くらいの
降下で済んでいます。水換え時に7.2くらいまで上昇したPhが一週間後の水換え時に6前後。
かなり安定した数値で、マイクロバブルで有機物やタンパクの分離が行われている結果とも考え
られますが、これはもっと長期スパンで計測していく必要があります。


汚水の排出から3日もすれば、マイクロバブル槽の表面には汚れが浮き上がります。
この汚れを集中的に排水できる配管を施している訳です。


裏から見ると更にその汚さが分かると思います。
ハンバーグから溶け出るタンパクや有機物、ディスカスの排泄物や粘液など様々なモノが
マイクロバブルに絡め取られて浮上しているのでしょう。
この汚れは非常に微細で、スポンジブロックやウールなどで取れるものでは無さそうです。
普通はこの汚れが物理濾過で分離される事なく水槽内を漂い、生物濾過で分解されるか
水換えで排水するまで水槽内に存在していると思われます。
海水のプロテインスキマーではこの泡が汚水カップまで上昇し、汚れをカップ内に押し上げる訳
ですが粘性のない真水では泡が押し上がる前に消失し不可能。
よって、一定量の排水と共に汚れを捨てているのですが、試作版では表層が広く効率が悪いんです。
この辺り、次回製作予定の円筒タイプ濾過器で解決するアイデアがあります。
他にも今回の試作で得たノウハウや改良点をフィードバックして設計変更を行っているところです。


マイクロ槽で汚れが分離されているおかげか水槽内の落水の泡切れもよく、高い透明度が
維持できています。
清浄な水のおかげか、豊富な溶存酸素のおかげか…
ここ一ヶ月、テストで飼育している秋水甲タイプがググッと成長してきました。


こちらは上の秋水甲より2ヶ月早く生まれた通常(スポンジ)飼育の秋水乙。
大きさでひと回りからふた回りこちらが大きかったのですが、この一ヶ月でだいぶ近づきました。
中には逆転しそうな個体も出てきてます。
次は同腹の幼魚から通常濾過とマイクロバブル濾過に分けて、餌の量や飼育匹数などの条件を
揃えて、どのくらい成長に違いが出るのかテストします…楽しみです。

ここでひとつ、マイクロバブル濾過の能力が見れるテストを…

マイクロバブル濾過を稼動させている水槽内でわざとスポンジ(他水槽のもの)を揉み洗いして
水を濁らせます。
撮影時間は本日の16時19分。画像のEXIFデータを見ていただければ分かると思います。


上の状態から1時間30分後の17時50分。
通常よりほんの少し循環水量を上げていますが、たったの1時間半でこれだけ透明度が上がります。
これだけでも、マイクロバブル濾過装置の実力の片鱗が見て取れると思います。


せっかく水槽内がスッキリしたので、なるべく余計なものは入れたくないのですが、エアレーションの
ブクブクを追加しました。
これは、マイクロバブル濾過の送水量だけでは水槽内の水流が弱く、止水域を作らないためです。
流水を考えなければ必用ないものなのですが…
濾過装置自体はまだ試作機のテスト中ですが、実用になりそうなのでいくつかの特許を申請予定。

この濾過がいつか、ディスカス飼育の多くの問題点を解決できれば…
高水温ゆえの溶存酸素の少なさ
ハンバーグ成分溶出による飼育水の汚れと頻繁な水換え
すぐに詰まる濾材や濾過槽の頻繁なメンテ
上記の原因で生体が受けるストレス

これらを解決するだけでもディスカス飼育がグッと楽になると思いますし、今回の試作テストでは
解決できそうな手ごたえも感じています。
この装置をもっと改良し、メーカーの量産効果で誰にでも入手できる価格にコストダウンされ、
多くの人に使って喜んでもらえれば…
実用化は20年間、設計とものづくりに携わってきたエンジニアとしての夢でもあります。

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