日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 法城寺

2010-05-25 | 脇差
脇差 法城寺

脇差 磨上無銘法城寺



 一文字に似た互の目丁子に特徴をみせるのが但州法城寺(ほうじょうじ)である。法城寺國光は専ら薙刀や長巻を製作したことから、華やかな互の目丁子の薙刀は法城寺に極められることがある。では一文字と法城寺の違いはどこにあるのだろうか。写真例の法城寺は一文字と極められても決して不思議ではない。法城寺も一文字を手本としているのだから似ているのは当然であろう。先に紹介した一文字の脇差と比較鑑賞し、刃文は似ていても地鉄が異なることを観察してほしい。この脇差も元来は薙刀であったものを脇差に仕立て直した作。地鉄は地景を伴う板目肌が良く詰んでおり、地沸が付いて沸映りが現われている。一文字のような丁子映りとは風合いが異なる点に留意したい。この脇差では、刃文は匂出来小互の目調で互の目の頭が大きく張らず、長短足が乱れ入って葉や飛足も盛ん。刃縁はほつれ、これが刃中では金線を伴う砂流しとなるところは一文字と似ている。一般に、法城寺の刃文と特徴の一つに、互の目が茶の花のように複式の互の目丁子となる点があるも、この作例では見られない。
 一文字との違いも良いが、この刃縁の複雑な変化をご覧いただきたい。焼きの高さはほぼ一定だが、小互の目の頭の形は様々、丸みを帯びたり尖ったり、これにほつれが絡んで刃中に垂れ込むような、単なる足ではなく自然味ある刃形となっている。匂主調ながら刃縁に沸が付き、一部に強い沸筋が流れているところに相州伝の影響がみられる。刃中の躍るような働きが最大の魅力と言えようか。



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