日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 尾崎助隆 Suketaka Wakizashi

2017-11-07 | 脇差
脇差 尾崎助隆


脇差 尾崎助隆享和元年

一尺八寸強、身幅広く重ねは尋常、刃先の肉を削いで斬れ味を高めている。助隆の濤瀾乱刃。助廣以降、助直、照包、正秀、助隆、正繁、助政など多くの刀工が濤瀾乱に挑んで成功しているが、それぞれ個性を出そうと、互の目頭の形状や連続性、大小のバランスなどに変化を付けているようだ。創始者として特別人気の高い助廣と、それを手本とした諸工とを比較して優劣をつけることの愚かしさは、時代背景を含めて論じてもむなしい。「〇〇は…助廣の足元にも及びません」との評価は、弟子の助直以下総ての濤瀾乱写しをした工に与えられた言葉であろう。なんて愚かな評価であろうか。助廣そっくりに製作したら優れているのかというと、それは単なる写しであり、新たな創造性が加わって新趣なる刃文が出来上がる。仮に互の目の高さが揃い調子であっても、波と波の間に湾れが配されていても、互の目が角張り調子であったとしても。濤瀾乱刃の注文を受けた刀工は、助廣臭さを消すべく独創を加味したのであろう。