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日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 左行秀 Yukihide Katana

2016-03-28 | 
刀 左行秀


刀 左行秀

 幕末の名工で相州伝を突き詰めた左行秀も忘れることができない。遠祖左文字に私淑し、その工銘を冠した気概も理解できよう。地鉄鍛えは清麿とは違った意味合いで独創を極めている。小板目鍛えが微塵に詰み、地沸が厚く働いているところに大きな特徴がある。ゆったりとした湾れ刃は沸の粒子が揃ってしかも深く、時には真改のように刃境が判然とせず、刃先近くまで沸が広がっている作もある。もちろん沸は匂を伴っていて明るく、この沸中に働きがある。金線や地景もそうだが、もっと本質的な沸に濃淡があり、霧の流れるような景色が窺えるところが魅力だ。そう、ごくごく自然な景色が展開されているのだ。沸は刃中だけでなく地中にも濃淡抑揚があり、棟近くの鎬地にも叢付いているのが判る。この時代、左行秀以外に誰もできなかったのがこの作風、綺麗に揃った沸の展開である。