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日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

平造脇差 水田国重 Kunishige Wakizashi

2016-03-18 | 脇差
平造脇差 水田国重


平造脇差 備中國水田住国重作

 一尺一寸強、反り二分半の、扱い易い実戦的な武器の一つ。戦国時代末期の古水田から江戸時代にかけての水田國重一門は南北朝時代の相州物をそのまま映したような沸の強い作を遺している。特に本作のように帽子の返りを長くして刀身中程まで棟焼を施し、物打辺りは皆焼状に仕立てるを特徴としている。脇差でも刀でも同様に焼きを強く深めている。身幅たっぷりとして先反りがついた姿は南北朝時代の相州物。違うのは重ねを厚く仕立てている点で、これは近世の多くの刀工も同様にがっちりとした造り込みとしていることで良く判る。地鉄は板目が現れているも、総体に小板目状に詰んでおり、地沸が厚く付き湯走りから飛焼まで、即ち焼入れによる景色が濃密に現れている。刃文は形状のはっきりとしない互の目乱刃に角状の尖刃が交じり、丁子がまじるなど、古式の相州物に倣っていることも判るが、江戸時代の刀の多くがそうであるように、刃境の景色は焼刃土による刃採りで比較的分り易い。とにかく激しい沸の妙趣。嵐の大海原のように大小の沸が飛沫として刀身上に舞い散る。□