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日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 飛騨守氏房 Ujifusa Katana

2018-04-24 | 
刀 飛騨守氏房


刀 飛騨守氏房

 美濃出身で、尾張で活躍した江戸時代最初期慶長頃の刀工。一寸ほどの区送りで、現状で二尺三寸強。美濃風は強くなく、この時代に隆盛した相州伝を専らとしている。地鉄は板目肌に小板目肌が交じって地景によって肌目が強く現れている。新刀最初期らしい古刀に紛れるような出来。刃文は沸を強く意識した互の目湾れ。刃境には肌目に沿ったほつれが掛かり、淡い金線沸筋、足所に淡い沸の流れがあり、刃中には淡い砂流、互の目に伴って沸凝りからなる島刃も加わる。相州伝の綺麗な刃文の作である。





刀 法城寺正照 Masateru Katana

2018-04-23 | 
刀 法城寺正照


刀 法城寺正照

 斬れ味で名高い法城寺正照の武骨な刀。余分な装飾は不要というのであろう、沸の深く付いた直焼刃の中には肌目に沿ったほつれが細い金線を伴って流れる。樋の中には柾状の肌が顕著に見られ、小板目とされた平地にも柾肌が交じっている。刃長二尺三寸強、樋を掻いて重量を調整しているのであろう、適度に反りが付いて、造り込みも武用に徹しているようだ。大坂の華やかさに対する江戸の武骨さは良く対比されるところだが、それでも綺麗だ。











刀 長運斎綱俊 Tsunatoshi Katana

2018-04-20 | 
刀 長運斎綱俊


刀 長運斎綱俊

 刃採りがされていない研磨であるため、刃文がぼうっとして冴えないように見えるが、単に写真映りが悪いというだけ。本質は頗る明るく刃縁の輝きは冴え冴えとしている。古い研磨にはこのような見え方があるため、現代の研磨は、多くが刃採りをはっきりとさせてしまう傾向にある。写真はどこまでも参考程度。本質は手に取ってみないと分からない。良く詰んだ鍛え目に刃文構成が単調にならない変化に富んだ互の目丁子。足が長く入る。師筋の水心子から伝わる備前古作の再現に他ならない。綱俊には濤瀾乱刃があり、また互の目丁子がある。どちらも上手で綺麗な出来が多い。





刀 近江大掾忠廣 Tadahiro Katana

2018-04-18 | 
刀 近江大掾忠廣

 
刀 近江大掾忠廣

 綺麗な肥前肌に肥前刀らしい小沸が刃縁について帯状の刃文構成とされた、綺麗な直刃仕立ての作。品よく整って綺麗な姿格好と共に、肥前刀の上作であることが一目でわかる出来。刃文は、常にみられるような帯状の構成に、さらにほつれ、喰い違い、金線、二重刃などを加えて変化に富んだ直刃に仕上げている。





刀 伊賀守金道 Kinmichi Katana

2018-04-17 | 
刀 伊賀守金道


刀 伊賀守金道

 江戸初期の京都において活躍した三品派の金道の作。出は美濃だが、江戸初期という時代背景から相州伝を焼くを得意とした。本作が良い例で、刃中に砂流、沸筋、金線が流れるように働く出来。同派の吉道の川の流れを想わせる刃文とは異なるが、本作においても清らかな水辺を想い浮かべるであろう。奇麗な刃文である。奇麗だけではないのが、この時代の刀。良く斬れるのだ。





刀 備前祐義 Sukeyoshi Katana

2018-04-12 | 
刀 備前祐義


刀 備前祐義

 祐義は江戸時代末期から明治にかけての備前の刀工。本作は、その、二尺五寸強の、鎌倉時代の太刀を手本とした作。だが、反りは控えめに施されており、実際に使うことを想定した姿格好。とはいえ、製作年は明治も後期、いずれ古き時代を偲んでの、しかもいざという時にはこれで先陣に起つことを想った、武人の注文作であろう。地鉄は小板目肌に細かな地景が入って躍動感がある。波の寄せるように互の目が大小連続し、抑揚変化に富んでいる。奇麗な出来である。





刀 久保田宗明 Muneaki Katana

2018-04-10 | 
刀 久保田宗明


刀 久保田宗明

 固山宗次の弟子で、斬れ味においても師に負けぬ技量を誇った宗明の、綺麗な備前伝互の目乱刃。身幅広く重ね厚く、重量がある。地鉄は良く詰んだ小板目肌。刃文は腰開き調子の互の目に小互の目と小丁子を交え、高低に変化に富んだ構成としている。小丁子の焼頭は乱れた拳状、あるいは茶の花の蕾のように変化に富み、刃境には小沸が付き、わずかに左右に広がる調子の足が長く入る。帽子は浅く乱れ込み、先がわずかに掃き掛けを伴って返っているが、その鍛え肌に沿った筋状の働きも、自然味のある動きを生み出して美しい。







刀 弘邦 Hirokuni Katana

2018-04-07 | 
刀 弘邦


刀 弘邦

 廣木弘邦は山城伝直刃出来を得意としたが、本作のように備前伝も優れている。備前伝というと、一文字風の出入りが華やかな重花丁子を思い浮かべる方が多いのだが、鎌倉時代後期には、比較的穏やかな互の目や小丁子が焼かれている。そのような時代背景、即ち、鎌倉時代後期に栄えた長光一門の作風を手本としている。板目の交じる小板目肌に映りが立つ地鉄が綺麗だ。刃文は先に述べたような小互の目丁子出来。足が盛んに入り、帽子はわずかにたるんで先小丸に返る三作帽子。80□





刀 弘邦 仙琇彫 水神切兼光 写し

2018-04-03 | 
刀 弘邦 仙琇彫 水神切兼光 写し


刀 弘邦 仙琇彫

 南北朝時代の備前長舩兼光を手本とした廣木弘邦の平造大刀。彫り物は苔口仙琇で、総体の本歌は上杉家伝来「水神切兼光」。二尺三寸強の寸法で、物打が張っており、造り込みがすごい迫力。地鉄が綺麗だ。刃文は弘邦の得意とした直刃調で、足が盛んに入る。地鉄の本質は、板目を交えた小板目肌で、古風な映りが立つ。映りに関しては、保存協会がどのように理解しているのかわからないが、現代では幾人かが再現できている。その中でも弘邦の映りは頗る古調である。また、刃文が綺麗だ。匂を主調に柔らか味があり、冴えている。





刀 宮入昭平 Akihira Katana

2018-03-22 | 
刀 宮入昭平


刀 宮入昭平

 昭和三十五年の作品。戦後数年を経てようやく作刀が許可され、刀匠はそれまでの軍刀の製作から脱して、新たな作刀文化を目的に活動を始めた。昭平は相州伝を突き詰めてゆく。地鉄は板目が強く意識され、地沸が付いて刃文も沸を強調した大乱になっている。この刀の刃文構成は、同郷信濃の先達清麿に倣い、互の目を揃えた構成としている。地鉄に板目が意識されていることから、刃中にも肌目が連続しており、これが刃中の細かな働きとなっている。



刀 宮入昭平 Akihira Katana

2018-03-20 | 
刀 宮入昭平


刀 宮入昭平

 人間国宝に指定された宮入昭平の、皇紀二千六百二年、すなわち昭和十七年戦時中の作。昭平というと相州伝を思い浮かべるが、初期は備前伝を焼いていた。腰反り強く踏ん張りのある美しい太刀姿で、鎌倉時代の備前物を手本としたことが良く判る。地鉄は良く詰んだ小板目肌。逆足の盛んに入る互の目丁子の刃文が鮮やかに浮かび上がっている。良い鋼が入手し難かったと思われるが、とても綺麗な太刀に仕上がっている。





刀 山城守國清 Kunikiyo Katana

2018-03-16 | 
刀 山城守國清


刀 山城守國清

 直刃を得意とした刀工の一人。磨り上げで二尺二寸八分強だから、元来は二尺五寸の長刀。柾目を交えた板目鍛えの地鉄は良く詰んでおり、刃中の繊細な働きにも影響を与えているようだ。刃文は直刃に浅い湾れを交えた出来。物打辺りが二重刃状にほつれ、喰い違い、砂流し金線が生じている。直刃に伴うほつれや金線などは全体に潜んでおり、所々、光の加減で金線が光る。働きがあり、しかも奇麗な直刃である。





刀 林重秀 Shigehide Katana

2018-03-15 | 
刀 林重秀


刀 林重秀

 あまり聞かない刀工名だが、大慶直胤に学んだ大村藩の武士である。特別の意識があっての作だろう、柾目鍛えに飛焼湯走りの入る、乱れが強く焼の深い作。柾目鍛えは大和保昌に始まり、その流れを汲む仙台の國包、江戸後期の水戸刀工、清麿門人の清人などが得意とし、師の直胤にも総柾鍛えとした作がある。だが、このような刃文は少ない。肌目に絡んだ焼刃は形状が定まらず、次代の上がる小乱調子となり、所々互の目が深く入り、湯走り、飛焼、沸筋も活発な出来。帽子は強い掃き掛け。







刀 肥後守國康

2018-03-07 | 
刀 肥後守國康


刀 肥後守國康

 國康は初代國助の子で、一門として同様に大坂で活躍した工。造り込みや作風は似たところがある。しかも上手。この刀も、茎尻に穴をあけているので、実用を強く意識したものであろう。地鉄は良く詰んだ小板目肌。刃文は拳丁子のような揃い方はせず、むしろ自然に高低抑揚が付けられている。足が長く入り、小沸に匂が複合して明るい。刃中には匂の砂流しが掛かって明るく、透明感がある。





刀 河内守國助 Kunisuke Katana

2018-03-05 | 
刀 河内守國助


刀 河内守國助

この刀は、おそらくこの刀工の最高傑作。大振りでしっかりとした造り込みはもちろんだが、多くみられる互の目の連続に比して工夫が感じられ、刃中に強い沸を意識しているところに本作の違いがある。刀身を抜いた瞬間に、常にない一段と激しい乱れが眼に飛び込んで来る。互の目の焼頭は高さがほぼ揃っており、拳状に連続する途中に丸い焼刃が組み込まれている。地鉄が綺麗で匂が澄んで明るいことから、この丸い焼刃が水晶玉のように感じられる。また、互の目の一部に地中の鍛え肌から連続している細かなほつれが加わって景色に変化が生じている。